私が物心ついた時から祖父の弟達や私の父から聞いていた話です。
第二次世界大戦中、祖父は近衛兵をしていました。
「おじいちゃんは戦争中に、天皇陛下を守るお仕事をしていました。」
小学校の社会科の授業だったと思います。「おじいちゃんやおばあちゃんが戦争の時何を発表しましょう」という内容の授業で私はこう言いました。当時はピンときていませんでしたが、同じところで働いたことがあるというおじいちゃんを持つ友達はいませんでした。
それから10数年ほど経って、私は一人で特急列車に乗りました。
その時、老紳士が隣に座っていました。スーツをピシッと着ていてとても素敵な方でした。その人が自分の戦争体験を話し始めました。たしか、満洲に行った話だったと思います。
ひととおり話し終えると
「君のおじいちゃんは戦時中何をしていたの?」
と聞かれたので
「私の祖父は天皇陛下を守るお仕事をしています。」
と私は答えました。その老紳士は目を丸くして驚きました。
「君、そういうこと普通に言っているけど君のおじいちゃんは優秀だよ。」
「近衛兵といって、普通の人じゃなれないんだよ」
それを聞いて私も驚きました。
当時、祖父はすでに他界していたので、冷めやらぬ興奮を私は父に電話で伝えました。
「ねえ!おじいちゃんって凄いんだね!」
父は今まで私が聞いたことがなかった話を聞かせてくれました。近衛兵に選ばれる人は非常に優秀だったそうです。
しかも、祖父が住んでいたのは東北の田舎、祖父が近衛兵に選抜されたことで部落中が大騒ぎになったそうです。
私は寡黙で気難しい祖父がずっと苦手でしたが、この時から祖父を誇りに思うようになりました。祖父の周りにはいつも弟達が集まってきましたが、子供ながらに「こんなおっかない人のどこがいいんだろう」と思っていましたが、理由がやっとわかりました。
祖父は8人兄弟の長子として家族の為に働き、その上非常に名誉な仕事に着きました。
弟達が慕わないわけはありません。祖父は私の誇りです。
そして、祖父が近衛兵で戦死しなかったから父が生まれ、私が生まれたのかもしれません。祖父に感謝します。
※画像はイメージです。
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