零戦の名パイロット・坂井三郎氏の空技・左捻り込みは秘技と称されます。
秘技とは他人に真似の出来ない奥深い技の事です。
飛行機の知識もなく、ましてやその操縦などした事のない私達はどうその秘技を感じればよいのでしょうか。
左捻り込みの操縦法について坂井氏の記述
宙返りの頂点手前で、「やや左に踏み込んでいた左フットバーを瞬間緩め、逆に右フットバーをポーンと軽く蹴る。機は背面のまま瞬間横滑りする。
これに追い打ちをかける様に手前中央に引き付けていた操縦桿をポッと右へ倒す」
すると「機体全体が微妙に皿回しの皿をスロー回転する様に、重心を中心に左に回転する」
これは左捻り込みの操縦法を坂井氏が記述したとされる文章の一部です。
ここから分るのは、両手両足を使って操縦装置の微妙で複雑な操作を行っている事です。
しかもその操作には、宙返りというエンジン回転と重力などで機体状況が刻々と変化する中で、それに即応した微妙で細かなタイミングと操作程度が要求される筈です。
失速寸前のコントロール
またこの空技は機体を意識的に失速寸前の状態で操縦しなけらばならず、前述の様に刻々と状況の変わる機体で失速寸前を維持する事自体が神業だといいます。
またプロペラとエンジンが回転する反作用で機体の姿勢が変化するジャイロモーメントも利用しており、零戦という飛行機の特性を知り尽くし、さらには自分の愛機だけにある特徴にも習熟していなければ成し得ない空技だと分かります。
零戦に関するインタビュー
坂井氏は零戦に関するインタビュー映像の中で、零戦の優れた点の一つは「操作する操縦桿と昇降舵の動きの連動がよく、縦の運動においてパイロットの思い描いた通りの軌道で機体を操縦できる操縦性の良さ」だと言っています。
また「油の乗り切っている頃は、飛行機のスピンナー(プロペラ軸先端、機体最前部)の先を自分の額の真ん中に、そして主翼の両翼端を中指の先に感じていた」とも証言しています。
つまり坂井氏は世界一運動性能の高い戦闘機の機体が自分の身体と同化し、身体そのものと感じるぐらいに習熟し乗りこなしていました。
左捻り込みの具体的な軌道や操縦法は難し過ぎて理解できませんが、こう見ていくと、その空技が天才的な飛行技術と豊かな飛行経験を持った特別なベテランパイロットだけが行い得たものだった事は想像できます。
それは正に秘技と呼ばれるに相応しい空技なのです。
有名な左捻り込み。
いったい何がどう凄いのか、飛行機に素人の私にも興味があります。
※写真はイメージです。
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コメント一覧 (2件)
お話を拝見しました。
このテクニックにおいてそれぞれのお考えは否定しませんが、著書を拝見する限り、坂井式捻り込みは「一定の前提条件ありきの追躡訓練のときだけに使えた、いわゆる引っ掛け技」がその実態であることが読み取れます。どうしたものか、今日のとらえ方は情緒過剰・妄想肥大により増長・変節したチャンバラ映画の「秘剣」同等とみてよいでしょう。分別盛りの大人が夢中になる程のものではないと思います。
ちなみに赤松貞明氏はその著書で「まったく無理な操縦法」と述べていることを申し添えます。
ありがとうございました。
読まさしてもらいました。
坂井の表現は。現代版のストールターン操縦法に近いと思います。ただし角度が違う。右にラダーペダルを踏んで皿回しをするのも ストールターンその物で同時に右エルロン操作。矛盾しているが、、、、
プロペラの回転方向が操縦席から見て右回りの場合、左ストールターン、左ロールが基本となる。
この場合、左ラダーペダルを踏みと、左にロールしながら左に倒れます、それを防止するために右エルロン操作するのです。
坂井氏の表現が間違っている可能性もあるかも。
私は坂井氏とは知合いでした、あと山本長官を護衛した6人の一人柳谷さんもおなじ。