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祖父の前に弁当持って並ぶ同級生

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私の祖父は戦時中の話をあまりしません。
怖い話を孫に聞かせたくないからだそうですが、そんな祖父から唯一聞いているのがお弁当の話です。

戦時中は学校にいけない日もあるそうですが、学校に行ける日は各々お弁当を持ってくるのが普通だったそうです。
祖父は少々暴れん坊なところがあり、女子に対しては優しいものの女子男子関係なく少し怖がられていた存在でした。
しかし祖父はいじめっ子だったわけではなく、嫌なことは嫌だ、というタイプなだけだったと本人は言っています。

さて、ある日学校の昼食の時間に1人の男子生徒が誰かのお弁当を横取りした事件があったそうです。
祖父はそれを聞いて嫌になり、その男子生徒と取っ組み合いをしたようです。もちろん、先生にバレて叱られたそうですが、次の日から祖父はあることをクラスで執り行います。

クラス全員を自分のところに一列に並ばせて、お弁当の中身チェックを始めたそうです。
しかも、豪勢なお弁当からおかずを数品取り上げ、貧相なお弁当にはそれを分けるみたいなことをしていたそうです。

さらに自分は一番のいいところを食べていたようです。本人がそう言っていました。
私は何度聞いても不思議でならないのですが、クラスのみんなは不満を言わず従っていたようでした。きっと祖父が怖かったからだと思いました。
祖父の話はいつもここで終わってしまうのですが、不意に一度だけ祖母が真相を話してくれました。

余談ですが祖父と祖母は幼馴染で、当時はめずらしい恋愛結婚です。
そのため、祖母も一列に並んでお弁当チェックされていたし、そのことをはっきりと覚えているようです。
以下は祖母から聞いた話になります。

戦時中な為、お弁当を持ってこれない家庭もあったようです。
そしてあの男子生徒がお弁当を持ってこれない家庭と知り、祖父は悩んだようでした。そこで行ったのがクラス全員を一列に並ばせることだったのです。

平等にとまではいかずとも、誰一人「食べれない」ということがないように、祖父なりに配慮した結果でした。
私はてっきり祖父がおいしいところをもらうためだとばかり思っていたので、心底びっくりしました。

祖母が言うには誰も不満を言わなかったのは、みんな同じことをしたかったからでした。食べれない人がいる中、どう行動するのがいいのかみんなわからなかったそうです。
でも、祖父の行動のおかげでクラスの誰もが食べれる状況になったそうです。

助け合うことが大事なのはわかってはいるのですが、行動に移せる祖父をちょっとだけ尊敬しました。
今も暴れん坊なことに変わりないのですが、それも役に立つことがあるのだなと感じました。
戦時中の話は辛い事が多くあまり得意ではないのですが、祖父母からきいたこの話は優しくて好きです。

※画像はイメージです。

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