能登半島地震に被災された方々、お見舞い申し上げますと共に、1日も早い復興をお祈り致しております。
支援される方々、困難へ取り組まれる事への感謝と、二次被害が生じないようお祈りしております。
石川県の輪島は、2021年に永井豪記念館を見るため訪れたが、まさかこうなってしまうとは。
旅路で接した人々の痛みが出来るだけ浅く、そして早く癒える事を願うばかりである。
さて、地震が発生する時、思い出したように出て来るのが人工地震説である。
人工地震は実在する
人工地震とは、人工的に起こす地震の事である。
具体的なやり方としては、地中で大きな爆発などの衝撃を与える事で、地上を揺らすものである。
分かり難い場合は、金属の塊などを、反対側から叩いて、音を聴いてみると良い。
叩く動作が衝撃で、伝わって来た音が地震エネルギーだ。
これ自体は実に単純なもので、現実にも発生している。
土木工事の発破(ダイナマイト)で、ごく小さな人工地震が発生する事はある。震度を問わないなら、人がハンマーで岩を叩いた衝撃だって人工地震だ。
反響の仕方で成分や密度が推定できるため、地中の探査のため、意図して起こすこともある。
探査に使われる衝撃は、爆薬の他、圧縮空気、水中への放電、重たいものを落とす、といった方法も取られる。
そのエネルギーはどこから?
人工地震が可能なら、震災も人工地震だ、というのは、早計である。
端的に言えば、震災になるような地震エネルギーは大きすぎて、人間が作り出すのは困難である。
1970年代にアメリカが行った地下核実験では、約5メガトンという最大級の「W71核弾頭」を利用した。
これにより、マグニチュード6.97の人工地震が発生したという。
この数字だけ見ると、マグニチュード7.6のの能登半島地震と近そうだ。
だが、マグニチュードというのは曲者で、複数の定義が複数存在する上、数字と実際のエネルギー量の関係は比例ではなく対数グラフとなる。
仮に同じ尺度のマグニチュードだったとして、
- 6.97で約2000兆ジュール
- 7.60で約1京5800兆ジュール
つまり、能登半島地震の方が、8倍近くのエネルギーを持つ。
5メガトンで起こした人工地震の8倍なのだから、5×8=40メガトン級の核兵器を使わなければ、マグニチュード7.6クラスの人工地震は起こせないという理屈だ。
がしかし。
このクラスの核兵器は、アメリカのB41(25メガトン)か、旧ソ連のツァーリ・ボンバー(50メガトン)がせいぜいだ。
いずれも両国の最大威力の水素爆弾、要するに最終兵器である。
※広島型原爆が、0.016メガトン程度。
尚、震災級の人工地震をHAARP(High Frequency Active Auroral Research Program:高周波活性オーロラ調査プログラム)と関連づける論もあるが、入力するエネルギーより、出力する地震エネルギーの方が大きくなるため、エネルギー保存の法則に反する。
これが出来るというのは、つまり永久機関が完成したという事である。
そんな事が出来ていたら、アメリカはもっと豊かになり、発展していた筈だ。
有り余るエネルギーで国民全員が豊かになり、世界中から物を買い集めたろう。
そこでは、生活保護受給者でも、毎食フレッシュなサラダが食べら、どんな些細な病気でも病院が利用でき、店主は貧困者による略奪に怯える事もない、夢のような国家となっていた筈だ。
もしも人工地震が出来たら
さて、一歩進めて、仮に人工地震が行えたとしよう。
それは何の為だろうか。
しばしば語られるのは、反政権的な意見の統制、口封じ、他国からの攻撃、といった文脈であろう。
それは、少々理屈が合わないのではないだろうか。
冷戦時代の米ソが「ヤバいからもうやめよう」と、退役させた規模の核を、こっそり保有し、こっそり仕掛け、地中で爆発させる。
出来ない、と言い切らず、敢えて出来た、としよう。
これが「攻撃」だった場合はどうだろう。
最初の1発で地震が成功した後、首謀者は考える筈だ。
「おや、我々のせいだと気付かれてない」
まだ手元には水爆がある。
「じゃあ、気に入らない敵を吹っ飛ばそう!今度は地上で」
こうならないだろうか。
核抑止は使用する相手がはっきりしているから成り立つ。
テロリストが使った事にすれば、アメリカだろうがロシアだろうが、即座に報復はし難い。
では、国内向けの「情報統制」のためならどうだろう。
現政権のスキャンダルなどをもみ消すため、地震を起こして国民の目を逸らすという方法だ。
当然、核使用がバレれば逆効果なので、関わる者には、箝口令が敷かれる。
だが核兵器は、金庫にしまっておけるような小さなものではない。
世界を滅ぼすレベルの核兵器は、これを製造するのも、維持するのも、設置するのも多数の人手が必要だ。
ボーリングの穴に押し込めるようなサイズではない。海中にキロ単位の深さに車道並の太さの大穴を空けるのだ。並大抵ではない。
工程全てが徹底管理され、職員の身元は完璧である。万一、それを臭わせる情報がもれた時は、徹底して隠蔽工作を行う。
マスコミどころではない。各国のスパイが忍び込む可能性だってある。
そんな風にして、極秘裏に維持している核を、情報操作の人工地震の為に使う。
結論から言えば、回りくどすぎる。
素直にその徹底した情報操作能力で民意を操れば良い。選挙対策なら、予算分を賄賂にして票を買えば良い。情報が漏れる事もなかろう。
そもそも、政治の実行部隊は官僚だ。1人の政治家を生かすために国土を破壊して、官僚に旨味はない。そんな政治家に官僚は協力せず、早急に首がすげ替えられるだけだ。
オカルトの作法を守ろう
以上から、人工地震説は、理屈に合わない説と言わざるを得ない。
「そうでない証拠はない」
と、悪魔の証明を持ち出した時点で、反論ではなく北宣言だ。証明責任は、通説に反する説を提唱した側にある。
そもそも人工地震説の証明は単純だ。人工地震に関する装置、機材類の発見、関わった人からの矛盾のない証言が提示出来れば良い。
本当に人工地震なら、是非やって貰いたい。そして、出来れば人工地震を起こす前に、マスコミなり何なりにリークすれば、そのまま実行はされないだろう。
完璧に隠蔽されているので不可能、分かっている情報も情報操作のために流された、という言説は、5秒前仮説と言っている事が変わらず、何も説明はしていない。
オカルトなり都市伝説なりは、想定読者が明らかに「そう」だと分かるよう語るのが作法であろう。
被害者の揶揄や、混乱状況にある人を騙す意図で、虚実曖昧のまま流すのであれば、反社会的行為と断ぜられても仕方ない。
それは、言論の自由による表現ではなく、風説の流布という文脈で規制されるべきものだ。
※画像はイメージです。
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