MENU

超常現象の渦~失踪者続出のベニントントライアングル

当サイトは「Googleアドセンス」や「アフィリエイトプログラム」に参加しており広告表示を含んでいます。
  • URLをコピーしました!

原因不明の失踪事件が多発するスポットといえば、バミューダトライアングルがまず思い浮かぶ。だが、不可解な現象が報告される魔の三角形は地上にも存在する。北米大陸のベニントントライアングルもそのひとつだ。

ベニントン近郊の暗く深い森にはネイティブアメリカンの不気味な伝承が伝わる。ミステリー好きやオカルト愛好家の好奇心をかき立ててきたこの地で、20世紀半ばに起きた一連の未解決失踪事件を振り返る。

目次

陸のトライアングルへようこそ

アメリカ北東部、ニューイングランド地方のバーモント州にベニントンという町がある。作家ジョセフ・シトロによって命名されたベニントントライアングルは、近隣のグラステンベリーやサマセットなどの町を含む、大まかに定義された一帯をさす。現在、グラステンベリーとサマセットは事実上ゴーストタウンになっており、林業で栄えた往時の面影はない。

グリーンマウンテン国有林の森林地帯にまたがるこのエリアは、かつては夏の避暑地として賑わいもみせたが、雄大な大自然は人の立ち入りを拒んでいるかのようにもみえる。なによりも、このあたりは昔から陰鬱な風説が絶えなかった。
冷たい山風が吹き下ろし、唸りをあげる荒野をネイティブアメリカンは「悪霊が棲む呪われた土地」と呼んで避け、死者の埋葬地とした。足を踏み入れるときは身を守るための儀式を行い、呪文を唱えながら進む。森の奥深くには、近づく者を飲み込む人喰い石の伝承もあった。うっかり石を踏んでしまい、帰らなかった者がいたという。

最初に入植したヨーロッパ人も、山の上空に奇妙な光を見たり、森から聞こえてくる不気味な音を聞いたり、どこからともなくただよう奇妙な匂いを嗅いだりしたと伝えている。
山に怪物が潜んでいるという言い伝えもあった。駅馬車を襲って横転させた正体不明の生き物の目撃談も一度や二度ではない。

20世紀に入ると、夜空を横切る発光物体やビッグフットのような怪物の目撃者があらわれる。野生動物のものではない巨大な足跡も発見されて、伝説のベニントンモンスターだと住民は震えあがった。
しかし、このミステリーゾーンが人々を真の恐怖に陥れるのは第二次大戦後のことである。

森に消えたベテラン山岳ガイド

最初に姿を消したのは地元の山岳ガイドだった。ベニントントライアングルの伝説はここからはじまる。
1945年11月12日、74歳の熟練ガイド、ミディ・リバースはグラステンベリー南西の森にある「地獄の谷」で4人のハンターを誘導していた。一行がキャンプに戻る途中、リバースは義理の息子とともにある地点まで進むと、すぐに戻ると言い残して森に姿を消した。
ところが、いつまで待ってもリバースは戻ってこない。4人は周辺を捜したが、彼は忽然と消えてしまった。

ただちに州兵が派遣され、地元住民らも協力して捜索を開始した。が、8日間にわたる大捜索で得られた手がかりは川辺に落ちていたリバースのライフルの弾丸のみ。
捜索が難航するなか、人々は一縷の望みにかけた。リバースほど経験豊富で土地勘のある男なら、きっとどこかで生きていて、戻ってくるにちがいない。しかし、期待はあっさり裏切られる。

第一の失踪に関しては、たんに道に迷って命を落としたとは考えにくい。リバースは狩猟や野外活動のリスクを知りつくしていたし、厳しい自然環境におけるサバイバルスキルにも長けていた。これまでに自殺説や超常現象説などさまざまな説が提唱されたが、遺体や決定的な証拠が見つからないまま現在にいたる。

ハイキングから戻らなかった女子大生

翌1946年には、バーモント州史上もっと悪名高い行方不明事件、ポーラ・ウェルデン失踪事件が起きた。ベニントントライアングルをめぐるミステリーのなかで、本事件がことさらに世間の耳目を引いたのは、失踪者が若く美しい名家の令嬢だったからだろう。
ウェルデンはベニントン大学に通う18歳の学生で、同級生が帰省する感謝祭の休暇中にロングトレイル(バーモント州にある有名なハイキングコース)にチャレンジするとルームメイトに告げていた。そして12月1日午後2時45分、彼女は赤のパーカーにジーンズ、スニーカーという軽装で寮を出発し、二度と戻ってこなかった。
後方を歩いていた老夫婦によると、ウェルデンが林道のカーブを曲がっていくのをはっきりと見たが、彼らがカーブにさしかかったときには姿は消えていたという。

保安官や消防士ほか多くの人員が駆りだされ、地上と空からの大捜索が行われたにもかかわらず、痕跡はなにひとつ得られなかった。ウェルデンの父親は、生死を問わず娘を見つけてくれた人に5000ドルの報奨金をだすと言い、霊能力者の協力も仰いだが、努力はすべて無駄に終わった。捜査の不手際に非難の声が殺到し、7か月後のバーモント州警察の設立につながっていく。

第二の失踪については、道中で凍死したとみる向きが強い。しかし、それならなぜ遺体が見つからないのだろうか。

バスのなかで煙のように消えた老紳士

ポーラ・ウェルデンの失踪からちょうど3年後の同じ日、信じられない事件が起きた。その日、ベニントン退役軍人ホームで暮らす68歳のジェームズ・テッドフォードは、セントアルバンズの親類を訪ねたあと、帰路につくためベニントン行きのバスに乗車した。彼がバスに乗りこみ、ベニントンの前のバス停を通過するまで座席に座っていたことは運転手と乗客が目撃している。
ところが終点のベニントンに着いたとき、15人いるはずの乗客は14人になっていた。みると、テッドフォードの姿がどこにもない。もちろん降りたところは誰も見ていない。

