戦場の銃撃戦では敵を殺さない方が良いのです

戦争と言えば殺し殺されるものと思い込んでいますが、負傷という事の方が圧倒的に多いのです。
軍事的にも兵士個人も、戦死より負傷の負担の方が大きいと思います。

映画などで敵味方の歩兵集団が市街戦で銃撃し合うシーンを見る時、負ける方の兵士達が銃弾を受けてバタバタと倒れて行き、沢山の兵士が戦死し、やがて残存兵は後退して逃げるか白旗を上げて降伏して勝負がつきます。

敵を多く殺した方が勝って、敵に多く殺された方が負けたとほとんどの人は考えるのですが、実はこの様な野戦における歩兵同士の銃撃戦の場合、敵を殺してはいけないのです。
決して人道的にどうのという話ではなく、冷厳な純然たる軍事的戦術的な観点からいって、敵を殺してしまっては戦闘効率が悪くなるのです。

映画の題名にもある「フルメタルジャケット」とは命中時に弾頭が潰れ難い為に貫通銃創になり易く、比較的死亡率が低い「フルメタルジャケット弾」という弾丸の種類の事です。この対極にあるのは「ホローポイント弾」で、着弾すると弾頭が潰れて大きく広がる為に人体損傷率が大きくなって死亡率が高まる弾丸の事です。

ジュネーブ協定で戦時においても「ホローポイント弾」の使用が禁止されているのは、勿論人道的見地からのルールですが、このルールから見ても極論すれば、戦争においても小火器の弾は殺す目的ではないと言えるます。

何故か・・・銃撃戦の目的は敵の戦闘能力を減少させる事です。一人の敵を殺す時、敵の戦闘能力は一人減ります。

しかし敵を一人負傷させた時はどうでしょう。

隣の戦友が「大丈夫か」と銃撃を一時中断するでしょう。さらには衛生兵を呼んだり、自分で戦友を手当てするかもしれません。
また安全な場所に負傷兵を退避させるかもしれせん。負傷兵が重症だと二人で運ばなければならないかもしれません。

つまり、殺した時の比べて、負傷させた場合は2倍も3倍も敵の戦闘能力を削ぐ事ができます。
この意味で、小火器による歩兵同士の銃撃戦の場合、敵を殺すのではなく負傷させるのが一番効率的なのです。

ただし、小火器のみで武装した歩兵同士の単純な銃撃戦というのは実際には少ないでしょう。
迫撃砲や重火器が含まれたりすると戦闘の様相も変わりますし、戦闘中にそんな事を意識している余裕はないのが現実でしょう。


Writing by 歴史大好き爺さん
戦争映画で見る戦闘シーンは、映画としての迫力や面白さやカッコ良さの為に、現実と違った戦闘が描かれていると聞きます。
考えてみれば当たり前の事ですが、現実の戦闘についての学術的考察には面白い物があります。

※画像はイメージです。

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