アニメやゲームなどの魔法表現で、魔法陣が使われる事は多い。
むしろ、何かしらの現象が魔法由来であるという記号として出しているといった方が良い。
だが、魔法陣は複雑な図形だ。
炎をイメージして炎を生み出すのは分かるが、魔法陣が介在する余地は、本来ない筈ではなかろうか。
あなたが何かの加減で魔法を使えるようになった時「理由は分からないが魔法陣が浮かぶ」という状況になったとしたら?
理解は必要だ。
魔法陣とは
魔法陣という言葉を日本で使い始めたのは、漫画家の水木しげるであるとされる。
早めに誤解を解いておくが、魔法陣は数学の配置であるところの「魔方陣(magic square)」とは異なる。
命名時に同氏が意識していた事はおおよそ間違いないだろうが、より直接的に参考にしたのは、『魔法 その歴史と正体』(カート・セリグマン著)内で語られる「魔法円(magic circle)」である。
魔法円は、悪魔を呼び出す魔術師が、自分を守る為に描くいわゆる防御壁である。
呼び出された悪魔は、その時点で魔術師に従う意思を一切持っておらず、魔法円から「指一本でも出たりすると、その人はずだずだに寸断されてしまう」という。
この危うい状況の中で、呪文と交渉を用いて、悪魔から知識や黄金、助力などを得る事になる。
この魔法円は、魔法で自動筆記するという訳ではなく、自ら手を使って描く。
水木しげるは漫画内で、かなりのアレンジを加えているが、魔法陣を手書きしているという部分は共通している。
尚、『悪魔くん』の元ネタの1つであるゲーテの『ファウスト』の場合、悪魔は犬の姿に化けてしれっと登場しており、魔法円を使った召喚という手順は描写されていない。
更に『ファウスト』の原型となった、実在の人物である占星術師にして錬金術師のヨハン・ファウスト博士の伝説には、「魔法円を描きサタンを召喚し」とある。
防御手段として使ったかは定かではないが、こちらも手書き魔法陣と読み取れる。
魔法陣の自動書記の始まり
当初手書きされていた魔法陣が、どの辺りから自動発生するようになったのだろうか。
ここは記憶に頼ろう。
こういう描写はアニメの独壇場だ。
昭和期の魔法少女(魔女っ子)ものにイメージはない。
『ロードス島戦記』のようなヒロイックファンタジーにもなかった筈だ。
アニメ版『魔界都市<新宿>』(1988)の魔震による裂け目は魔法陣になっているが、少しニュアンスが異なる。
『魔動王グランゾート』(1989)は、魔動王が魔法陣から出て来る。乗り手は魔法陣をきちんと描いていないが、召喚用の「魔動機」に自動描画機能があると解釈できる描写だった。
平成初期の魔法もの『姫ちゃんのリボン』(1990~1994)では、魔法陣描写そのものがない。
その2年後の『カードキャプターさくら』(1996~2000)に、明確な自動発生する魔法陣描写があった。
主人公の木之本桜は、魔法の素質はあっても魔法の知識は皆無であり、描ける訳がない。だが、魔法を使う時には、魔法陣が発生している。正にこの表現だ。
ただ、これはクロウ・リードが仕込んだアイテムを使っているから、という事情がある。
つまり、この作品の魔法陣は、予め描かれたものだ。
時間差で描いておく事が可能、となってくると、現在の描写も説明が出来る。
先に文章を打っておいて、クリップボードにコピーしておけば、「Ctrl」+「v」で貼付可能というのと同じだ。
空中に浮き上がるのが奇妙に見えるが、魔法なら発光物質で字を形成して浮かせるぐらいはやるだろう。
ブルーインパルスなら、魔法も使わずやってのける。

魔法陣の役割
だとして、アニメで魔法を使う時にぴょこぴょこ出る魔法陣の「効果」は一体何なのだろうか。
魔法円は悪魔の攻撃から「術師を守る」ためのものだ。
魔法を使うときに自動発生する魔法陣は、「魔法を守る」とでも言うのだろうか。
これは幾つかの解釈があり得る。
銃身
魔法円が内と外を遮るものなら、何かしらの壁が生じている筈だ。
魔法のエネルギーをこの中に閉じ込め爆発させれば、銃身のように方向性を定めてぶっ放せる。
アニメ『葬送のフリーレン』のゾルトラーク辺りの直進性にはこの疑惑があろう。
曲折出来る場合、この銃身を曲げて形成していると考えると理解出来る。
門
水木しげる型の魔法陣の場合、召喚対象は魔法陣の中に生じる。
これは、単なる防護結界である魔法円とは根本的に違う、魔界とこちら側とを繋ぐ「門」の役割を担っていると解釈できる。ここで呼び出すものが悪魔ではなく、異世界の炎や熱を帯びた大気のようなエネルギーに満ちたものを想定すれば、魔法とよく似たビジュアルになる。
動力装置
魔法円が成立する世界の場合、文字や図形が何らかの物理的な力を持つ。だとすると、書き方次第で現象を直接起こさせる事も可能となる筈だ。
この場合、魔法円、魔法陣そのものが力を生み出しているか、もしくは術者の魔力を燃料に、欲しい効果を生み出している動力装置(エンジン)のようなものと言える。
恐らく、魔法陣表現の多くはこれだろう。
ただ、この場合、魔法陣が読める人を相手にしていると、手の内が丸ごと見えてしまう事になる。
エネルギーは加工するほどロスが生じるため、繊細な状況でないなら、魔力を直接ぶつける事も考えて良い。
戦うとなれば、無詠唱、無魔法陣で結果のみを発生させる『AKIRA』方式が何より強い事は言うまでもない。
魔法陣使いに大切なこと
今後、諸兄が何らかの成り行きで魔法を使う事になった際、何故か魔法陣が浮かび上がっていたら、これらを意識すると良いだろう。
場合によっては、それはあなたの力ではなく、誰かが「使えているように見せかけている」だけかも知れない。
利用するにしても、代替出来る確実な方法も1つは身に着けておくべきだろう。
生殺与奪を、訳の分からない術に委ねてはならない。
※画像はイメージです。


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