それは初夏の頃と記憶しています。
夜、従兄弟から電話がありました。叔父が倒れ、病院へ運ばれたという知らせです。
病名はくも膜下出血とのことで、発見が遅れたため危険な状態らしい、という話でした。
叔父は数日前まで普通に元気で、つい先日も私の家へ来ていたのに。
驚きつつも、父に事情をはなし、一時間ほど離れた総合病院へ車を走らせたのでした。
夜間受付を済ませて案内されたICUへ、待合室で従兄弟と合流し、休憩スペースで簡単に話を聞かされましたが、内容はほとんど頭に入りません。
叔父が危ない、その事実だけで十分でした。
しばらくして処置が終わり、従兄弟と一緒に病室へ移された叔父のもとへ向かいました。
叔父の病室
私は人工呼吸器や医療機器が並ぶような特別室を想像していましたが、通されたのは普通の個室でした。窓もなく、狭く薄暗い部屋で、人工呼吸器をつけた叔父に回復する気配は感じられません。こんな部屋で大丈夫なのかと、従兄弟と話をしたのを覚えています。
会話もできない叔父との面会を終え、何かあったら連絡をもらうことにして帰宅しました。
その途中、病室のプレートに「404号室」と書かれていたのが妙に気になり、なんて縁起の悪い番号なんだろうと、車の中で父と話したのです。
叔父が亡くなった知らせを受けたのは、帰宅してすぐでした。
続いて叔父の奥さんも
しばらくして、後を追うように叔父の奥さんも倒れました。
お風呂でシャワーを浴びていた最中だったそうで、叔父と同じ総合病院へ運ばれました。
今回も、検査を終えたあと普通の個室へ通されたのです。
それも、叔父と同じ「404号室」でした。
従兄弟に付き添ったあと、私は一抹の不安を感じながら帰宅しました。
そして翌朝、亡くなった知らせを受けたのです。
夫婦ともに頭部に関係する形で亡くなったことに因縁めいたものを感じながら、「404号室」のことが妙に気になっていました。叔父の奥さんの葬儀の最中、お焼香に来ていた近所のおばさんたちが、「404号室」は曰くつきで、運ばれた患者は必ず亡くなるなんて噂を聞きました。
もっとも、二人とも助からない状態だったのでしょう。
もしかすると助からない患者のために用意された特別室であるのかもしれません。
いずれにしても、「404号室」は死を予感させる数字なので露骨すぎです。
404号室
それから一年ほど経った頃、仕事中に骨折した父も、この病院に入院することになりました。
叔父夫婦のことを知っていた父は、治療中に冗談半分で、
「俺はまだ死なんぞ。404号室には入れるなよ」
と言ったそうです。
すると看護婦さんは少し困ったような顔をして、
「あの部屋へ行くことはありませんから、安心してください」
と答えたといいます。
もちろん、恩怨のような話ではなく、現実的な理由があるのでしょう。
それでも私は「404号室」がどういう病室なのかを知ってしまった気がします。
※画像はイメージです。


思った事を何でも!ネガティブOK!