大衆の不満に呼応する形で威勢の良い政策をぶち上げ、扇動し洗脳することで、自己に都合よく作り上げた世論を背景にして絶対的な権力を手に入れる。
独裁とはこうして生まれてきました。
経済的疲弊と独裁政治
第一次世界大戦で敗戦国になったドイツは、その膨大な賠償により経済がほとんど瀕死の状態でした。
同時期の日本では関東大震災で大きな経済的ダメージを受けていました。
そんな両国に世界恐慌の嵐が襲い掛かり、多くの国民の生活は立ち行かなくなり死を待つばかりでした。
当然、現政権や社会に対する一般大衆の不満が限界まで膨張します。
そんな不満を受けてドイツでは、苛酷な賠償の根源であるヴェルサイユ条約の破棄などの政策を掲げ、ヒトラーは国民の支持を急速に拡大させました。
日本では、満州事変を発端とした中国進出による軍需拡大で、経済が急速に回復します。
当然国内は軍部支持の世論が圧倒的主流になっていきます。
国民のこの大きな支持を背景にして、ヒトラーと日本軍部は近隣諸国への武力侵攻を推し進めるのです。
ドナルド・トランプの支持者
ドナルド・トランプの支持者の核の一つは低学歴の労働者です。
彼らの多くはかつての主力産業であった自動車や石油などの工場労働者で、IT産業の台頭など経済や社会の変化に置き去りにされた人々です。
また白人の農業従事者などにも支持者が多く、彼らは移民など人種的マイノリティの、量的増加や権利などの質的増大を、白人の強国であるべき偉大なアメリカの堕落と感じています。
トランプが標榜するアメリカ第一主義は、これらの人々にとっては、国内の産業が良くなり、かつての強いアメリカが復活するという希望に溢れた政策です。
つまりトランプ支持者とは、現代のアメリカ政府や社会に不満を膨らませ続けてきた人なのです。
歴史は繰り返す
何十年、何百年経っても人間の基本的性向はそう変わりません。
だからその人間が紡いでいく歴史も繰り返す可能性は大きいといえます。
現在のアメリカは絶対的に民主主義の国で、そのアメリカでトランプ独裁が生まれるとはもちろん考えられません。
それは今回の大統領選挙が証明しました。
しかし負けたトランプの獲得票の希代の多さや、トランプ陣営とその支持者の民主主義としては常軌を逸した行動に、私は暗黒の微動を感じてしまいます。
そして何よりもそんなトランプの支持者からは、ヒトラーや日本軍部を異常熱狂で指示した、かつての一般大衆のものと同じ狂気の匂いがするのです。
歴史は繰り返します。
※画像はイメージです。
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