全国に分布している神社の社名が多いものは、稲荷や八幡などが多いが、白山神社も多く、全国各地で信仰されていると言える神社の一つである。しかし、その主祭神は、記紀にはちょっとだけしか出てこないマイナーな神であるにもかかわらず、なぜこれほどの信仰の広がりを見せているのか。
また、その主祭神の神である菊理媛神(ククリヒメノカミ)は、どんな神なのかを深掘りする。
白山神社とは
白山神社は、沖縄を除く全国各地にあり、その数は3000社に上る。
総本山は、石川県白山市にある白山比咩神社(しらやまひめじんじゃ)となっている。
主祭神は、菊理媛神または白山比咩大神(シラヤマビメノオオカミ)と言われる神であり、石川県・岐阜県・福井県にまたがる白山を聖域とした神社の神様ということになっている。
神話の世界では、菊理媛神は古事記には存在せず、日本書紀にたった一度出現してくるのみであり、その神話での内容は、イザナギとイザナミが黄泉の国で口論したときに仲裁に入りイザナギに囁いたことでほめられた、とあるのみである。
白山信仰と越の国
白山信仰は、日本三大霊山に数えられている白山を聖地とし、生活に不可欠な水を大切にする信仰として崇められたようである。
白山信仰の総本山である白山比咩神社がある場所は、かつて古代越国、高志・古志などとも言われているところで、その範囲は、西は福井県から東は山形県という日本海側の広い範囲と言われている。
この越国は記紀には多少地名が出る程度であまり書かれておらず、ヤマタノオロチがやってくるという場面以外は舞台になる逸話もほぼ無いといえる。しかし、この大国は宝石である翡翠が取れる場所であり遺跡も多く、古史古伝などには重要な場所としてあり、とても巨大な文化圏と信仰する偉大な神があったとみてもおかしくない。
古史古伝のホツマツタエによる菊理媛神は、イザナギの妹として登場し、古代日本の王の直径血統が断絶される危機に、豊受大神(トヨウケノオオカミ)が東の王君となり、日高見を一時政治の総括をしたところにイザナギの妹として菊理媛神は出てくる。
謎の神菊理媛神
古来の越国は、その大陸と近いという利点から、海洋貿易に栄えていたことが分かっており、とある文書には、僧侶の泰澄が菊理媛神のもともとの呼び名を、「高句麗媛」という呼び方だったという。
泰澄自身も、渡来系秦氏の子孫だったらしいので、大陸を渡り朝鮮半島から渡来してきた一族の信仰であることが予想される。
東北では、「おシラ様」といわれ、養蚕の神として崇められているあたり、とくに秦氏との関連も強そうに思える。
また、水に関する神ということで、龍神と同一視されていることから、他の謎の神である瀬織津姫大神(セオリツヒメノオオカミ)とも、同一視されることもあるとか。
瀬織津姫大神は、祭祀王であり代々継承する役職だとある古伝にはあり、ホツマツタエのアマテル(天照大神の男性神)の妻だったと記載があるため、王たる職・家系だと言える。
ご利益も、菊理媛と瀬織津姫が似通っていることがあり、縁結びと縁切り、禊の神、祓いの神としているのは、偶然だろうか。
菊理媛の存在を、あえて隠しているような記紀の扱い方には、謎が残る。
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