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アメリカ軍とクルド人の共同作戦~イラク戦争北部の戦い~(4)

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テベッカ峠で戦うグリーンベレーとペシュメルガの前にイラク軍の戦車が現れました。
この窮地をどう切り抜けたのでしょうか?

目次

後退を強いられるグリーンベレー

グリーンベレーにしてもペシュメルガにしても、戦車はありません。
対戦車ミサイルを持っていても、隠れる場所の無い平地で戦車と戦うには不利です。

グリーンベレーはジャベリンミサイルでの抵抗を試みますが、発射装置の冷却をする必要からミサイルがすぐに発射できなかった。
反撃ができないグリーンベレーはT-55から砲撃を受けて、アラモと名付けた陣地にまでペシュメルガと共に後退します。

アラモに到着した時にジャベリンミサイルの発射装置は冷却ができていて、発射ができる状態になっていました。
ミサイルによる反撃を受けてイラク軍は攻撃の手を緩めます。

形勢逆転

ミサイルが使えるようになった事でグリーンベレーは要請した航空支援が来るまでの時間を稼げました。
要請した航空支援は誤爆をしてしまい、同行取材をしていたBBCのクルーに死傷者が出てしまう。

この誤爆された部隊は一時後退、これはアラモ陣地の部隊が孤立する事を意味しました。
イラク軍は野砲を投入して攻撃を再開、孤立化したアラモの部隊は追い込まれます。アラモの部隊はテベッカ峠の手前にある陣地プレスヒルに向かいます。

イラク軍はプレスヒルを攻撃しますが、アメリカ軍の空爆が残るイラク軍の車輛を破壊し、イラク軍は戦闘車輛を失い形勢は逆転しました。
戦闘車両や火力で上回るイラク軍との戦いを、グリーンベレーとペシュメルガは耐え抜く事が出来たのです。

イラク北部の制圧

テベッカ峠で戦闘が起きている頃に、アメリカ軍の機甲部隊が空輸で到着し、戦車が無かったTFバイキングにとっては大きな戦力の増強がなされた。
戦力増強とテベッカ峠の勝利はTFバイキングに弾みをつけます。

4月9日にペシュメルガとグリーンベレーはキルクークを包囲します。
キルクークに残るのはサダム挺身隊など、フセイン大統領への忠誠心が高い部隊だけになった。これらの部隊はゲリラ戦を挑みましたが制圧されました。

モスルでは抗戦を続けるイラク軍部隊へ捕虜にしていたイラク軍司令官に説得させモスルのイラク軍部隊を降伏させます。
モスルとキルクークを攻略した事でイラク北部の主要な部分を制圧しました。

4月13日に山岳師団や海兵隊などの増援が到着すると、ペシュメルガなどの民兵組織に武装解除と解散をアメリカ軍は求めます。
4月9日にイラクの首都バグダッドが陥落し、もはや敵だったフセインの政権は倒されたのです。
戦闘から平和維持へと方向転換をしようとしますが、現地の混乱はもう少し続く事になります。

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参考文献
・図説現代の特殊部隊百科 リー・ネヴィル著 坂崎竜訳 原書房
・世界の特殊部隊作戦史 ナイジェル・カウソーン著 角敦子訳 友清仁用語監修
・ミリタリーナレッジレポーツVOL11 イラク戦争の特殊部隊 友清仁著

※画像はイメージです。
Photo by Levi Meir Clancy on Unsplash

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