恐竜といえば、巨大な体で地上を支配していた“最強生物”というイメージが強い。
確かに中生代の陸上生態系において、恐竜は圧倒的な存在だった。
だが、それは常に捕食者側にいたという意味ではない。
中生代の世界には、状況次第では恐竜すら捕食対象になり得た生物が確かに存在していた。
化石証拠や研究成果から、恐竜を捕食、深刻な脅威となり得たと考えられている生物を3種紹介する。
ベールゼブフォ(Beelzebufo)

ベールゼブフォは、白亜紀後期、約7000万年前のマダガスカル島に生息していたとされる大型のカエルだ。
史上最大級の無尾両生類として知られている。
体長は約40cm前後、体重は推定で10〜20kg程度と考えられており、現生のカエルとは比べ物にならないほど頑丈な頭骨を持っていた。
注目すべきはその咬合力だ。
研究では「同サイズの脊椎動物としては異常に強力」とされ、小型の爬虫類や哺乳類、さらには小型恐竜や恐竜の幼体を捕食していた可能性が高いと考えられている。
恐竜というと大型種ばかりが目立つが、実際には犬程度のサイズの小型恐竜も多く存在していた。
さらに恐竜は卵から孵化する以上、幼体の期間は無防備だ。
そうした幼体にとって、待ち伏せ型捕食者であるベールゼブフォは、間違いなく「天敵になり得る存在」だったといえる。
巨大なカエルが恐竜の子を飲み込む。
それだけで、中生代の生態系がどれほど苛烈だったか想像できるだろう。
レペノマムス(Repenomamus)

レペノマムスは、白亜紀前期の中国東北部で発見された大型の肉食性哺乳類だ。
体長は最大で約80cm、体重は12〜14kgほどと推定されている。
見た目はネズミに近いが、サイズは現代の中型犬に近く、当時の哺乳類としては異例の大型種である。
長らく「恐竜時代の哺乳類は夜行性で、卵や昆虫を食べて細々と生きていた」と考えられてきた。
しかし、この認識を覆したのがレペノマムスだ。
化石から、草食恐竜プシッタコサウルスの幼体を捕食していた証拠が見つかっている。
これは推測ではなく、胃内容物として確認された確かな証拠だ。
つまり、恐竜時代においても、哺乳類は決して一方的な弱者ではなかった。
少なくとも小型恐竜や幼体に対しては、積極的な捕食者になり得た存在だったのである。
なお、一部では「こうした哺乳類の捕食圧が恐竜の進化に影響した可能性」も語られるが、これはあくまで少数説であり、主流ではない点には注意が必要。
サルコスクス(Sarcosuchus)

サルコスクスは、白亜紀前期のアフリカに生息していたとされる巨大なワニ形類だ。
推定全長は10〜11m、体重は最大で8トン前後と考えられている。
現生のワニと同系統でありながら、サイズは桁違い。
その巨大な顎と歯は、大型の恐竜であっても致命傷を与え得たと推測されている。
咬合力については、ティラノサウルス級、あるいはそれに匹敵する可能性が指摘されているが、数値はあくまで推定であり、断定はできない。
ただ一つ確かなのは、河川や水辺に近づいた恐竜にとって、サルコスクスは極めて危険な存在だったという点だ。
同時代の北アフリカには、スピノサウルスと呼ばれる大型の肉食恐竜が生息していた。
スピノサウルスは水辺を主な生活圏とする半水生の恐竜と考えられており、サルコスクスと同じ環境に生息していた可能性がある。
両者が直接戦った証拠はないが、同じ水域を利用していた可能性はあり、生態系の中で激しい競合関係にあったことは十分に考えられる。
水辺という限定された環境において、サルコスクスは恐竜ですら油断できない頂点捕食者だった可能性が高い。
恐竜が絶対的支配者ではなかった
恐竜時代は、決して恐竜だけの楽園ではなかった。
カエルや哺乳類、ワニといった生物たちもまた、条件が揃えば恐竜を捕食し、あるいは命を脅かす存在になり得た。
巨大恐竜の影で、目立たずとも、確実に生き残りを賭けて牙を研いでいた捕食者たちもいたのである。
中生代の世界は、私たちが想像する以上に、容赦のない弱肉強食の現実に満ちていたのであろう。
そして、これはあくまで現在確認されている化石証拠に基づく話にすぎない。
まだ発見されていない、恐竜にとっての脅威が存在していた可能性も否定はできないのだ。
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