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異次元の少子化対策は言霊から

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少子高齢化が叫ばれるようになって久しい。

少子化は将来不安が原因とも言われるが、戦後の混乱期、本当に将来に不安がなかったかと言えばそんな訳がない。
ソ連が日本の国土を絶賛侵略中だ。朝鮮戦争が一歩間違えれば、嬰児がどんな目に遭うか。それでも子は生まれた。

それは日本が未開で、まだ人権がなかった時代の事で、現代は男女同権や、子供の人権があるからおいそれと作れない?

生殖は三大欲求ではなかったか。
どんな政情不安でも、喰わない人も、寝ない人もいない。
だとすれば、そもそも生殖が本能であるというのは誤りではなかったか。
少なくとも、本来の生物的性質として、ここまで殖える生物ではないのではないか。

目次

過剰繁殖の非本能性

現代日本の人口は、極めて強力な恣意よって達成されていた可能性がある。

神話において、生殖は重視される。
御柱祭りや、直立した自然石を祀るといった、直接生殖を象徴するものがある。
主神である素戔嗚尊は、妻である奇稲田姫を、八重垣の歌を詠みこもらせる。こもってやる事は生殖に他ならない。

ストイックなフリをしているユダヤ教系も「産めよ増やせよ地に満ちよ」と言い、生殖に繋がらないオナンの射精を罪として処断している。
仏教の僧侶は基本的に妻帯を禁じるが、あくまで出家した僧侶の話であり、俗にいる者に禁欲を求めたりはしない。

もし生殖が本能であるなら、神話に「殖えよ」と記述される事が不自然だ。
何となれば、「眠れ」とも「喰え」とも「呼吸せよ」と神話に書かれないからだ。

日本の生殖戦略

宗教と政治は不可分である。
宗教指導者と国家指導者の間に、質的な差はない。
日本神話も、建国を神話化しながら、土着の信仰を習合したものと考えられる。

戦後、国家と宗教は切り離された。
政府の政策としての生殖推進は困難だったろう。
そもそも、政府が国民の行動をコントロールしたのは、過去の時代である。
戦後は、マスコミの時代になっていた。
どこにでもラジオの音が流れ、テレビに人が群がる。

政府は、これを利用する事にしたのだ。
ラジオを利用した、日本全域への言霊。
生殖推奨歌、すなわちラブソングを大量に世間に流入させたのだ。
一例として、戦後歌謡として有名な「リンゴの唄」を思い出して欲しい。
ミッキーマウス的に、著作権が引き延ばされたため、敢えて歌詞の引用は避ける。

リンゴとは、キリスト教における「知恵の実」の第一候補だ。
ここで得られた知恵は何か? 最初にやった事は陰部を隠す事であるから、当然性の知恵だ。
このリンゴに歌詞では、唇を寄せる。
空を見上げるのは、場所を選ぶな、という事だ。機会を増やせば当然、回数は増える。
何も言わないが気持ちが分かるとあるのは、一方的でも良いからやってしまえ、という奨励だ。
人権無視ではあるが、自分からのアプローチに抵抗があった時代は、この方向性も必要だったのだろう。

言霊戦略の効果

この調子で次々に連発されていく言霊により、人々は殖えていった。
生殖の回数も、婚姻率も歴史上類を見ない高さとなった。

古来、婚姻率は100を大きく下回る。
集落のサイズは小さく、男女比は容易に偏る。現世代のために幼い子と婚姻させれば、次の世代にどちらかの性が不足する。そこで起きるのは、長子への優先的な婚姻の供給だ。妾という形の重婚もタブーではなかった。そもそも一夫一婦制は、キリスト教のマイナールールだ。

こうなれば、当然男は余る。
長子以外が本家に居続け、生涯独身という場合もある。そういう成員がいて、一家は成り立っていた。医療が未発達な時代、労働年齢より後の人生は短く、一族の負担になる事は稀だ。

