15年前、仕事に疲れてしまったので、気分転換のつもりで引っ越ししました。
都心から少し離れた場所ですが、電車でも30分程度だったので通勤もそこまで苦ではありません。
新しくもなく古くもない、ごく普通のアパートでしたが、目の前に大きな池が広がり、水辺や釣りが好きだったこともあって妙に気に入ったのを覚えています。
いままで住んでいたアパートよりも広くて1人暮らしには十分過ぎる。
愛犬と一緒に、そこで暮らし始めました。
不思議な出来事
池のそばなので、虫が多いことを除けば、その部屋は快適でした。
異変が起きたのは、住み始めて1か月ほど経った頃です。
寝室でネットサーフィンをしていたとき、足元にいた犬が低い声で唸り始めました。
普段は滅多に吠えたりしない犬だったので、何事かと思って視線を向けると、クローゼットを睨みながら、落ち着かない様子でクルクル回りながら唸っているのです。
いったいどうしたのだろうとよく見ると、扉に大きな虫が張り付いていました。
どこからか入り込んだのだろうと思い、虫をつまんで外へ捨てたのですが、犬は唸るのをやめません。
まだ何かいるのかと思い、クローゼットの辺りを探っている時でした。
両開きの重たいクローゼットの扉が、音もなく、ゆっくりと少しだけ開いたのです。
ちょっと驚きましたが、建付けが悪いだけだろうと思い、クローゼットの扉を閉めたのですが、なぜか犬は落ち着かない様子。
仕方なく、気分転換も兼ねて散歩へ連れ出し、1時間ぐらいして部屋へ戻ると、閉めたはずのクローゼットが、また少し開いていました。ただ、犬はすっかり落ち着いていたので、空いたままでもいいやと思い、その日は気にしないことにしたのです。
見てしまった
それから一週間ほどは何もなく、私自身も半分忘れかけていた、ある夜中のこと。
突然、誰かに見られているような感覚に襲われて目が覚めました。
今まで感じたことのない、不快な視線。
嫌な予感がして、ゆっくりとクローゼットの方へ目を向けると、少し開いた扉の奥、吊るされた服の隙間から誰かがこちらを覗いている!
暗い部屋の中でしたが、人の顔だということだけは、はっきりわかりました。
私は思わず悲鳴を上げ、その瞬間、犬の方を見ると部屋の隅で小さく丸まって震えています。
どうしていいかわからないまま、とっさにクローゼットの扉を閉め、近くにあったテーブルや椅子を押しつけて塞ぎました。その夜は、犬を無理やり布団の中へ引き込み、朝までほとんど眠れませんでした。
それからというもの、夜中に視線を感じたり、金縛りに遭うことが増えたのです。
私はついに耐えきれなくなり、その部屋を引っ越すことにしました。
あれから
引っ越し先の生活も落ち着き、ようやく安心して眠れるようになった頃、友人からメールが届きました。
開いてみると、以前住んでいたアパートの前の池で入水自殺があったらしく、それ以来、幽霊を見たという話が多く、心霊スポットとして有名なのだと書かれていたのです。
それを読んだ瞬間、クローゼットの隙間から覗いていたものを思い出し背筋が寒くなりました。
後日談ですが、それ以来、犬は妙に臆病になり、夜中になると暗い方を見つめながら唸ったり、突然吠えたりすることがあります。
私自身も、その様子を見るたびに、また何か恐ろしい事が起きるのではないかと不安になります。
今でもあの部屋のことを思い出すと、怖かった記憶が蘇りますし、完全にトラウマです。
Image Generation: Gemini by Google


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