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戦時下の中にも敵兵との友情は芽生える

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私が小学生の時に母方の祖父に聞いた話です。
太平洋戦時中、母方の祖父は満州に派兵されていました。

満州といえばかなりの激戦地で、残虐で悲惨な出来事も数多く報告されています。
そんな戦時中の背景を多く聞かせてくれましたが、そんな中でも心温まる話もありました。

祖父は満州の最前線にいたため敵兵と間近に接することもあり、その距離は相手の表情が分かるほどだったそうです。戦争中でもありますので敵兵と遭遇すれば戦わなければならず、捕虜にしたり殺害するのが常識となっていました。

当時の軍隊では上官の命令は絶対で、逆らうことは反逆者として処罰を受けた世の中で、祖父も仕方なく戦争に加担していました。

ある時、祖父は敵兵と遭遇して、そのまま揉み合いになりました。
最終的には祖父が馬乗りの状態になったため、本来であれば勝負がついた状態です。しかし、祖父は最後のとどめを差すことはしませんでした。怯えながら涙を流している相手の表情を見て出来なかったようです。

警戒しながらも敵兵を離したところ、敵兵は祖父に抱きついてすすり泣きををししばらくの間、抱き合った後に別れました。

戦争中のルールには反するので上官には黙っていましたが、極限状態の中でも人間の心のやり取りは存在することを知り記憶に刻まれているそうです。
ルールに反したことに罪悪感を持つと同時に、たった一度しか会っていない敵兵との人間同士のやり取りの中で、心の大切さと友情関係のような感覚を覚えた出来事だったそうです。

※画像はイメージです。

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