2019年に亡くなった俳優、ブルーノ・ガンツ氏がナチス・ドイツ総統アドルフ・ヒトラーを演じた映画「ヒトラー ~最期の12日間~」、日本では一部の人たちにとっては「空耳」動画の元ネタとしても知られている(有名な「チクショーメ」「おっぱいぷる~んぷる~ん」という箇所)のですが、この映画、史実を描きながらも、一部分、時系列的には「12日間」に入っていない箇所があったりします。
今回は、その箇所を2つ紹介したいと思います。
ドイツ週間ニュースにも登場したヒトラーの少年兵に対する叙勲シーン
映画の予告版、その終盤にも登場しているヒトラーによる叙勲のシーン。
少年兵たちに鉄十字勲章(といっても、一番下位の2級鉄十字章だと思われる)を与える場面ですが、実写映像となる「ドイツ週間ニュース」の最終号。
これが1945年3月22日付けということで、映画の舞台となる4月20日(ヒトラーの誕生日)からベルリン防衛軍の降伏の日(5月2日)の間には入っていない、しかし、史実としては実際に叙勲がされたという場面になります。
「ドイツ週間ニュース」の叙勲後のインタビュー場面を見ると、少年兵たちがいろいろな部隊(陸軍あり空軍あり)の制服を着ていますが、その制服があること自体、物資欠乏の極みにあった日本とは対照的な感じにも思ったりしています。
パンツァーファウストを持ったベテラン兵士と少年兵
映画では、ソ連軍戦車部隊の砲撃から逃れるために、地面に空いた穴に逃げる少年兵とそこにいたベテラン兵士が、穴の中で対戦車兵器であるパンツァーファウストを構えているカットがあります。
サンケイ出版から第二次大戦ブックスの1つとして発行された「ベルリン攻防戦」などの書籍には、このパンツァーファウストを構える少年兵とベテラン兵士の写真が掲載されています。
写真の撮影時期は、これがベルリン攻防戦のものなのか?という疑問が1つ、そして、攻防戦のものとして、時期的にこの12日間のものなのか、それ以前のものなのか判別がつかないのです。
自分としてはなんとも言えないのですが、いずれにしても、ノモンハンでの日本兵よろしく、ほとんど肉弾攻撃と代わりが無いようなパンツァーファウストでの対戦車戦闘をしている時点で、生き残る確率が極端に減っている(映画の中では、気を失っていた少年兵が生き残るのだが)ように思った部分です。
考証もしっかりされている
独軍制服などの考証もしっかりされている映画「ヒトラー ~最期の12日間~」なのですが、個人的に気になっているのは、ナチ党官房長となったマルチン・ボルマンの制服と階級章。
ナチ党のモノではない(叙勲場面での、ユーゲント総裁シーラッハが着ていた赤い下地の階級章に褐色のナチ党制服ではない)、親衛隊仕様(一般親衛隊・武装親衛隊問わず、開戦後は国防軍(陸軍)に準じた緑色ベースの制服に変更されている。
祝賀会での親衛隊長官ヒムラーの制服もその一例)の階級章と制服なのが、どこか落ち着かないというか、本当にそうだったのかな?とか思ったりもしていたりするのですが・・・・・・。
ヒトラー ~最期の12日間~ (C) 2004 Constantin Film Produktion GmbH
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