あれやこれや、ガンダム論

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V字アンテナ、黄色いふたつの目に赤い…ガンダムの顔を文字で書き出すとこんな具合になるでしょうか?
白を基調に青と赤、ワンポイントに黄色を加えたトリコロールが暗黒の宇宙空間でこれでもかと映える、鍛え抜かれた戦士を思わせる出で立ちが受けた名前は「ガンダム」の四文字。
何を意味するか分からずとも、その重々しく頑強さを感じさせる名称は、一度耳にすると誰しも忘れられない印象を植え付けるものだったのではないかとも思えます。

その「勇姿」から半世紀に達しようかという時の中で「ガンダム」という名は、虚実双方の「世界をまたいで」広く浸透し、その名を冠する機体を増やしていきました。
折しも2025年、公式からとうとう「ガンダム総選挙」なる企画がネット上で催される事となり、改めて「ガンダム」という名称を受け継ぐ機体の「多様性」に驚かされた諸氏は少なくないかもしれません。

そこで本記事は「ガンダム」という名称が、如何にして受け継がれたか「ガンダム」と名付けられた機体を見ていく事で、その名が示してきた存在とは何なのかを考えてみたいと思います!

目次

全ては「V作戦」から始まった

史上初めて「ガンダム」と呼ばれたモビルスーツが世に現われたとされるのは、宇宙世紀79年、連邦軍の「V作戦」によって開発された3機、白兵戦を主眼においた「 ガンダム」、支援機の「ガンタンク」と「ガンキャノン」。
ガンダムの属性という立ち位置で「ガン~」という冠名に、それぞれの特徴である「~タンク」「~キャノン」という名称が与えられました。
この「ガン~」を冠名とする機体名及び「ガンダム」という名称。秘匿名か通称のようなものと見られる名称は、かなり早い段階から付けられていたものであると考えられます。

それを示すと見られるのが新開発の装甲部材である「ルナ・チタニウム合金」、後の「ガンダリウムα」。
連邦軍製モビルスーツのフラッグシップモデルとしての期待を遙かに凌駕する、畏怖の象徴とまでなった「ガンダム」という存在を形作った素材としてその名にあやかったのではないかとされています。
これも「ガンダム」という名称が先んじて存在していた事を示すと考えられます。

「RX-78-2」という型式番号から、前身となる機体の存在が示唆されていますが、事実上ほぼ同時期に製造されたと見られるもの。劇中では「襲撃を受けた際に破損、機密保持の為焼却処分された」という説明だけがあった。
後に便宜上の名称として「プロトタイプ~」の冠名が付けられたという経緯が考えられます。

「V作戦」という計画が、単に局地用決戦兵器開発及び戦術の構築という範疇に留まらず、連邦軍の戦略構造をモビルスーツ戦へ転換する事を目論んだ極めて大規模な計画とされる。一方、その詳細がほとんど明らかになっていないという事情から経過と結果を踏まえた推測になります。
この「2機の同時期開発」というものが意図的な「開発体制」であったと推測する事が出来ます。

「ガンダム」の開発に際して要となった「ルナ・チタニウム合金(ガンダリウムα)」の生産、性能面で非の打ち所が無かったものの、生産・加工が難しく歩留まりが悪かったとする見解が存在します。
こうした理由から、単に補修用のパーツをストックしておくだけではなく、全てのパーツを互いに共有する「予備機」の体制を目指して、2機製造する事にしたのではないかと考えられます。

ガンダムと運用

ガンダムは、これまでモビルスーツの開発を進めていなかった連邦軍にとって、オーバーテクノロジーとすら言える技術が詰め込まれており、製造・運用にまつわるハードルは元より、保守・整備に関わる技術の定着と向上という、兵器運用に関わる一切を包括的に取り扱う目的もあったと考えられます。

加えて、ここまでの高性能と生存性を企図した背景には、決戦兵器としての戦果を期待するという「表向き」の意図も然り。どうあっても確実な生還を徹底させる事で多彩な実戦運用データを収集し、後続のモビルスーツ量産体制も確実なものとするという意図もあったと考えられます。

