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死者と生者を繋ぐ赤い封筒・・・台湾に残る冥婚の実態

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あなたは台湾・中国に残る奇怪な風習、冥婚をご存知ですか?死者と生者を結ぶ婚姻は、フィクションの題材としてもよく取り上げられ、私たちが目にする機会も多くなりました。今回はそんな冥婚の実態やオカルトな逸話をご紹介していきます。

目次

冥婚とは?歴史を解説

冥婚とは中国・台湾の一部地域に伝わる、死者と生者の結婚の儀式をさします。
中国山西省や広東省、江蘇省などの農村地域では、未婚のまま死んだ男性と女性の遺体を合葬します。これは死者の魂を慰めるのが目的で、単体で埋めると家族に不幸が起こると信じられてきました。故に独身の息子が亡くなった場合、両親は未婚の女性の遺体を買い取り、一緒に土葬したのです。冥婚の成立後、両家は親戚となります。

花嫁の値段は年齢・容姿・鮮度・家柄を基準に決められます。それに加えて事故死より病死のほうが高値で売買されており、全ての条件を満たした遺体は、数十万元で買い取られることもありました。
なお中国の農村における男女比は著しく偏っており、男性が圧倒的多数を占めます。これは2105年まで実施された一人っ子政策の弊害。
山西省は炭坑労働者が多く、落盤事故で死亡者が相次ぐ為、冥婚相手は慢性的に不足状態。
遺体入手の困難さを見越した男性の親族は、病院関係者に賄賂を払い、理想の花嫁の情報を収集しているそうです。

中国の農村では未婚女性は墓に入れず、田畑に遺体を埋められます。しかし冥婚となると話は別で、嫁ぎ先の墓に迎えられ、きちんと弔ってもらえるメリットがありました。
冥婚の起源は中国最古の王朝・殷の時代まで遡り、この頃に祖先に妻を娶らせた伝統が、時代を下ってなお引き継がれています。
宋の時代には冥婚専門の媒酌人も登場し、死者と生者の仲を取り持っていたそうです。
今なお田畑に埋めた娘の死体が盗まれる被害が後を絶たず、遺族の頭を悩ませています。

赤い封筒に要注意?台湾の冥婚

台湾にも冥婚の風習は伝わっています。
あなたが台湾を訪れた際、道端に赤い封筒が落ちていても拾ってはいけません。
日本のご祝儀袋は白ですが、台湾のご祝儀袋は鮮やかな赤色をしており、「紅包」の名称で呼ばれています。
白い封筒は香典用なので祝典には使いません。中国・台湾では赤はお祝いの色とされ、花嫁衣裳も真っ赤です。

まかり間違って赤いご祝儀袋を拾ってしまった人は、霊と婚礼を挙げなければいけないのです。
……というのは一種の都市伝説。台湾在住の人でも赤いご祝儀袋が落ちている現場を目にすることは稀で、「母の母が子供の頃に見た」程度の伝聞に終始するのが現状でした。

台湾の冥婚は大都市を遠く離れた農村部で行われており、その代表例として挙げられるのが蘭陽平原。ここは台湾で最も早く開拓が始まった、ネギの名産地として知られています。
冥婚の実態が謎に包まれている背景には、デリケートな話題を口にしたがらない、遺族の心情も関係しています。

なお中国と違い、台湾の冥婚は死者の性別を問いません。誤解はまだあり、ご祝儀袋を路上に放置することもまずないです。子に先立たれた親の身になれば最もで、たまたま通りがかった知らない相手に、愛する子供を嫁がせたいとは思いませんもんね。

冥婚に影を落とす、男尊女卑の文化

蘭陽平原で冥婚が行われてきた経緯には、台湾の特殊な事情が絡んでいます。
1970年代以前の宜蘭における幼児の死亡率は50%……産まれた子供の半分が夭折しています。
これは土地自体が貧しかったのに加え、女児が間引きされてきた事実を裏付けています。

