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FN 509MRD-LE ロサンゼルス市警LAPDが採用したハンドガンを考察

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2021年8月、アメリカのロスアンゼルス市警察・LAPDの略称でもよく知られる同組織において、ベルギーのFNハースタル社が手掛ける拳銃 509MRD-LEが正式採用された事が同社子会社のFNアメリカLLCから発表された。

ロスアンゼルス市警察は1989年に初の自動拳銃としてベレッタ社製の92Fを正式採用した事を皮切りに、2002年にはグロック社製の17及び22、2015年にはS&W社製のM&Pを導入していたが、ここに来て代替時期が大幅に縮まった。何にせよ全米の警察組織の中で3番目の規模を誇り、制服警察官の数だけでも10,000名を超過しているロスアンゼルス市警察だけに、今後のアメリカの法執行機関における拳銃の採用にも影響を与えそうだ。 

目次

FNハースタル社の拳銃・509MRD-LEの起こりとシリーズ

今回ロスアンゼルス市警察に正式採用されたベルギー・FNハースタル社の拳銃・509MRD-LEだが、この同銃はアメリカ陸軍のM9(ベレッタ・モデル92)を更新するトライアル用に開発されたFN509がベースである。
このトライアルは「XM17モジュラーハンドガン・システムコンペティション」と呼称され、1985年に正式採用されたのM9(ベレッタ・モデル92)から大幅な近代拳銃へと刷新する目的で行われたものだった。

結果はFN509の健闘も空しくSIG社製のP320が選定されたが、FN509も過酷な連続射撃、それに伴う耐久性テストにも難なく対応しており、アメリカ軍が求めた仕様を十二分に実現していたと見て良いだろう。
9x19mmパラベラム弾仕様でFN509は全長190㎜、銃身長100㎜、重量760g、装弾数17発だが、SIG P320はフルサイズモデルで全長200㎜、銃身長120㎜、重量830g、装弾数17発と数値上からもコンパクトさが窺える。より大型のFN509タクティカルは全長200㎜、銃身長110㎜、重量790g、装弾数17発や、小型のコンパクトMRD、全長170㎜、銃身長94㎜、重量720g、装弾数12発の仕様などのバリエーションも用意されている。

509MRD-LEを含む拳銃シリーズの特徴

509MRD-LEは全長190㎜、銃身長100㎜、重量760g、装弾数17発の諸元を持ち、これはベースとなったFN509と同様の仕様であり、近年の拳銃の標準とも言える樹脂製のフレームやストライカー方式を採用している。
マガジン・キャッチやスライド・リリースボタンは無論左右両利きに対応したアンビ仕様であり、トリガー前方のフレーム下部にはピカニティ・レールが設けられ、様々なライト等のアクセサリーに対応する。

509MRD-LEはFNハースタル社が特許を取得している「FNロープロファイル光学マウントシステム」を標準で装備しており、この大型の照準器の有用性をロスアンゼルス市警察が高く評価したとも言われている。
一見してもその際立った大きさが目を惹く「FNロープロファイル光学マウントシステム」だが、その大きさ故にショルダー・ホルスター等でのコンシールド・キャリーでの運用は困難だと感じられる。

こうした大型照準器に加えて509MRD-LEは、円錐形状のストライカーによる撃発や、レバー式のセフティを内蔵したトリガーの機構により、初弾から精度の高い射撃が可能だと製造元は説明している。
かつて同様のストライカー方式やトリガー・セフティを備えたグロック17や22がアメリカの警察で採用された黎明期には、外観上から一瞥して装弾されているか否かが不明で戸惑う声も聞かれたと記憶している。

しかし今やアメリカ軍の正式採用拳銃となったSIG P320を始めとして、このパッケージは時代の趨勢としてすっかり定着し、今後も主流の座を保持し続けるだろうと予想される。

FN509MRD-LEを見て思う個人的な感想

FN509MRD-LEがロスアンゼルス市警察の正式拳銃に選ばれた事は、ベルギーのFNハースタル社及び同社子会社のFNアメリカLLCからすれば、アメリカの民間需要を喚起する絶好の商機と言えるかもしれない。

州によって温度差はあるものの、まだまだ銃の所持が自由なアメリカではあるが、だからと言って全て銃所持者が等しくそれに興味を抱いている訳ではなく、自衛のために止む無く所持する層もいるだろう。そうした層から見ればアメリカ軍や大規模な警察が正式採用した拳銃とは、それだけで銃としての品質に優れていると見做される事に繋がり、購入対象とされる可能性が大きいに高まると思える。

ただ日本在住の単なる銃好きな視点からするとこのFN509MRD-LEに限らず、モダナイズされた最近の拳銃はスライド前後の大きなすべり止めや、ピカニティ・レール、ストライカー方式とどれも類似したデザインだ。
こうした機能を盛り込む事が必須である為、それを考慮すれば銃ごとのデザインの自由度は失われ、昔のようなオリジナリティは望むべくもないのだろうと、例えばかつてのH&K P7などをしみじみと思い出す。

※アイキャッチはイメージです。
featured image:Vladan RajkovicによるPixabayからの画像

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