つまり「何が何でも高性能機を1回でも多く、1秒でも長く死地へ送り込んで修羅場を経験させ、絶対に生還させる」という常軌を逸した狂気が「ガンダム」という機体には込められており、2機を並存させた背景もまた単なる実験的見地を越えた執念があったと考えられるのです。

現実的に考えると、この時、地球連邦側は既に「コロニー落とし」「ルウム戦役」という未曾有の被害を経験した上で、対応し切れていないモビルスーツ戦という不安材料を抱え、一進一退よりはやや分の悪い総力戦を7ヶ月に渡って続ける。必勝を期した「V作戦」の屋台骨を大きく傷付けられる事になるという、先行きの展望に深刻な影を落とす状況であった事が推測されます。

ガンダムと派生


実の所、「一年戦争」中に開発まで完了出来たとされる「ファーストロット」である「1~3号機」、4番目の機体である「NT-1」。
開発に辛うじてこぎ着けたか設計のみで終戦を迎えた「セカンドロット」の「4~8号機」に関しては、番号からも分かるように表記揺れや設定ぶれと言える箇所も少なからず、いわゆる「IF」や「異説」といったものを多分に織り込んだものになっています。

ただ、コンセプトとして共通する要素も散見される中で「3号機(G-3ガンダム)」と「NT-1」が「機体反応性や内部装置を高めた高機能化試験機」という位置づけで開発された。
セカンドロットでも「4号機」と「5号機」が基本設計を同一として「大火力砲戦仕様」と「空間制圧仕様」という相互補完的な関係を持たされていたと伝わります。

に「二機一対」となる形で「ガンダム」とされる機体、少なくとも設計・計画段階ではあっても増えていった事に加え、高性能故の歩留まりの悪さから余剰パーツも少なからず発生。
2号機の建造段階で実に「20機分」程にもなろうと言うものを組み上げて供給した、「RX-79[G]陸戦型ガンダム」という「亜種」のような存在。
そして「白い悪魔」「死神」等と恐れられるまでに至った「ガンダム」の実戦データから生み出された「RGM-79}、通称「ジム(GM)」は「ガンダム・マスプロダクションモデル(ガンダム量産型)」の略称であるとするのが通説になるなど、連邦軍の「ガンダム神話」は、この段階で定着を見せていたと考えられる状況になっています。

ガンダムと呼称


「ガンダム」という名称は、秘匿名や通称の類いとして、元は特に意味を持たない文字・音の羅列から名付けられたルーツ不詳のものであったと考えられます。

それが「アムロ・レイ」という一人のパイロットに渡った結果、恐るべき戦果を挙げる事で「神話」とすら評される働き、ひいては連邦軍の「モビルスーツ戦略」という動向に多大な影響を与える事で「ガンダム」という名称に絶対的な存在感と神話的説得力を与えてしまう事になったと言えます。
長期戦の覚悟を決めていた所であったのが、わずか3ヶ月で終戦を迎えられる程の劇的な効能をもたらした事は、良くも悪くも予想外だったと言えるのかもしれません。


こうした、伝説成果と同時に「一年戦争」や「V作戦」といった、広範で語るに余りある物語が、その空隙を埋めて行く事を受容。未公開設定の企画化や外伝的エピソードの追加した結果、物語(歴史)の広がりと共に「ガンダム」という名前が持つ意味も広がっていったと言えます。

ちなみに「V作戦」、開発段階のものはほとんど一切が抹消されていると考えられる中で、史料としては伝聞や私的な記録と扱われるであろうエピソードとして「ガンダム」の開発担当者であった「テム・レイ」が、実験機を用いたテスト段階にあった「RX-78」を「ガンダム」と名指している事がありました。
漫画「RX-78誕生秘話」に描かれたエピソードは、虚実両面の意味から公的な史料として扱えるのか疑義の余地が大いにあるものの、事実であるなら計画段階において「ガンダム」という呼称は定着していたと明言が可能になるものとして触れさせて頂きます。

ガンダムのようでガンダムじゃない


「一年戦争」の終結によって「ガンダム」の名は「神話」や「英雄譚」として「宇宙世紀」の世界に定着していきましたが、あまりにも劇的過ぎた戦果と経緯のギャップ。
「戦後施策の失敗」と「仮初めの平和」という混迷の中で、伝説であると同時に兵器に過ぎない「ガンダム」という存在が根深いものとして人々の間へ浸透していく事になっていきます。

