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M4とM16・・・違いやコルト社と関係はご存じですか?

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M4カービンやM16シリーズと言えば誰もが知るアメリカ軍の主力小銃ですが、AR-15やコルト社との関係はご存じですか?
ベトナム戦争以降のアメリカ軍が登場する戦争映画やTVドラマなどで、兵士達が手にしている自動小銃が何かと問われれば、M4カービンを含めたM16シリーズのアサルトライフルであると大半の方が答えるだろう。

もう少し実際の戦争と年代で分けて考えるならば、1960年代のベトナム戦争を描いた作品であればM16が中心であり、湾岸戦争以後の1990年代以降の中東地域を舞台といた作品ならばM4カービンだと言えよう。
これらM16シリーズのアサルトライフルは例え銃器類に詳しくない方々であっても、その近代的な外観や各作品での露出の多さから、名称は別としてもシルエットを見せれば大半の人々が見た事があると頷く事だろう。

そんな高認識率を誇ると思われるM16シリーズのアサルトライフル、ほとんど外観上は同じに見えるものがAR-15と呼称される事もあるが、これは大雑把には同銃の民生品の名称だ考えて差し支えない。
今回はそんなベトナム戦争以後のアメリカ軍を象徴するアサルトライフル・M16シリーズについて、今一度復習を兼ねて振り返ってみたいと思う。

目次

M16シリーズ、AR-15の開発とその経緯

アメリカ陸軍や海兵隊の第二次世界大戦時の主力小銃としてつとに有名なのが、他国に先駆けてセミオートマチック方式の自動小銃として1936年に正式採用され、歩兵個人の火力を大きく向上させたM1ガーランドだ。
M1ガーランドは30-06スプリングフィールド弾(7.62x63mm)を使用する自動小銃だが、その後1957年にアメリカは7.62×51mmNATO弾を用いてフルオート射撃も可能とした、その進化版のM14を正式採用とした。
そしてこの時期航空機製造を行っていたフェアチャイルド社が銃器製造を手掛ける部門としてアーマライトを設立、ユージン・ストーナーを主任技師に据え、7.62×51mmNATO弾仕様のAR-10を完成させる。

このAR-10が後のAR-15の元祖となるもので、その特徴である銃身とほぼ垂直で直線的な樹脂製の銃床、同様に樹脂製のハンドガード、アルミ合金製の機関部など、主要な構成要素を備えたアサルトライフルだった。
これはそれまでのM-14がデザイン的にもM1ガーランドの延長線上にあり、木製の曲銃床を採用していたのとは一線を画すものであった。その為当初はその時代からすれば外観からも保守層からは敬遠された感も否めない。
そしてこのAR-10が完成したのは1955年だったが、時を同じくしてアメリカ軍では7.62×51mmNATO弾に替わる小口径高速弾の開発が進められていた為、それに対応したものがAR-15として世に送り出された。

但し完成したAR-15はアメリカ空軍の航空基地の警備用に先ず1962年に採用されてM-16の正式名称を得た後、1967年以後に薬室の閉鎖を強制的に行えるボルトフォワードアシストが追加されアメリカ陸軍等へ普及して行く。

M16シリーズの発展

こうしてM-16にボルトフォワードアシストを組み込んだものがM-16A1となり、アメリカ陸軍の主力小銃となった後も同銃は細かな改良が複数回に渡って行われ、アップデートを繰り返しながら進化して行った。
M16A1までは実は.223レミントン弾を使用弾薬としていたが、1983年に同サイズながら芯が貫通力を高めた鋼鉄製で弾頭重量も増した5.56x45mmNATO弾へと弾薬の変更が行われ、これに対応させたものがM16A2となる。

.223レミントン弾よりも強力な5.56x45mmNATO弾を使用するM16A2はライフリングや銃身を厚くする変更が加えられ、同時にリアサイトなど細部の変更やフルオートに代えて3点バーストを連射方式に採用していた。
但しネービーシールズ等の特殊部隊ではやはりフルオート射撃の必要性が求められた為、M16A2をその仕様に戻した形式が作成され、1996年にこれをM16A3として正式採用する事に繋がった。

