ヨーロッパの街並を歩くと、古い建物や教会等に、怪物の形をした彫刻が施されているのを目にすることができます。
いろいろな姿の小さな怪物が人々を出迎えてくれますが、これらの彫刻は一体何なのか、その怪物にまつわる伝説との関係を元に紹介していきます。
ガーゴイルという名の雨どい
雨が降ると建物に雨水がかかってしまい壁面が傷むため、雨水を建物から遠くに放出することが必要です。
建物の壁面を雨水から守るためには、雨どいが必要になってくるのですが、ヨーロッパの古い教会等の雨どいの機能がガーゴイルと呼ばれ、それは怪物の形をしています。
ガーゴイルは、壁面から怪物の胴体が突き出ているような形をした彫刻です。猛獣やモンスター、ときには人間に近い姿をした物も存在しているようです。
これらの雨どいの装飾物はどうしてガーゴイルと呼ばれ、このような形をしているのでしょうか?
それには、フランスのある伝説が関係しています。
ルーアンのドラゴン伝説
フランスのパリ北西部にルーアンという街には、あるドラゴンの伝説が言い伝えられています。
セーヌ川のほとりに、昔、ドラゴンが棲んでいました。
姿はコウモリのような大きな翼をもつ、蛇のような細長い体。口から火を吐き、水を飲み込んでは吐き出し洪水を起こし、人間や動物を食べ、大変恐れられていました。
ある時、聖ロマヌスという聖職者がルーアンの街にやってきて、そのドラゴンを退治します。
ドラゴン退治の際に火を放ちましたが、なぜか首から上が焼け残り、それがガーゴイルという怪物となったというのです。
焼け残ったその首は、ルーアンの街にある教会の外壁に取り付けられ、人々に晒されたといわれています。
ガーゴイルの元のドラゴンが水を吐いて洪水を起こしていたということや、首が外壁に取り付けられたこと等の伝説内容から関連して、雨どいは怪物の形になり、それをガーゴイルと呼ぶようになったといわれています。
ガーゴイルの他の役割
建物の外に向かって威嚇したような様子をしているガーゴイルには、内部に邪悪な霊が入らないよう建物を守ると同時に、悪霊を外に追い出す役目もあり、雨どいとしての他、魔除けとしても大いに活躍しているのです。
魔除けの他にも、ガーゴイルは外界にはびこる恐ろしい怪物の象徴とされ、結解のような役目をし外界と隔たれた教会の内部に入って祈れば、人々は安心であり救われる。教会に通う信者のためにも一役買っていると言われています。
怪物としてのガーゴイルは今も存在する?
ルーアンにいたといわれるドラゴン。その首が怪物ガーゴイルとなりました。
現代ではガーゴイルは、翼を持つ石の怪物として認識され、アニメやゲーム、小説などで登場するモンスターの一つとして描かれることが多いです。
ヨーロッパの建築物には、怪物に関する歴史が存在していたのですね。
様々な物語にも登場するガーゴイルと合わせて、魅力あふれる怪物の雨どいを見学するのも楽しそうです。
もしかすると、ルーアンには、雨どいのガーゴイルに混じって、本物の怪物ガーゴイルが未だに存在しているのかもしれません。
※画像はイメージです。
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