アニメ『シャングリラ・フロンティア』を少し観た。もう少し前には映画『レディ・プレイヤー』、もっと昔にアニメ『SAO』も映画『マトリックス』も観た。よく考えると、ゲーム『プリンセスコネクト・リダイブ』もプレイ中だ。
こういった、作品の重要な小道具というか舞台装置が、フルダイブ型ゲームである。
端末はしばしばヘルメット型で、VRゴーグルの発展に見えるが、機能を考えると、これは概ねオカルトアイテムであると結論付けられる。
フルダイブはVRの進化形か
VRゴーグルについては、数年前「HTC Vive」を買い、使ってみた事がある。プレイヤーの位置や身体の動きを読み取るため、部屋の対角にステーションを設置して使う本格的なもので、当時では最高品質のものだった。
頭から呑み込まれるような巨大な化物などの描写は圧巻で、目の前にキャラクタがいるという臨場感は驚くべきものがあった・・・のだが。
ゴーグルは大きくコードが動きを制限し、、視野の端の歪みや身体動作との微妙なラグは酔いを引き起こし、起動時にしばしば再起動を要求するソフトウェアの不安定さがある。そして、歩き回れる程度の部屋の広さが要求され、ギリギリの面積だとしばしば壁に手が当たる。
数ヶ月ほどで、エロコンテンツ専用となり、その後、「抱き枕の方が有能」という結論になり、使わなくなった。
さて、このVRの延長上に、フルダイブがあるかと言えば、とてもそうは思えない。
何しろ歩き回る事が困難だ。
『レディ・プレイヤー』においては、歩くのと逆方向にベルトコンベア床が動く「お座敷ゲレンデ方式」を採っていたが、落下した時などの感覚は追随出来ていなかろう。
肉体と視覚の間に差が出来れば、たちどころに違和感が出て、酔ってしまう。
カベドンを防には?
従って、いわゆる「フルダイブ」は、外的な読み取りではなく、神経にそのまま接続していると考えるべきである。
神経電流で動かす義手義足が、キャラクタの手足になっている状態である。
そして、肉体の方は、動かさない。
神経電流を読み取っただけでは、神経電流は止まっておらず、身体を動かしてしまう。
これではVRと変わらない。壁殴り、元祖カベドンが発生してしまう。
『Rタイプ』のどれかで四肢を切断するパイロットの話が出ていた筈だが、あれが解決方法の1つではある。ガンダムの二次創作でも何かあったらしいが、そちらはよく知らない。
もっとも、このカベドン対策は、案外簡単だ。
神経電流を余さず読み取れるところまで辿り着いているなら、四肢を切る必要はない。
フルダイブシステムが、神経信号を的確に「受け」られるなら、「送る」事も出来る筈だ。
すなわち、受け取った信号と真逆のマイナス電荷信号で、神経電流を相殺してしまえば、リアル身体は動かない。
当然、相殺する神経電流は運動器だけで、中枢神経は残しておく。
これならSAO式デスゲームも容易だ。開発者が気まぐれを起こして中枢神経を止めれば、心臓はたちどころに停止する。
これはSFのようで、ファンタジーだ。
SFは、科学に当然発生し得る問題を、無視出来ない。
すなわち、こんな一方的に命を奪える、安全性に問題のある製品は、流通させられない。流通させるには、独裁国家など、個人の権利が制限されている舞台が必要がある。それなしで、現代世界の延長線上で発売されるというのは、主人に刃向かうAIぐらい「SF的ではない」。
ここから、舞台はオカルトに切り替わっていく。
微動ダ2000
フルダイブゲーム機は、更に別の問題点を生み出す。
すなわち、エコノミークラス症候群である。
肉体を止め続ければ、血流が滞留して血栓が生じ、心臓血管を詰まらせる。
更に、床ずれの危険性もある。
床ずれ防止には、2時間おきの体位変換が必要だ。同じ姿勢で動かないなら、「寝床」に限らない。座っていても出来るし、出来る箇所は問わない。
これをどうやれば防げるか。
電動ベッド?
それで全てが完結するなら、介護施設は随分平穏だ。
常に血流をモニターして、筋肉を微細震動させるか。
僅かに肉体へ動きをフィードバックさせるか。
物事は、複雑にするより、できる限り単純に考えなければならない。
考え過ぎる事はない。
既に領域はオカルトの話だ。
中途半端に神経に割り込むのではなく、丸ごと招待するのだ。
文字通り、ダイブさせるのだ。
魂を。
便利な生き霊
魂をダイブさせた時、肉体的なリンク問題は解決する。
やっている事は生き霊である。
生き霊は、肉体を弱めるが、それは距離が遠いからである。
生き霊になっても、ゲーム機内程度で、肉体の間近にいるだけなら、それほどの事はない筈だ。
生き霊化する動機なら、「ゲームをしたい」で充分だ。
性的な動機で生き霊化出来るのだから、ゲーム依存で生き霊化出来ない方がおかしい。どちらもドーパミンを求める反応に過ぎない。
生き霊を飛ばした事で、床ずれやエコノミークラス症候群になるという話は聞かないので、肉体的には睡眠時と同じ程度の、反射的な動き、つまり寝返り程度はする筈だ。
微動だにしない、電気的な静止が問題なのであって、寝返りが適度に打たれれば、床ずれもエコノミークラス症候群の心配もない。
V・H・S!!
この技術は、応用出来るだろうか。
戦闘訓練や、死ぬような実験などに使えるだろうか?
答えは否である。
辛い事のために、フルダイブは使えない。
生き霊化するほどにやりたい事、つまり、ゲームとエロコンテンツ以外では困難だ。
唯一可能性があるとすると、グルメだろうか。
こう解釈する事で、なんか凄い技術の筈なのに、なんで「ゲームなんか」に使われているのか、という事の説明も出来てしまうのである。
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