だが、言霊に圧倒された戦後、人は結婚しまくり子供を作りまくる。
一億が一億二千万になるというのは、株式投資で資産を増やすのと訳が違う。
人間はインフラを使う。ただ増やすだけというのは本来悪手だ。
だが、高度経済成長期はこれが噛み合った。
本来小作として働く人々が、サラリーマン化した。サラリーマンは農地を必要とせず、狭い場所と命令に従う事を好む。
綺麗に畳まれたハンカチよろしく、大量に増えた人間は、日本にきっちり収まっていった。

言霊装置の崩壊

だが、この言霊による生殖奨励戦略は、終焉を迎える。

1989年。

ザ・ベストテンの番組終了である。
理由は定かではないが、テレビ局中枢に敵国スパイが紛れ混んだ可能性は十分あり得る。
今まで、政府の生殖言霊発信源であったこの番組が終わる事により、一挙に言霊が途切れた。

合計特殊出生率は、前年1.66から一気に1.57まで下がった。これほどの下落幅は、1975年、すなわち第二次ベビーブームの終焉以来だ。

本来、政府は次の一手をすかさず用意すべきだった。
しかし、戦後はあまりに長かった。
生殖が本能であると、政府は誤解した。

崩壊は一瞬だ。
言霊装置としての流行歌は一気に廃れ、悪夢が訪れる。
すなわち「各々が好きな歌を楽しむ」という悪魔の時代である。
この状況に一度陥るともう戻れない。
コダーイを喜ぶ者が、乃木坂に夢中になるだろうか? 更に特撮主題歌と昭和歌謡を?
そんな例は、ごくごく僅かの変人だけだ。
多くの人間は、1つか2つのジャンルを好むだけで、それ以外は何となく聞いているだけだ。
統一的な流行歌は仕掛けられない。
放送は直接の肉声ではない以上、言霊装置としては力が弱い。今までの成果は圧倒的な数の賜物だ。散発的に流されても力が足りない。

言霊戦略の迷走

第二次ベビーブーム世代が子供を生まない事に危機感を覚えた政府は、もっと端的に、言葉を流し始める。

流行語大賞である。

広告代理店経由で、生殖に関わる言葉を徹底的に流布させていく。
世紀末のラインナップを並べるなら

  • 1997 失楽園(不倫)
  • 1998 だっちゅーの
  • 1999 ブッチホン(ビッチ)
  • 2000 IT革命(いたす革命)
  • 2001 ○太の方針、「痛み」
  • 2002 「タマ」ちゃん
  • 2003 毒「まんじゅう」(南九州方言)
  • 2004 チョー気持ちいい
  • 2005 想定「内」

だが、ここまで露骨な生殖語によっても、人口回復しなかった。

理由はインターネットの普及による、徹底した個人に特化した情報消費だ。
茶の間のテレビの形は完全に失われ、個人がスマホを覗くばかりだ。

異次元の少子化対策の真相

異次元の少子化対策といって、何が出来るだろう。

最後の望みはある。

また、昔のように、万人が同じ生殖語を耳にする時代が、訪れる。
NHKなら。
全国民が朝のテレビ小説を観れば良い。
そこに生殖奨励主題歌を流せば、一気に少子高齢化は改善するに違いない。
毎朝、出勤前にそんな言霊をぶつけられるのだ。性欲を解消する間もなく社会に出て行く人間が、どのように振る舞うかは想像に難くない。

否、1つ訂正がある。
「テレビ小説」ではない。
「スマホ動画小説」だ。

NHKのスマホ課金化は、異次元の少子化対策の一環だったのだ。
国の将来を憂うなら、NHKをぶっつぶさず、甘んじてこれを受け容れなければならないのだ。

それならせめて、アホみたいに高額な人件費を削れと思うなら、狭量である。
年収2000万のNHK社員が予算500万で番組を作らせるのと、予算1500万で作られた番組では、NHK社員が挟まった方が良いに決まっている。
NHK社員が挟まると、面白さとか、公平性とか、そういう番組品質以外のところで大きく向上する。

なんかこう、変わるのだ。
福利厚生とか。
天下りする官僚のやる気とか。
その、角度とか。

※画像はイメージです。

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