地球圏は表向き平和を取り戻したものの「ジオン残党」という、地球連邦政府の終戦、戦後施策の失敗を象徴する存在との「戦い」が続く事となり、軍縮政策と戦力の拡充という苛烈な板挟みの中で、連邦軍内にも大きな歪みを生んでいました。

新興の武断派筆頭として急速に力を伸張していた「ジャミトフ・ハイマン」率いる派閥、後のティターンズが「V作戦」の派生機である「NT-1」「4・5号機」等の開発に携わっていた「オーガスタ研究所」から機体や技術の提供を受けた。
後に我々の、我々による、我々のためのガンダムとも賞された、「ガンダムMk-Ⅱ」に至る、地球連邦軍直系と言える「ガンダム」の系譜がその一つです。

これは急進色の強い派閥が「ガンダム」という伝説を旗印とする事で、地球圏全域に潜伏する「ジオン残党」の「徹底的な殲滅」を掲げ、相手の戦意を挫く意図があったとされます。
同時に単なる外見的な示威に留まるものではなく、性能面においても「次代のガンダム」という存在を内外に印象付けるべく先進的な機能が導入された高級機であった。
この「ガンダム」=「最先端を行く高性能機」という構図から、開発側において「予算獲得」という下世話とも言える役割を持たされたとされるケースもあり、その代表格となったのが「サイコ・ガンダム」と呼ばれる大型機でした。

「操縦系統を全てサイコミュで制御する」という「ニュータイプ研究」の到達点を目指して設計されたもので、技術的完成度の低さから制御系統が巨大化してしまう。当然予算も激増してしまったという経緯から「ガンダム」として設計する事で予算を獲得したという説が存在します。

結果的になまじの手段では、破壊どころか機能停止すら無い程の怪物機として完成された。「ガンダム」の皮肉な面目躍如というものでした。

ガンダム開発計画


一方、これらの動きから5年ほど先んじていた「連邦軍」の「穏健改革派」と評される派閥。
地球連邦軍の腐敗を打倒しつつ体制の改革を掲げる勢力、「保守本流」や「保守強硬派」とも言えるかもしれません。「ジョン・コーウェン」中将を管理責任者として、秘密裏に推進された「ガンダム開発計画」と称される計画でした。

これは「一年戦争」後のジレンマに対し、新型機の研究開発という成果が未知数ながら、多額の予算を要求されてしまう項目を「外注」という形で委託する事で、縮減しながら成果を出すという無理難題の突破口としたものでした。
この無理難題を受託したのが「アナハイム・エレクトロニクス」、この計画に際して同社と連邦軍は多重の秘匿工作を行ったと見られ、管理上「V作戦の模倣」となるような形で「RX-78」の型式番号が引き継がれたとされます。

この計画を軸として起きてしまった、「一年戦争」後の最大規模の紛争である「デラーズ紛争」の顛末において、一切の記録を抹消する。そもそも記録していなかったという事にあって、完全な痕跡の抹消にも一役買ってしまったという事があったかもしれません。
とは言えそれが全くの無為に終わってしまったという事ではなく、同計画において用いられた技術が発展し「アナハイム・エレクトロニクス」が、名実共にモビルスーツ製造の主流を為すようになっていきます。

その結果として生み出されていく事になった、アナハイム開発による高機能モビルスーツを指す通称と言えるのが「アナハイム・ガンダム」という総称です。
この中には「開発段階ではガンダムと仮称された」とされる機体もあり、性能的にも比肩するものを持っていたものの、完成に至らず機能を制限される事で別機体となったという経緯であったり、単にその名称を憚ったというものなど様々な機体に見合った様々なエピソードが存在します。

中でも当初「γ(ガンマ)ガンダム」の名称が与えられていたものの、外見的に似つかわしくないとして、メインパイロットであった「クワトロ・バジーナ」によって「リック・ディアス」と改名されたエピソードは、「ガンダム」という名が特別である事を暗示したエピソードであったと言えるでしょう。

