お彼岸もすぎたので、お墓にまつわる出来事を話します。
墓参りで撮った一枚の写真
例年どおり、父の命日に墓参りへ行ってきました。
駅からも遠く、周囲は山と田畑に囲まれた田舎で、最近ではクマがでるという話を聞くことがあって、墓地に向かうだけで、毎回ちょっとした緊張感があります。
いつもなら墓石の隙間にカエルが一匹二匹、勝手に住み着いているのですが、この年は春の訪れが遅かった影響なのか、一匹たりとも見ることはなくて妙に静かでした。
掃除をして、花を供え、線香をあげる。
特別なことは何もない、よくある墓参り。
帰り際、墓の前にしばらく立ち尽くし、父の墓ができてからもう数年が経ったのだと、今さらのように思いたった。
そのまま写真を一枚撮り、深い意味もなくSNSに載せた。
写真に写っていないはずのもの
その直後、数分もしないうちにリプが返ってきた。
「墓の横に、おじいさんが座ってるんだけど」
それはフォロワーの一人で、昔から「妙なものを見る」と言っている、リアルでも知人。
自称、霊能者を名乗り、言動や行動がおかしいので、正直、距離を置いているタイプの人です。
なので、一瞬、冗談かと思いながらも写真をよく見返すと、墓石しか写っていない。
周囲に人影はなく、他の墓参り客もいなません。
ちょっとイラっとしたので、からかい半分で、どんな様子だったのか聞いてみた。
「顔は見えない。頭を伏せてて、すごく痩せてる。誰かを待ってる感じがする」
⋯⋯嫌な符合が重なります。
父は晩年、ほとんど食事が取れず、かなり痩せていた。
そして、弟は父が亡くなってから、この墓の前にまだ立っていません。
葬儀には出ていたが、その後は仕事に追われ、帰省らしい帰省ができていなかった。
そう考えた瞬間、自分の中で話が一気につながってしまった。
知人にその事情を伝えると、「ああ納得、やっぱりね」と返ってきた。
それでも、これは事実ではない
ここで強調しておきます。
私は「霊感」を信じていないし、少なくとも無条件では信じられません。
写真に写っていない人物を見た、という話は珍しくななく、墓石の影、背後の木、石材の模様。
人間の脳は、意味のない形から人の姿を勝手に補完する事があって、心霊写真のだいたいがそれだと言われています。
加えて、知人であるので「父の墓」であること、新しい墓であることも、亡くなって数年であることも知っていて、
そこに「痩せた老人」「待っている」といえば、いくらでも当てはまります。
冷静に考えれば、説明はつきます。
それでもその言葉に引っかかったのは、父は弟に会いたいだろうという私個人の心情から、父が待っているのは誰かは
「弟だろう」と思いたかっただけなのです。
待ち人は来たと思いたい
その話を弟にして間もなく、一日だけ帰省し、初めて墓参りに行きました。
帰り際に、ぽつりと「これで父さんも、満足しただろうな」とだけ言って、それ以外は何も言いません。
それでよかったのだと思います。
ふと、もしまた写真を撮って、SNSに載せたら、何かが見えるのだろうか。
でも確かめる気はありません。
ほれ見たことかと喚き散らす、知人の姿が容易に想像できてバカバカしい。
正直、墓地で不思議な体験をしたことは、これまでも何度かありますが、この出来事は「霊がいた」から印象に残ったのではありません。
信じていないはずのものに、一瞬でも納得してしまった自分自身が、いちばん不気味に思います。
※画像はイメージです。


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