80年代に注目された落合信彦氏の著作。「ケネディー暗殺」などを取り上げている一方、その内容に異議を唱える人も登場したこと、今も覚えている方もおられると思います。そんな氏の代表作の1つ、ヒトラー生存説を追いかけた『20世紀最後の真実』(手元にあるのは、1980年に刊行されたハードカバー版)を、改めて読み直してみたいとおもいます。
ナチ残党とヒトラー生存説
本書はナチ残党と接触した落合信彦氏が、南米などに脱出したナチ残党からのインタビューを通して、当時のナチ残党の様子や映画『オデッサファイル』にあるような、大戦後にナチ残党が欧州から脱出する特務機関の存在があったのか否か、そして当時のナチ残党が目指したものなどを記述しています。
ヒトラーとの個人的エピソード
その中で総統アドルフ・ヒトラーと関わりのある人物が登場することで、自然とヒトラーの生死とヒトラー生存説に触れています。登場する人物のうち1人は、ヒトラーの専属パイロットだったハンス・バウワーであり、もう1人は作中で「ヘルマン」と紹介されているナチ党員なのです。
この「ヘルマン」と総統ヒトラーのエピソードを読むと、映画『ヒトラー最期の12日間』でも描かれていた、ヒトラー個人の側面みたいなものを知ることができたのでした。
「ヘルマン」はヒトラーと同じくオーストリア出身のナチ党員で、1935年ミュンヘンでのエピソードが綴られています。
「ヘルマン」が上位のナチ党員(地区長)と衝突し、地区長が「ヘルマン」のことを不満分子として党に報告(=強制収容所行き)したことで、「ヘルマン」と彼の婚約者が窮地に陥ります。
その際、街頭募金期間が来て党幹部も街頭に立って募金を呼びかけることから、「ヘルマン」街頭に立っていたマルティン・ボルマン(当時は副総統ルドルフ・ヘスの副官)に事情を書いた手紙を渡します。
ボルマンは1党員からの手紙に困惑しますが調査を約束し、数日後、ミュンヘンにあった党本部(ブラウンハウス)に呼び出されて向かうと、そこには総統ヒトラー自身が待ち受けていて、「ヘルマン」に対する報告は却下され、報告をした地区長を処分すると直接言われたとか。
その後の「ヘルマン」と総統ヒトラーの接点についても綴られているのだが、戦前からその動静が秘匿されていたヒトラーが総統官邸があるベルリンではなく、ナチ党発祥の地であり、党本部のあるミュウヘンにいるというのも、もしかしたらヒトラーのダブル(替え玉)が戦前から存在していたのかも?と・・・そんなことを思うのでした。
ヒトラーの身長
本書の中でも、写真に撮影されたヒトラー(世界的に有名なモノ)、その身長の違いから、ヒトラーのダブル(替え玉)についても氏は言及しています。
分かりやすいもので言えば、ヒトラーとムッソリーニが並んで撮影されている写真、ムッソリーニが168センチ、ハンス・バウワーとヒトラーが170センチとのことだが並んで撮影されている写真を見ると、それには明らかにヒトラーの方が身長が高いように見えるので、「このヒトラーは本物のヒトラーか?」とも感じたりしました。
死後半世紀以上過ぎても解明されない、アドルフ・ヒトラー(及び第三帝国)の謎みたいなものに興味のある方は、この『20世紀最後の真実』を読まれてみてはいかがでしょうか。
※画像はイメージです。
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