台湾の人々は大変信心深く、地元の廟に日参する他、家に祭壇を設けて位牌を祀っています。しかし未婚で死んだ女性は位牌を飾られず、弔ってもらえません。
台湾では死者も年をとると考えられており、適齢期の娘がさまよい続けるのを案じた遺族は、冥婚で伴侶を見付け、その位牌に名を刻んでもらうことにしたのです。

中国・台湾に共通しているのは、昔ながらの封建制度が、冥婚の成り立ちに深く関わっていること。
日本でも「同じ墓に入りたい」がプロポーズに代用された時代がありましたが、向こうの事情はもっと深刻。
女の子の親は娘が冥婚したのち婚家の祭壇に祀られ、初めてお墓参りができるようになるのです。

台湾の占い「算命」と冥婚の関わり

冥婚が流行った理由は他にもあります。それが「算命」と呼ばれる、陰陽五行を応用した占い。
台湾の人々は冠婚葬祭の都度算命を頼っており、占いの結果として冥婚を勧められることがあります。
やや異色の例として挙げるのは、冥婚を利用して夫婦の危機を回避するやり方。
ここに一組の夫婦がいるとします。

算命の結果、夫は二度結婚する運命にあると判明。普通に考えれば現在の妻と別れ、別の相手と再婚する予言に思えますが、故意に冥婚を仕組み、死者と結婚させればどうでしょうか?既に二回結婚しているので、離婚に至る未来は回避されます。
このように離婚を回避する口実としても、冥婚の伝統は使われてきました。それでもまだ妻と別れようとした場合、運命に逆らった報いとして、夫に不幸が降りかかるかもしれません。
また、冥婚にも仲人が存在します。
生者と死者を取り結ぶ役目は、生者の結婚で仲人を務めた者だけに許される特権でした。

重婚無罪、姉妹を娶ることもある

古来より冥婚は男の運気を上昇させると信じられてきました。これは単なる迷信にとどまらず、花嫁の遺族から結納金が入る為、男性はそれを元手に支度を整え、健康な正妻を娶ることができるのです。
冥婚では一人の男に姉妹が嫁ぐ例も報告されています。主たる理由は家同士の結び付きを確固にする為ですが、寝込みがちな男性が快気を願い、妻の姉妹と冥婚することもありました。

奥さんの心情を慮ると少々複雑なものの、夫の病気平癒を祈願した形式的婚礼なら、嫉妬には及ばないでしょうか?
事実婚の関係にあったカップルが事故などで同時に死亡した場合、遺族の希望に添い、冥婚が行われるケースも存在します。
いずれにせよ場所は自宅で、両家の親族や仲人を招き、ひっそり執り行われるのが決まっていました。

開けたら終わり!?ご祝儀袋の禁断の中身

さて、皆さんはご祝儀袋の中身が気になりませんか?冥婚に用いられる紅包の中には、故人の遺髪や写真が入っています。都市伝説では遺族が近くで見張っているとされ、ご祝儀の200元を渡し、「いい人と結ばれますように」と言えば逃れられるのだそうです。
落とし物を拾った上にお金を損するのは腑に落ちませんが、これでトラブル回避できるなら安いもの。同性が拾った場合はノーカウントでやり直し。

・・・だったのですが、台湾ドラマ「僕と幽霊が家族になった件」では、刑事の主人公とゲイの幽霊が男同士で冥婚しており、冥婚文化も世相に合わせて変化しているのが読み取れました。

日本の冥婚、ムカサリ絵馬

よく似た習俗として、日本のムカサリ絵馬も有名です。これは山形県の村山地方や置賜地方発祥の文化で、ムカサリの語源は「お迎え」+「去る」を意味する方言。

絵馬には正装の故人と架空の花嫁が描かれ、未婚のまま死んだ息子の冥福を祈る、哀しい親心が伝わってきます。歴史は意外と浅く、現存している最古の絵馬は1898年の物。第二次世界大戦以降奉納者が急増し、全国的に知名度を高めていきます。

未婚女性の救済措置として冥婚が機能した中国・台湾と異なり、非実在の嫁を故人に宛がうあたり、オタク文化の成熟した日本らしい風潮だと感じました。

※画像はイメージです。

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