こうした動きと並行し1996年に陸軍、1998年に海兵隊で従来のM16シリーズの特徴であった機関部上部のキャリングハンドル部に、各種のアクセサリーの着脱が可能なピカニティ・レールを備えたM16A4も正式採用される。
更にM16シリーズでは508mmあった銃身長を368.3mmまで短縮し、銃床部も伸縮式として全長を切り詰めたM4カービンが1998年に陸軍、2015年に海兵隊で正式採用され、2022年時点ではアメリカ軍の標準小銃となっている。

M4カービン

前述のようにM4カービンは2022年時点でアメリカ軍の陸軍・海兵隊・空軍の主力小銃となっているが、M16A2の20インチ(508mm)銃身を14.5インチ(368.3mm)に改めたものでパーツの共有率は8割ほどである。
M16が登場しベトナム戦争に投入された際にも、小口径高速弾を使用する同銃はフルオート射撃時のコントロールが従来の7.62×51mmNATO弾を使用するM14よりも遥かに容易であり、体系の小柄なアジア人にも扱いやすかった。
こうした特性は更に銃身長が短縮され全長も小型化されたM4カービンも受け継いでおり、その性質はアメリカ軍でもジェンダーフリーの潮流の進展に伴い、女性兵士でも扱いやすいサイズ感である事にも寄与したと思われる。

M4カービンの銃身長が14.5インチに設定された理由は、アメリカ陸軍のテスト結果からこれより短くすると5.56x45mmNATO弾の威力の低下が顕著となる事が判明した為とされており、必要最低限の銃身長との判断による。
しかし21世紀に入りアフガニスタン紛争を始めとする中東地域の戦場においては、遮蔽物の少ない長距離戦闘による5.56x45mmNATO弾の威力不足も顕在化し、新たに6.8mmレミントンSPC弾が開発される事にも繋がった。

2022年4月にはこの6.8mmレミントンSPC弾を使用するSIG社のMCX SPEARが、アメリカ陸軍のNGSW(ニュー・ジェネレーション・スクワッド・ウェポン)トライアルで選定されており、今後の主力小銃となる可能性が高い。
因みにM4カービンの名称に含まれているカービンとは、かつての騎兵が馬上でも取り回しやすいよう全長を短縮した小銃を意味していたが、近年では単にフルサイズの小銃よりも全長が短い程度の意味で使用されている。

M16シリーズ・AR-15とコルト社

M16シリーズ・AR-15を開発したのはフェアチャイルド社の銃器製造部門・アーマライトだったが、1960年代にコルト社がその製造に関する権利を獲得、アメリカ軍用にM16シリーズ、その民生用としてAR-15を販売した。
コルト社と言えば西部開拓時代にSAA(シングル。アクション・アーミー)でアメリカを代表する銃器製造会社としての基礎を築き、天才銃器設計者のジョン・ブローニングの手による拳銃・M1911でもよく知られれている。

回転式拳銃でもパイソン等の高品質な銃器製造を手掛けてきたコルト社は、軍用と民生用を分社化して存族していたが1980年代以後はM1911のパテント切れを迎え、更に2013年にはM4カービンの軍との契約をFNハースタル社に奪取される。
これがコルト社の経営に致命的な影響を与え、2021年には遂に同社はCZ75等の自動式拳銃で高名なチェコのCZ社に買収され、アメリカ企業としての存在には終止符が打たれている。

今後も偉大さを失わないM16シリーズ

M16シリーズは登場時に当時のアメリカ軍の正式小銃であったM14から真逆とも思えるコンセプトの変更を実現、ちょうど小口径高速弾が指向されたタイミングに合致した事で20世紀を代表するアサルトライフルとなった。
その近未来的な外観と初の実戦が過酷なベトナムのジャングルであった事もあり、投入当初の評判は決して芳しいものではなかったと思えるが、兵士個人が携行できる弾薬数を増加させる事で今に続く用法を確立させた。

但し旧ソ連が第二次世界大戦で対峙したドイツの量産化された初のアサルトライフルStg44に触発され、すぐにそのコンセプトを取り入れたAKシリーズを開発した事と比べればその意味での先進性はなかったとも感じられる。
しかし今現在の西側諸国のアサルトライフルやサブマシンの大半は、その操作系の配置にM16シリーズを踏襲していると言って過言ではない程であり、今後も歴史に残る名銃として語り継がれて行くのだろう。

※画像はイメージです。

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