これは、20年くらい前のゲーム事情から起きた事件の思い出話です。
当時の兄弟事情
西暦1997~2000年頃
私 小学生低学年
兄 小学生高学年
歳は、4つ離れていましたが、2人でゲームで遊んだりするほど仲が良く、喧嘩をする事はあるけれど、私は兄の事が大好きでした。
当時の我が家でのゲーム事情
我が家は、あまり裕福な家庭ではなく、当時、ゲームは高価なもので簡単に買ってもらえるものではありませんでした。
私たち兄弟はお小遣いももらっていなかったので、買うには年に一度もらえるお年玉以外に方法がありませんでした。
ですので兄弟それぞれ、ゲーム機やテレビを所有するなどというのは夢のまた夢で、基本的に買ったゲームは、共有で使用するというのが当たり前でした。
そんななかで、プレステ本体は、確か兄が購入した物でした。
ですので、私はゲームソフトだけを購入して、2人で遊んだり、それぞれ遊んだりというのが通例だったのです。
モンスターファームの遊び方
モンスターファームは、1人用ゲームです。
モンスターを育成して他のモンスターと対戦し、大会で優勝するのが目的というゲームでした。
1度に2人でできないゲームなので、セーブデータを分けて交代交代やって、兄が遊んでいる間は、弟である私はそばで見ており、その逆もまたしかりでした。
私は兄が遊んでいる様子を見ていると、どうしても自分もゲームがやりたくなり、兄がセーブをする度に、
何回も「交代して交代して」と懇願し困らせる事もよくありました。
メモリーカードの使い方
今では当たり前の、外付け記録媒体(セーブデータを別に保存する物)もプレステが出た当時は初めての事でした。
ファミコン・スーファミは、すべてカセットに保存する上、オートセーブの物も多かったので、記録する場所を毎回選ぶというプレステのやり方にあまり慣れていません。
さらに当時のメモリーカードは容量が少なく、別のソフトのセーブデータも保存しないといけないので、 1つのゲームで複数ゲームデータを保存するという事はあまりしませんでした。バックアップのような機能はもちろんありません。
当時の私は別のソフトを買ってお金がなかったので、メモリーカードも買えず、兄のメモリーカードを使わせてもらっていました・・・これが事件の始まりなのです。
上書き事件
2人でそれぞれ、ゲームを始めてから1ヶ月くらいたった頃でしょうか。
最初の頃は注意を払ってセーブをしていたのに、だんだんと注意が散漫になっていきます。
モンスターの育成や対戦に熱中すればするほど、セーブデータに対する注意が薄くなっていきます。
ある日、私は1人でゲームをしていました。
低学年だったので、早く帰ってきてゲームをしてたのでしょう。
いつものようにゲームをして、対戦に熱中し、対戦を終えて、セーブをします。
ただその時は、対戦の熱が冷めておりませんでした。頭の中では対戦の振り返りが行われており、そのまま手なりでセーブ画面を開きセーブをします。
私が気付いた時には、手遅れでした。
その直後に思った事は、今でも覚えています。
「あれ、今どこにセーブした?」
なんとなく手なりでセーブしたものの、なんだか違和感を感じたのです。
おそるおそるセーブデータを確認します。
私のセーブデータが2つあります。
しかし、兄のセーブデータが無いのです。
私は、冷や汗をかきました。
自分が大変な事をしたと瞬時に思ったのです。
ゲームを楽しむ者にとって、セーブデータは命です。
自分もゲーム好きなので、それはよく理解しているのです。
自分だったら、怒り狂うだろうという事をしてしまったのです。
私は、後悔と懺悔にさいなまれます。
「どうして、こんなことをしてしまったのか、ごめんなさいごめんなさい」
そういう思いが頭の中を駆け巡ります。
どうすればいいのか考えますが、何も思い浮かびません。
どうにか復活しないものかと、藁にもすがる思いで2つのデータをロードしてみます。
当然、2つとも、私のセーブデータになっています。
私は絶望し、申し訳ない思いで、悲しくなってきます。
しかし、気が動転してるので、やってもしょうがない事をしばらく繰り返します。
しばらくすると、玄関の開く音が聞こえます。
兄が帰ってきたのです。
もうすぐこの部屋に来るだろう事は予想できます。
私はそれでもロードを繰り返したり、何かないかと探しています。
兄がいつものように部屋に入ってきます。
テレビには私のゲームデータが映っているだけなので、すぐには気付きません。
私は、おそるおそる上書きした事を話します。
兄は冷静にゲームデータを確認します。
兄のセーブデータはありません。
私はめちゃめちゃ怒られるだろうと予想していたので、生きた心地がしません。
しかし、兄が口を開きます。
「なんでこんなことしたんだ?」
兄の反応は、予想よりもずっと冷静でした。
どちらかというと落胆の方が強かったのでしょう。
私は間違えてしまったとわざとじゃない事を告げます。
兄はそれ以上言及せず、なにも言わずに部屋を出ていきました。
私はそれから何回も謝り続けました。
怒ることを我慢しているのかと思ったからです。
しかし兄がその事について、それ以上、言及する事はありませんでした。
しばらくもすれば、いつものように接してくれました。
当時の私は、それを兄の優しさなんだと思い、もう2度とこんな事はしないぞと反省します。
そして、こういう所を見習おうと決心する事になります。
それからはお金を貯めて、きちんと自分のメモリーカードを買い、2度と同じ失敗はしませんでした。
また兄との関係も、この事が後に引くような事は無く(たまに思い出したように注意はされましたが)、仲良く過ごしました。
この思い出話は以上になります。
今では考えられませんが、当時はこういう事もまあまあ、あったんじゃないかと思います。
いつか、あのとき、どう思ったのか、兄に聞いてみようと思ってます。
(C) 1997 モンスターファーム TECMO
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