原爆開発はヒトラーに対する恐怖心から始まりました。
レオ・シラードの恐怖
レオ・シラードは原爆開発に関わった物理学者です。
彼はユダヤ系ハンガリー人で、ドイツの大学で物理を学び物理学者として働いていました。
しかし彼はナチスの台頭で身の危険を感じてアメリカに亡命します。
やがてナチスドイツが欧米を軍事的に席捲し始めると、ドイツが原爆を入手して世界制覇を果たすことにシラードは大きな危機感を抱きました。
ユダヤ系であるシラードにとってそれは究極の恐怖でした。
シラードは原爆を落とされないためには、先に相手に落とすしかないと考えます。
米国に亡命していた恩師のアインシュタインと連名で、原爆開発の必要性を説いた手紙を、彼は米国大統領に送りました。
これが切っ掛けのひとつとなって、米国は原爆開発に積極的に乗り出します。
開発リーダーたちの恐怖
原爆開発は紆余曲折はあったものの、 結局は戦争勝利のために米国が大きく注力していくことになります。
しかし開発は思うように進展せず、そのうちにドイツが降伏して残る敵は日本だけとなりした。
つまり原爆開発の出発点であったドイツの降伏は、その目的の喪失を意味するものでした。
しかし米国は開発を継続しました。
世界初の画期的兵器である原爆の類を見ない極秘性のために、 その多額の予算の多くが国会の承認を経ない特別計上となっていました。
ルーズベルト大統領とその化学顧問であるヴァ二―ヴァ―・ブッシュなど原爆開発に関わった政府高官たちは、 原爆開発が戦争の役に立たなかった時、 その秘密裏で多額の開発費が国会や世論の非難を的になることを懸念しました。
それは自分たちの社会的地位を脅かす恐怖以外の何物でもありませんでした。
だから彼らは何としても原爆開発を成功させる必要がありました。
しかし爆発実験の成功だけでは、この高価な兵器が米国に有益であることの証明にはなりません。
実戦で使用し米国の敵を完膚なきまでに打ちのめすことを、 国会議員と国民に実際に見せなければその承認は得られないと、彼らは考えたのです。
そしてその時、米国には最も憎むべき敵が存在していました。
それは、リメンバーパールハーバーの掛け声の下、その復讐を誓って戦って来た日本でした。
参照:悪魔の兵器はこうして誕生した~原爆 NHK BS1スペシャル
思った事を何でも!ネガティブOK!