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戦争にもルールがある?!ジュネーブ条約とは?

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「人類の歴史」とは即ち「戦争の歴史」でもあると言われ、我々人類は有史以来、実に多くの戦争を行っており、日本の江戸時代は世界史的に「ミラクル・ピース」と呼ばれている程。これは徳川幕府の江戸時代、その約260年余の間に、一度として大規模な国内外の戦争が起っていない事実を西洋諸国が形容したものだが、それほどに希有だと言う訳なのです。

但し所謂銃火器を主力兵器とする近代戦争としては、1804年にフランスのナポレオンが引き起こした多くの戦争や、1861年からのアメリカ南北戦争などが想起されます。日本でも明治維新時の1868年からの戊辰戦争等の内戦が発生しており、主として1800年代に今の我々が思い浮かべるような形式の戦争が行われるようになったと言えます。

その後、日本の歴史的からも日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、日中戦争、太平洋戦争と兵器的、規模的にも戦争は拡大の一途を辿るが、転機となったのはやはり第一次世界大戦でしょう。これまでの正規軍同士が正面からぶつかり合って勝敗を決する戦争の形式から、第一次世界大戦で登場した兵器は戦争の在り方を一変させ、所謂大量破壊兵器の使用を生み出した。

先ずこれに該当したのは毒ガス等の化学兵器であり、敵味方、軍人・非戦闘員を問わず殺戮するものとなり、続いて登場した航空機が爆弾投下による無差別爆撃が常態化していきました。日本の場合、特に世界で唯一の原子爆弾の被爆国となり、これを契機に太平洋戦争・第二次世界大戦は終結を向かえたが、各国に戦争ルールの整備を促す契機ともなったと言えるでしょう。

目次

ジュネーブ条約の始まりと歴史

世界的な戦争ルールの整備の先駆けとなったのは「ジュネーブ条約」ですが、これは厳密に言えば4つの条約から成る「ジュネーブ諸条約」の中のひとつであり、1864年に赤十字国際委員会が提唱したもの。これは同組織によって「戦争時の捕虜を人道的に扱う」為に提唱され、スイスのジュネーヴで前述の様に1864年8月に締結され、1906年、1929年の改定とそれらの海戦への応用と俘虜の待遇の条約が追加されたのです。

こうした改定と追加が第二次世界大戦後の1949年に全面的に見直されて「ジュネーヴ諸条約」として整理されることになり、新たな議定書が1977年に2つ、2005年に1つ増えて現在に至ります。2019年現在、世界196ヶ国と地域が批准している「ジュネーブ条約」だが、非戦闘員や捕虜等に対する人道的見地から生み出された取り決めではあるが、個々の事象の定義や強制力は薄いと見る向きが多い。

ジュネーブ条約で定められた禁止事項7つ

ジュネーブ条約で定められた禁止事項は7つあり、それぞれを説明します。

  1. 非戦闘員・施設の保護
    非戦闘員やその施設及びインフラは攻撃してはならず、それらへの被害が予想される攻撃を行う事を禁じている。一方でそれらを軍が接収し専用の施設としていれば標的になる得る。
  2. 捕虜の殺害の禁止
    兵士でも降伏した者及び負傷者を殺害してはならず、復讐としての処罰も禁止される。
  3. 捕虜等への拷問又は非人道的行為の禁止
    捕虜等に対して人権を尊重し、拷問等の不当な取扱いは禁止される。よって捕虜等には食糧と水を与え、拷問による情報聴取を行っては成らない。
  4. 病院や救命隊員の保護
    負傷者等は敵味方関係なく治療を施し、且つ知れに従事する医療関係者は中立的の双方に医療を提供する努力を負う。このため医療関係者は必ず保護され、敵の負傷者等を収容することとし、赤十字関連の車両や場所の攻撃を禁じ、これらを偽装しての軍事行動も行ってはならない。
  5. 非戦闘員への避難径路の確保・提供
    紛争当事者は非戦闘員を避難させる措置を講じ、紛争地域から待避する行為を妨害してはならない。
  6. 非戦闘員・負傷者等の人道支援物資入手の権利
    非戦闘員や負傷者は、医療等の援助を受ける権利があり、その入手ルートの封鎖・閉鎖等による人道支援物資の提供を制限することを禁止する。特に意図した飢餓の発生等は戦争犯罪とし虐殺と思しき行為と見做す。
  7. 使用兵器による過度な損失・苦痛の禁止
    用いる戦術と武器は目標達成上から必要最小限とし、攻撃対象を限定不能な化学兵器等の使用は禁止とし、戦闘員・非戦闘員を問わず殺傷可能な対人地雷の使用は制限される。

ジュネーブ条約の遵守は可能か

上記のようにジュネーブ条約で禁止が定められている事項は7つに及ぶのですが、その大半は非戦闘員や、軍人であっても負傷者や捕虜の扱いを人道に照らして適切に行う事が定められています。

兵器としての禁止事項に該当するのは、攻撃対象が不特定多数に及ぶ可能性のある化学兵器や、対人殺傷を目的とした地雷の使用禁止が謳われている程度に留まり、そのため日進月歩の新型兵器の登場や、新たな戦術による軍事攻撃上全般に規制をかけることに成功しているとは、お世辞にも言い難いというのが正直な感想ではないでしょうか。

第二次世界大戦後の1949年に「ジュネーヴ諸条約」となったとは言え、その起こりの赤十字の理念は浸透はしており、非戦闘員や負傷者・捕虜に対する扱いはある程度は尊重されてきています。

しかし赤十字国際委員会が、2016年にイラク・アフガニスタン・南スーダン等の紛争に直面していた国々及び、国連常任理事国のアメリカ・イギリス・フランス・中国・ロシアに対して行った調査があり、それによれば80パーセントが攻撃時に非戦闘員への被害を防ぐべきとし、医療関係者への対応も同様だと回答しており、ジュネーブ条約の基本的な要件を尊重する傾向が見られたのです。

但し前回調査の1999年と比較し、捕虜ヘの拷問の是非は66パーセントから48パーセントに下落しており、2001年のアメリカでの同時多発テロ以降、必要情報を入手する為ならこれを容認する傾向も見て取れます。しかもこうした2001年のアメリカ同時多発テロ以降、所謂正規軍同士の戦闘から、正規軍隊ゲリラとの非対称戦が中東地区を中心に増加しており、戦闘員と非戦闘員との区別が困難な事も影響しているのでしょう。

世界的人気となったアメリカのTVドラマ「24」では、こうしたテロ組織構成員に対し、攻撃を防ぐ為なら拷問も辞さない主人公が描かれ、2006年にフィネガン米陸軍准将がフィクションだと苦言を呈しています。

※画像はイメージです。

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