私がまだ幼くおじいちゃんの家に遊びに行った時に、一緒にお風呂に入った時がありました。
その時に見たことの無いような、まん丸の赤い傷跡がおじいちゃんの背中にありました。
今まで他の人の背中にはまん丸の赤い傷跡のある人なんて見たこともなかったし、ただ興味津々で、そして好奇心旺盛な幼い子供は無邪気に「なにそれ?」と指でその跡を指して聞いたんだと思います。
おじいちゃんは笑顔で、「これは戦争といってみんなで戦っていた時に、近くに爆弾が落ちて、何かが背中に当たった跡。」だと教えてくれました。
その頃は戦争が一体どういうものなのか全くわからなかったし、その悲惨さや悲しさや、二度と繰り返してはならない出来事だと理解できるわけがあろうはずがありません。
ただとても痛そうで、おじいちゃんが可哀そうにと思ったのは忘れません。
それから数年経ち、私も物事にだいぶ理解が深まってきた時に、おばあちゃんか母親からかにうっすらと聞いた覚えがあるのが、本当はおじいちゃんは戦争のことを話すのが嫌だったそうです。
お湯を沸かすヤカンに箸をトントン叩くと甲高く音がなりますが、その音が戦争中の時の銃声の音に似ているそうで、それもとても心持ちが悪くなると、聞いたような記憶があります。
戦争はおじいちゃんの心の中で、背中の傷跡よりも大きい傷になり、ちょっとしたきっかけでも思い出してしまうのは、とても可哀そうにおもい、それを聞いてからはもうおじいちゃんから戦争の話を聞いたことはなかったと思います。
そんなおじいちゃんも、もう亡くなって10年近くなります。
今日はこれをきっかけに、とてもおじいちゃんのことをとても懐かしく思い出しました。
おじいちゃんはとても私たち孫に優しく接してくれて、とても可愛がってくれました。
そんなおじいちゃんも世界の激動に否応なく揉まれてしまって、考えても考えても及ばない悲しい青春を送ったことを思うと、なんて時代だったんだろうと思いました。
※画像はイメージです。
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