潜水艦が戦艦を主役の場から引きずり落としました。
それはどういう事なのか解説します。
世界制覇と海軍
世界の覇権獲得とは世界の富の掌握で、富の把握には海上交通の確保が必須です。
そのためには制海権の確保が必要で、従って世界最強の海軍が不可欠である、という理論は、 世界最強の海軍によって大国になった大英帝国の歴史から導き出されました。
後年、海外進出が立国の必要条件となった日本でも、 日清日露の海戦で勝利したことが世界飛躍を可能にしたように国の興隆には強い海軍が欠かせないものでした。
海戦の勝敗は戦艦同士の決戦で決まった
大英帝国が世界に飛翔したきっかけは、スペインの無敵艦隊を新型戦艦で打ち破った海戦です。
敵より船足が早く、強力な火砲を備えるために大型の軍艦が、海戦勝利に不可欠でした。
つまり戦艦が海戦の勝敗を左右したのです。
日清日露の海戦でも、駆逐艦の活躍があったものの、最終的には戦艦が海戦の主役でした。
つまり戦艦なくしては、強力な海軍はあり得なかったのです。
潜水艦の登場
第一次世界大戦で、新兵器として潜水艦が実戦で初めて大活躍します。
ドイツのUボートによる無差別潜水艦戦が、英米など連合国軍の艦船の脅威となります。
その目的は国外からの海上輸送が国家経済を支えていた英国の経済的破綻で、ドイツの目論見通りに英国は窮地に陥りました。
同盟国とは言え、中国の利権侵害の恐れのある日本に連合国艦船の護衛を強く依頼してきたのは、 いかにUボートの攻撃が脅威であったかの証明です。
ドイツが無差別潜水艦戦行ったわけ
ドイツが無差別潜水艦戦を敢行したのは、海軍国英国に対抗し得るだけの海軍力がドイツにはなかったからです。
即ちまともな艦隊決戦では、ドイツは英国に勝てる見込みはありませんでした。
従来の理論では、ドイツがいくら精強な陸軍力を持っていても、強大な海軍を持つ英国の敵ではない筈です。
にも拘らず、海軍の主戦力ではない潜水艦が大海軍国英国を敗北寸前まで追い込んだことは、それまでの海戦の常識を塗り替えました。
つまり航空戦力が台頭する以前のこの時点で、大艦巨砲主義の艦隊決戦は既に過去のものとなっていたのです。
脇役が主役を喰ってしまうのは、演劇の話だけではありません。
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