戦争劇画の第一人者である小林 源文(こばやし もとふみ)先生、その氏の作品の原点とも言えるのが、1970年代の半ばローティーンからミドルティーン向けに発刊されてたジャガーバックス(立風書房刊)の「壮烈!ドイツ機甲軍団」(文・中西立太氏/絵・小林源文氏)!!
現在は復刊ドットコムから復刻版が発行され、先生のwebサイト「壮烈!ドイツ機甲軍団」でも公開されていますが、ミニタリーファンの方なら、実物の本を一度は目にされるべき内容だと思います。
今回は小林源文先生のデビュー作でもある「壮烈!ドイツ機甲軍団」を紹介したいと思います。
子供向けではあるけど内容は本格的
中西立太氏によりナチス・ドイツでの機甲師団の誕生から滅亡までの歴史を記載している本書です。
本格的ですが小中学生向きなので、漢字に「ふりがな」はつけられて内容は簡潔にまとめられています。
この本を読んで70年代にミニタリーファンになった方も多かったのでは!?とも思います。
そして小林源文先生による大量のイラストや短編漫画も、戦場の雰囲気をよく伝えているばかりではなく、戦車のカットモデルの絵や国防軍と武装SSの軍装などもしっかりと描いており、その描写は現在(2010年代)でも通用するように思います。
当時、バンダイから1/48で戦車内部の構造も再現されたAFVモデル(キングタイガーなど)も発売されていたので、この本を見ながら自分も模型制作をしていた記憶があります。
哀愁が感じられる漫画部分
小林源文先生の手による短編漫画(バルジの戦いなど)が数本収録されているのですが、そのどれもが「哀愁」というのか、戦場の悲哀、戦いの中にある虚しさみたいなモノを感じさせる内容。
特に低年齢の読者には、「カッコイイ戦車で戦っていても、戦争というのは悲惨なモノだ」ということが自然と伝わるというか、無意識のうちにそのように思わせてしまうモノがあるように私は(はじめて手に取ったローティーン当時)そう感じたのでした。
資料としても使える豊富なカット・イラスト
小林源文先生といえば、兵器類の緻密な描写が特徴でもあるのですが、デビュー作でもあるこの本でも独軍戦車や兵器、軍装などが細かく描写されており、雑誌『PANZER』などに掲載されている実車の写真と比較しても、「細かい所まで見て描写している」というのが分かると思います。
この当時の未だスクリーントーンが高価な画材であった時代、ペンによる書き込みでここまで描いているというのは、やはり特筆すべき無いようだと思います。
復刊ドットコムでは、出版当時の価格の数倍(それでも4,000円には満たない)価格で販売されている本書ですが、ミニタリーファンの方なら一度は手に取って、そして実際にご自分の目で小林源文先生により描かれている戦車などの絵を見て欲しい、そのように思ったのでした。
(C) 壮烈! ドイツ機甲軍団 中西立太・小林源文 ジャガーバックス/立風書房刊
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