この話は私が20歳のとき、おばあちゃんから聞いた話です。
戦時中、まだ子供だったおばあちゃんが体験したことをお話します。
当時、おばあちゃんは横浜の女学校に行っていましたが、戦争が激化し、空襲が多くなるにつれて田舎へ疎開したそうです。
疎開先は今の千葉県の香取市の辺り。
そこではお米など高級な食料があるというわけではありませんが、食べるものが無いと困るようなことはなかったそうで、さつまいもやじゃがいも、魚などを食べていたようです。
空襲もなく穏やかな生活ができていたそうですが、そんなある日、空からパラシュートをつけたアメリカ兵が降りてきました。
落ちてきたのは1人だけで、何らかの原因で飛行機から脱出して、たどり着いたのだと思われます。
着地すると、そこには人々が沢山駆けつけ、取り押さえられ、その人はすぐに警察に連れて行かれました。
そして、おばあちゃんはその人の事がどうしても気になって、その後をつけたそうです。
牢屋のような場所に閉じ込められ、柵越しに中を覗くことができるようになっていて、他にも多くの人が興味本位で集まってきました。
おばあちゃんも覗いて見てみるとアメリカの兵隊さんの姿が・・・怪我はなく無事だったようで、言葉も通じない、不安そうにおばあちゃんや集まった人たちのことを見ていたそうです。
アメリカ人を初めて見たおばあちゃんの言葉をそのまま使うと、
「青い目をしていて金髪、子供のような若い男の子にすごくびっくりした記憶が忘れられない。」
日本でも若い男性が兵隊に行っていましたが、アメリカでもこんなに若い子が戦っているのだということを知った瞬間だったそうです。
誰もその子を傷つけるようなことはなく、食料を与えていたようでしたが、数日後にはいなくなっていました。
その後、その子がどうなったかはおばあちゃんはわからないそうです。
敵の兵が現れたら竹槍で戦い、殺す!という教育を女学校で受けてきたおばあちゃん。
しかし、周りの大人も子供もすぐにそのような行動を取ることはありませんでした。
落ちてきたところが平和な場所だったからかもしれませんが、1人の人間として見れば誰もすぐに殺すようなことはできなかったのかもねと、私に伝えたかったそうです。
元々は銀行員でしたが、主人との共稼ぎ生活が多忙すぎて専業主婦となりました。
年甲斐なくキャラクターものが大好きで、バーバパパやスヌーピーグッズを集めています。
※写真はイメージです。
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