北朝鮮情勢が注目される現在・・・もしも日本で北朝鮮との有事が起きたらどうなるか?を描いた映画があります。
それが2002年公開の「宣戦布告」です。
緊迫する北朝鮮情勢で書かれた原作
映画「宣戦布告」は1998年に発売された麻生幾著の小説「宣戦布告」が原作です。
発売された当時は北朝鮮の弾道ミサイル「テポドン」が日本列島を越える事件が事もあり作品はベストセラーになりました。
2002年に東映が石待露堂監督により映画化して公開されました。
工作員が日本に上陸!
「宣戦布告」のストーリーは福井県敦賀に北東人民共和国の潜水艦が座礁したところから始まります。
警察が出動して潜水艦から山中に潜伏している工作員を捕らえようとします。
でも政府の方針で射殺が許可されず出動した警察の特殊部隊SATが工作員の銃撃を受けて犠牲者を出してしまいます。
それでも法律の問題や周辺諸国への配慮から政府は自衛隊の出動を渋ります。
しかし工作員により民間人に犠牲者が出てしまいます。
事態の悪化から総理は自衛隊の出動を決断して政府は自衛隊に治安出動を命じます。
ストーリーは1996年に韓国で起きた北朝鮮潜水艦が座礁し、潜水艦から脱出した乗員と工作員が韓国軍と交戦した「江陵浸透(カンヌンしんとう)事件」をモデルとしています。
「江陵浸透事件」と同じ状況の事件が日本で起きた場合を日本の特異な法律を含めた安全保障の問題を織り交ぜた社会派作品と言えます。
ミリタリー作品としては満点
この作品は日本の有事における法的な不備を描いた点が注目されますが、戦争映画としてどうか?
自衛隊が怪獣では無く他国の敵と戦う珍しい作品です。
戦闘シーンは工作員に翻弄され手榴弾が法律のせいで使えず自衛隊が苦戦するシーンが多々ありますが、逆転する場面もあるので極端な展開にはなってはいません。
ストーリー的にも出動して敵と会う前の隊員が、小銃に何度も弾倉を外したり付けたりを繰り返して緊張する場面があり戦争映画の基本が押さえられています。
作品が政治性が強い事もあり防衛庁(当時)と自衛隊の協力が得られず制服や銃器に車輌は自前で作るか調達せねばならないものの正確な出来になっています。
(そのせいか登場するAH-1対戦車攻撃ヘリは模型を使い撮影している)
作中では第10師団の普通科隊員と空挺レンジャーの隊員が登場します。
この違いを出す為に第10師団の隊員はヘルメットを被り64式小銃を持つ、空挺レンジャーは迷彩のジャングルハットを被り89式小銃を持つと言う違いを見せています。
戦闘シーンは普通科隊員と空挺レンジャーがメインなので小銃による激しい銃撃戦が見られます。
64式小銃と89式小銃を派手に撃ち戦う自衛隊の姿を見たいと言う方には満足できるミリタリー作品と言えます。
(C) 2002 宣戦布告 東映
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