この話は、私が小学校の頃ひいお爺ちゃんから聞いたもので、戦時中ひいお爺ちゃんは満州にいたそうです。
謎の廊下の噂
昭和十八年の頃。ひいお爺ちゃんは満州にある関東軍の兵営にいたそうです。
その兵営と同じ敷地に講堂があったそうです。その講堂は外から見ると二階建てですが、実は中二階があり、小さな会議室がありました。その会議室の黒板の裏手には人一人通れる幅の隠し階段があり、一階に下りられたそうです。下りた所には薄汚れた廊下があり、すぐ先に見える角を曲がれば目の前に外に出る扉があったとのこと。
ところが当時、この廊下にまつわる怖い噂が広まっていたそうです。それは「どこまでいっても廊下を出る扉がなく、グルグル回りながら1日中歩いたあげく元の場所に戻る」というもの。
行方不明になった兵がいるという噂が立ち、脱走事件ではないかと探し回る事もあったそうです。
無限に続く廊下に迷い込む
ある日、剣道の段位持ちという人がその噂を聞いて「そんな馬鹿な話があるか」と皆を一喝したそうです。そしてお化けが出たら叩っ斬るという感じで、同じ剣道仲間と一緒に真剣を携えてくだんの下に向かったそうです。
ところが、彼らはいつまでも帰ってこず大騒ぎになったとのこと。お化けに食われたのか、それとも脱走事件かという話になった所、三日目くらいにひょっこり現れたそうです。彼らはかなり腹を空かせていたようで、あっというまに大量の飯を平らげたそうです。そしてその場で上官が一体何があったのか聞いたそうです。すると彼らはこんな感じの事を話したとの事。
「階段を下りて廊下にたどり着き、一つ目の角を曲がった。するとそこにあるはずの扉が存在せず、同じような角が遠くに見えていた。一階のはずだが、その距離は明らかに講堂の幅より長かった。途中に窓がいくつもあり、外を覗くと見たことない荒れ地の風景が広がっていた。角を曲がると同じように窓付きの廊下が続き、またも先は角になっていて見えなかった。
おかしいので一時は戻ろうかと思ったが、化け物に負けるのはシャクなのでひたすら歩いて行った。やがて体力の限界となり、窓を割って外に出ようと思ったが、鋼鉄のような固さで何をやっても割れない。そうこうしているうちに扉が現れたのでやっと外に出られた」
その講堂はソ連軍侵攻前に解体されましたが、床下に小さなお墓のような物が見つかったそうです。
※写真はイメージです。
思った事を何でも!ネガティブOK!