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一反木綿は何なのか

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妖怪の一反木綿というと、漫画『ゲゲゲの鬼太郎』(作:故 水木しげる)のドダイ枠として、よく知られている。
当たり前のように扱われているが、単なる布が何をどうして妖怪になってしまったのか、今回はそこに着目してみよう。

目次

一反木綿は血に染まる

一反木綿は、鹿児島県肝付町付近に伝わる妖怪である。
アニメの鬼太郎に登場する一反もめんが鹿児島弁なのも、そこから取った設定であり、原作漫画にも逆輸入されている。

形状は1反(約10.6m×0.3m)の白い布であり、夕暮れに飛んで、人を襲う。
鬼太郎では目や手が付いているが、あくまでマンガ的表現であって、本来はただの布である。
性質はかなり凶悪で、首に巻き付く、顔を覆うといったアクションで人を殺害するとも、巻かれた反物状態で飛来した後に人を包んで飛び去るとも言われる。

布だけに、刃物には弱いようで、脇差しで斬られて撃退された、という伝承がある。その際、出血も見られたという。
他に、出没地域で、子供の集団の最後尾を襲うとも言われている。

飛ぶ布の恐怖

そもそも飛んで来る布は、妖怪でなくても危険なものである。
風で飛来するシート状物体の危険は、漫画『×―ペケ―』(作:新井理恵)に描写されている。当該作では「ビニールハウスのビニール」だったが、身体を包む程の大きさに、人が薙ぎ倒され負傷している。

風圧は、枝がゆれるぐらいの風(風速10m/s)で、1平方メートル当たり5kgほどである。
一反木綿の面積は約3.18平方メートルなので、16kgほどの圧となる。
風圧は風速の二乗に係数をかけるため、もう少し風が強まり、樹木が揺れる程度(風速14m/s)になった時点で、30kgにまで跳ね上がる。
首など一点にかかれば、頸椎の損傷や転倒も充分あり得るだろう。
これが、妖怪として何かしら魂的なものを持って、悪意を持って絡んでくれば、人を殺傷せしめる事に疑問の余地はない。

恐るべき事に、一反木綿は目撃例の多い妖怪である。
新幹線と併走した、30mを超える巨大なものだった、透明だった、などなど様々である。
だとすれば、一反木綿は今も、人の命を狙い空を回遊しているのだろうか?

犯行動機

ここで考えるべきは、目撃例に反して「被害者」の報告が乏しい事だ。
一反木綿は人を殺傷せしめるパワフルな存在である事は前述した通りである。
なのに、人間に姿だけ見せて、何もせずに飛び去ってしまうのだろうか。

ここで考えるべきは、一反木綿が人を襲う「動機」だろう。
一反木綿は、布の妖怪である、という認識は概ね間違っていない筈だ。
自然界の動植物の中に、ここまで大きな「布」状組織を持つものはいない。長さだけなら存在するし、大きな葉もあり得るが、反物一反分となると難しい。
だとすれば、一反木綿の元になったものは、動植物ではなく物、すなわち付喪神の類と考えるべきだ。
付喪神となるパターンとしては、99年または100年間使う事、または粗末に扱われ捨てられる事である。

ここで、話はややこしくなる。
一反の木綿布というのは、道具や衣類ではなく材料である。
これを加工して、初めて衣類になる。
当然、工業機械が導入されるまで、布を大量生産する事は困難であり、絹だろうが木綿だろうが高級品である。つまり、反物を粗末に扱う事は不自然であり、そもそも材料なので付喪神になる「使う」段階に辿り着かないのではなかろうか。

一反木綿は何者か

一反木綿は「一反の木綿に見えるだけ」であって、別の物が化けた可能性がある。
だが、そこまで長いものが、空を飛んでいる事があるのだろうか。

これについては、検証番組がある。『所さんの目がテン』1062回である。
番組内の実験で示されたのは、50cm程の布が、暗闇で動いていると2mから6mほどの長さに感じられる、という結果だった。
これは、陽性残像と呼ばれる現象であり、夕暮れの暗い中で、明るく見える物があると、軌跡が筋状に見えるという錯覚である。

一反木綿は、ずっと短い布が化けたものだった可能性があるのだ。
だが、不自然さはまだある。
木綿を真っ白いまま使うものだろうか。
手拭いですら模様がある。
シャツなら形が分かる。だが、発想は近い。
白布を、長い形のまま使うもの。

そう、六尺ふんどしだ。

一反木綿は六尺ふんどし

図らずも――プレミアムバンダイにて、既に「一反もめんふんどし」(但し、越中タイプ)は販売されていた。
ふんどしなら、白いままであり、洗濯物として干しされるので、風で飛ぶ事もある。そして、ぎゅっと締められれば「きつい」、当然「きたない」、祭りなど荒っぽい場面で露出する事による「きけん」と、3K労働待ったなし。

人間を恨む動機としては充分であった。
そう考えた時、昨今の一反木綿が、人を襲わない事も理屈に合う。
一反木綿サイドとしても、ふんどしを締めた事のない現代人を、無差別に恨む事は出来なかったのだろう。

昨今目撃される一反木綿は、既に己を苦しめた者が死に絶え、恨みを晴らす機会もないまま、空を駈けているのだろうか。
空の青さと風が、一反木綿の恨みを浄化するよう願うばかりである。

参考:
『知識の宝庫!目がテン!ライブラリー』
プレミアムバンダイ『ゲゲゲのランジェリー』

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