外国人みたいなお爺ちゃん

私が小学生の頃、お爺ちゃんが外国人みたいに彫りの深い顔をしていたせいで、毎日敵国のスパイ呼ばわりされていた話を聞かせてくれました。

私のお爺ちゃんは183cmと背が高く、色白で鼻の高い、まるで欧米人のような外見をしています。
93歳になった今でも、どこかの英国紳士のような見た目をしているので、若い頃はとても日本人には見えなかったのではないかと思います。

お爺ちゃん曰く、見た目のせいで毎日友達から「おまえは敵国のスパイに違いない」と嫌疑をかけられていたそうです。
しかし、それは私が学校で習ったような、なんでも疑って処罰するといった過激なものではなく、今の時代でいう「いじり」のようなものでした。
友達同士で楽しむようなノリだった、ということらしいのです。

お爺ちゃんは、友達からスパイ疑惑をかけられるたびに、「参りました!」と日本に降参する演技をして見せて、周りを喜ばせていたようです。
何度もやるうちにだんだんこなれてきて、しまいにはその掛け合いをやるためだけに、手製の白旗を常に携帯していたとのことです。

私は当時の日本というのは本当にピリピリと恐ろしい雰囲気で、少しでも誤解のあるようなことがあれば、たちまち憲兵隊に連れて行かれて、拷問の末に殺されるものだとばかり思っていたのでお爺ちゃんの話を聞いて驚きました。
当時も意外と冗談を言って笑い合うような空気はあったのかな?と思いました。

ですが、お爺ちゃん曰く、それはそれでまた違う・・・とのことでした。
確かに友達同士なら、冗談を言い合うこともあったし、自分が敵国のスパイだと言って笑い合うこともあった。

しかし、それは日本のために戦う、自分達の命は日本のためにあるのだ、という前提を確かに共有していたからこそ成り立つ冗談だった・・・と言います。
また奮い立つ気持ちとは裏腹に、いつ何時自分達も死ぬかもしれないという不安があり、少しぐらいブラックな冗談でも言わなければ、落ち着いていられなかったとのことです。

今からは想像も出来ないような、辛く悲惨な時代だったと思います。
そのなかで、ユーモアの心や笑う強さを失わなかった昔の人を、心から尊敬する思いです。

※画像はイメージです。

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