この「リック・ディアス」を皮切りに、「百式」「Z(ゼータ)ガンダム」といった高性能新鋭機を矢継ぎ早に打ち出して行った「アナハイム・ガンダム」の系譜。
その完成に必要な最後のピースとなったのが、かつてガンダムを追い詰めた男が「戦いを終えたガンダムの残骸からもたらした新素材」であった「ガンダリウムγ」と「ティターンズが威信を掛けて完成させたガンダムMk-Ⅱ」であった事は大いなる皮肉という事であったかもしれません。

そして「アナハイム・ガンダム」、正確にはその協定先であった「エゥーゴ」によって活躍する事で「ガンダム」という存在には「反攻の旗印」という意図が加わっていく事となりました。
以降「アナハイム・ガンダム」の隆盛は「宇宙世紀0093」頃、「第二次ネオ・ジオン抗争」と呼ばれた戦乱の顛末を契機とする時期まで受け継がれていく事となります。

アクシズショック

「ジオン残党」の多くを糾合した「ネオ・ジオン」、総帥「シャア・アズナブル」を失い組織力を大きく減退させた一方。地球連邦も「アクシズショック」と呼ばれる事象によって、破滅的事態の回避と引き換えに「アムロ・レイ」と「ガンダム」という、正しく「象徴としてのガンダム」像そのものを失う事になりました。

結果的にこれらの事態を経て「宇宙世紀0100」頃には「ジオン残党」の動向がほぼ停滞する事となり「宇宙世紀0122」頃に「最後のジオン残党」とされる「火星旧ジオン残党軍」。
通称「オールズモビル」の反乱終結を以て「ジオン残党」の反乱は終わったとされます。

「一年戦争」から実に40年あまり経過したこの時期、ジオン残党の動向も区切りが付いたという段階にあった。
「アナハイム・エレクトロニクス」の影響力も低下していた事も手伝い、連邦軍内の研究開発機関「サナリィ」が主導的立場を取った機種統合計画「フォーミュラ計画」が発動、
過去の歴史的経緯から「ガンダム」という名を嫌い、正式採用機としての名称を「F91」のように型式番号に準ずるものにしたという経緯が存在します。

こうした事情を意に介さなかった人物が同機を見て「フェイスデザインが似ていた」という理由から「ガンダム」と称されるようになったのは、歴史の皮肉というものかもしれません。
加えて「F91」が戦火へ飛び込んだのは、正に「コスモバビロニア帝国」を標榜する暴虐への「反攻」の只中であったというのも「ガンダム」という存在の宿業めいたものだったかもしれません。

宇宙世紀とガンダム

そしてそこから更に30年あまり、「第二次ネオ・ジオン抗争」から60年も経過した時期。
最早組織として形骸化していた「サナリィ」と、かつての栄光を遠い昔のものとした「アナハイム・エレクトロニクス」が協力体制を敷き、地球圏での支配確立を推し進めた「ザンスカール帝国」に対する「反攻の旗印」としたのが「V(ヴィクトリー)ガンダム」でした。

「ザンスカール帝国」もまた「腐敗した地球連邦政府に対する反攻者」として蜂起した組織であって、お互いが「反攻」を標榜するという「宇宙世紀」の混迷が極まった状況に「ガンダム」が現れるという事態は、伝説を乗り越えて人が意思を示そうとした姿であったと希望的観測をしたくなるような顛末だと言えましょう。

以上が「宇宙世紀0153」頃までの「ガンダム」という存在の歴史となります。神話が呪縛となり、示威と忌避の果てに少しの希望が残ったと言うような、人の宿業を押し固めたとも見える「宇宙世紀」の「ガンダム」の姿、その功罪が交錯する姿に曰く言い難い魅力を感じてしまうものなのかもしれません。

「ガンダム」という名称が指すものを取り上げてみましたが、筆者の筆力不足と書きたい事が多すぎて「宇宙世紀」のものに限られてしまいました。

「機動武闘伝Gガンダム」に端を発する「宇宙世紀」の世界とは状況を異にするそれぞれの世界、今や「オルタナティブ」と総称するカテゴライズが必要になる程数を増やした作品では、それぞれの作品毎に「ガンダム」という名称を「共有」しながらも、それぞれにおいて独自の背景や哲学を持った名称として扱われるものになっています。

※画像はイメージです。

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