狐につままれた乗客たちは、テッドフォードの座席に残されたトランクと時刻表に気づく。乗客らの証言が正しければ、ベニントントライアングルを横切る州道7号線を走行中に車内から消えたことになる。
理屈では考えられない消失事件に誰もが首をかしげた。降りるところを誰も見ていないというよりは、バスを降りた彼に誰も気づかなかったのだろうとの見方もあるが、それだと残された手荷物の説明がつかない。また、降車時にはいったん停車して乗降口を開ける必要があるから、運転手の話とも矛盾してしまう。ましてやテッドフォードの目的地は終点だったはずなのだ。

山に引き寄せられた少年

およそ10か月後の1950年10月12日には、8歳のポール・ジェプソンが消えた。最後に目撃されたのは、ピックアップトラックの運転席で遊んでいるところだった。豚舎の豚に餌やりをしている母親を一人で待っていたのだ。
ところが母親が戻ってみると、息子の姿が見当たらない。

ニューハンプシャー州の保安官に加え、数百人のボランティアが捜索活動に協力したが、やはり成果はあがらなかった。警察犬が林道に沿って匂いを追跡していき、小川近くで見失ったことから、誘拐の可能性も浮上する。地元住民によると、そこは4年前にウェルデンが消えた場所だという。

第四の失踪では、少年がみずからトラックを降りて迷ってしまったのか、それとも誘拐されたのかが大きな争点になった。解決の兆しがみえず、不吉な憶測が飛び交うなかで、少年は両親の手で殺害されて豚の餌にされたのだとささやく人もいた。
父親は、「あの子は山に引き寄せられたのだろう」とメディアに語っている。ベニントントライアングルのミステリアスな雰囲気に似つかわしい言葉ではあるが、だとすれば、少年を引き寄せたものはなんだったのか。

遺体で発見された主婦

それから3週間とたたないうちに、フリーダ・ランガーという女性がリストに加わった。土地勘のあるベテランハイカーがまたしても。
1950年10月28日、53歳のランガーは家族をキャンプ場に残して、従弟のハーバート・エルズナーとハイキングにでかけた。道中、足を滑らせて小川に落ちてしまったため、キャンプに戻って着替えてくると告げて来た道を戻っていった。
しかし、それにしてはやけに時間がかかりすぎる。
心配したエルズナーがキャンプ場にとって返すと、彼女はキャンプに戻っていないという。結局、ランガーはそのまま消息を絶ってしまった。ヘリコプターを投入した大がかりな捜索が5回に分けて行われたが、これまでと同様に手がかりは得られなかった。

ところが、第五の失踪は予想外の展開をみせる。
半年がすぎた1951年5月12日、変わり果てた姿のランガーが発見されたのだ。そこはキャンプ場から約5.6キロメートル離れたディアフィールド川の支流だった。もちろん、何度も捜索されたエリアである。遺体は腐乱が進んでいたため、死因の特定にはいたっていない。
ともあれ、過去5年間にベニントントライアングルで消えた男女のうち、戻ってきたのは彼女だけだった。

静かな町の恐怖

限られたエリアで次々に起きた行方不明事件。彼らになにがあったのか、その背後にはなにがあるのか。

連続殺人犯による犯行を指摘する人もいるが、失踪者の性別や年齢のばらつきを考えると、一脈の疑問が残る。連続殺人鬼は特定のタイプの人間を標的にする傾向があるからだ。5人の失踪の類似点を挙げるとすれば、地理的な一貫性があることと、すべてが秋から初冬にかけて発生していることくらいだろう。もしベニントンリッパーがいるとすれば、標的のストライクゾーンがきわめて広く、年の終盤の3か月に殺意が亢進する人間ということになる。
一方で、この地域に古くから伝わる人知を超えた事象とあいまって、超常的な力が働いた可能性を示唆する人も少なくない。タイムワープ、異世界につながるポータルの存在、宇宙人の介入などの説である。残念ながら、これらは証明のしようがない。

そもそも5人の失踪につながりはあるのだろうか。すべてのケースを説明できる万能な答えがあるなら、ぜひとも知りたいところだ。
身近な人間がある日突然、姿を消す。そのなかには、生命の危険にさらされる恐れのない失踪もある。みずからの意志で行方をくらます、自己都合の蒸発である。
消える場所はなぜか三角形。かの大西洋の墓場のように、ベニントントライアングルを神隠しゾーンと喧伝することは人々の注意をうながす効果がある。しかし一方で、人が消える事象を悪用する人間もあらわれる。それは殺人者であったり、自己都合の失踪者であったりする。そういう意味では、陸のトライアングルには海のトライアングルにはない危険がある。「悪霊が棲む」と断じて近づかず、立ち入るときは呪文や儀式で対策したネイティブアメリカンのほうがはるかに賢い。

18歳のポーラ・ウェルデン。家庭に問題を抱えていた彼女は、ボーイフレンドとの新たな生活を選んだのかもしれない。
バスで消えた老紳士。運転手と乗客が口裏を合わせた可能性はないだろうか。
母親の帰りを待っていた少年。本当に誘拐されたのだとしたら。
キャンプ場に戻ろうとした主婦。滑落して動けず、息絶えたあとに川に落ちたとも考えられる。

危うきに近寄らないのは君子だけではない。
筆者はベニントントライアングルに足を踏み入れようとは思わない。

※画像はイメージです。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

思った事を何でも!ネガティブOK!

コメントする

コメントは日本語で入力してください。(スパム対策)

目次