どこか変なロボット漫画?戦記SF「妄想戦記 ロボット残党兵」

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突然だが、世の中には「変な漫画」と「変じゃない漫画」が存在する。
今回ご紹介する漫画『ロボット残党兵』(著: 横尾公敏)は確実に前者。「変な漫画」にカテゴライズされる作品だろう。どこが変かと言われたら、「少しずつ全部変」なこちらの漫画。ただ、漫画好きの間では隠れた名作との声も高い。

では、どこがどのように「変」なのか今回はその「おかしな魅力」に迫ってみよう。

目次

ロボット兵!ギャグみたいだがギャグじゃない!

今回ご紹介する漫画『妄想戦記 ロボット残党兵』は、2008年から2011年まで連載されていたロボットSF漫画である。

舞台は第一次世界大戦下、人間を機械化する技術が発明されたパラレルワールド。第二次世界大戦末期、敗戦濃厚な日本軍はそんな人体機械化技術を結集した「機械化兵士」の実戦投入を決断。
病に侵された主人公三船は、家族を守るためその被験体第一号としてその身を差し出すのだが……というのがざっくりしたあらすじ。

生身の身体を機械に置き換えると言った発想や、超科学によって実際の歴史が変わっていくストーリーラインはSFとしてはベタ。追い詰められた主人公が異形となる(ならざるを得なくなる)という設定も、『仮面ライダー』シリーズや、『ベルセルク』など枚挙にいとまがない。

あらすじだけ見ると本作ももそんな作品群のひとつであり、「変な漫画」とは言えない。ではどこが「変」なのか。特筆すべきはやはりこの作品でメインを張る、機械化兵士のビジュアルだろう。全体のフォルムは鉄人28っぽくあるものの、のっぺりしていて表情もなく不気味だ。
『攻殻機動隊』の義体のようにスタイリッシュだったり、『鋼の錬金術師』に見られるようなスチームパンクとしての親しみやすさを感じさせるデザインではない。一方で、作中での彼らロボット兵の動きはどこかもっさりしていて滑稽ですらある。

単純なフォルムで、いかにも「機械」といった風体のロボットが、滑稽な動きで蠢き、敵を殲滅していく。この雰囲気はSF戦記というかホラーだ。そもそも、本作は作画自体がかなり独特。描き込みは凄まじいが、画面の整理があまりされておらず、戦闘中だろうが会話シーンだろうが情報量がものすごく多い。
また絵柄も花があるわけではなく、メカデザイン同様レトロでありながらどこか親しみを拒絶したかのような荒々しい筆致が目立つ。まるで作者の脳内をそのまま出力したかのような作画でお送りされる本作。最近の美麗で整理された作画の漫画に慣れていると、本作のテイストに初めて触れた時、ギョッとしてしまう人も多いだろう。
だが、驚くのはまだ早い。本作はストーリーもまたジェットコースターだ。お次は『ロボット残党兵』のストーリーについて深掘りしてみよう。

作者の夢が詰まりすぎ?ストーリーもやっぱりカオス!

作者の脳内をそのまま出力したかのような独特なビジュアルと、ダークな設定が際立つ漫画『妄想戦記 ロボット残党兵』。作者が「妄想」戦記と称するとおり、そのストーリーもなかなかのカオスっぷりだ。

あらすじは最初に説明したとおり、病に侵された主人公が機械化兵の被験体となり、最前線に赴くといったもの。
その後も大筋は変わらず、主人公たちは他国も投入し始めた機械化兵士たちと死闘を繰り広げるのだが、同時に物語はあらぬ方向に急カーブを切る。なんと、主人公たちが快進撃を繰り広げる一方で、軍内部の内輪揉めや機械化兵士をめぐる国内勢力の争いが勃発。

秘密警察や特務機関、テロリストらを交え、ストーリーはカオスへと突き進んでいくのだ。正直、一応筋はあるものの、情報量が多くコロコロと場面が変わるこのあたりは、読んでいてわかりにくい。誰がどの勢力でどういう思惑で今どこにいるのか一発で理解するのは難しいだろう。
作画も相まって、作者の夢をそのまま漫画にしたと言われても信じてしまいそうですらある。だが、作品に慣れてくると不思議とこの情報量、このリズム、このごちゃごちゃした絵柄……というふうにクセになってくるのも事実だ。

また、作品に流れるいかにもサブカルな雰囲気に反して、基本のストーリーや設定に小難しさはなく、素直に読めるところも本作の魅力だろう。絵柄や演出が独特であるために、はっきり言って好き嫌いが別れる本作だが、中身は今どき珍しいぐらいにストレート。
『妄想戦記 ロボット残党兵』はそのアンバランスさゆえに、読むべき「変な漫画」として語り継がれているのだろう。

妄想戦記 ロボット残党兵

さて、今回取り上げた漫画『妄想戦記 ロボット残党兵』。
作者が「妄想」と称する通り、マンガが好きな高校生がやりたいことを全て詰め込んだ上で奇跡的に成立しているような名実ともに「変な漫画」である。
気になった方はぜひその「変さ」を体験してみてはいかがだろうか。

(C) 横尾公敏 徳間書店

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