あの世での幸せを願う山形県の風習「ムカサリ絵馬」とは?

山形県の一部地域に、江戸時代から続くというある独特の風習があります。メディアでも何度か取り上げられたことのある風習です。
今回は、故人への思いやりあふれる「ムカサリ絵馬」の風習についてお伝えします。
タブーも存在しているので、そちらについてもお伝えしていこうと思います。

山形県の独特の風習

もし、子供が若くしてこの世を去ってしまったら・・・
子供を失ってしまった親の気持ちは、万国共通ではないでしょうか。

結婚することなく、独身のままあの世へ旅立ってしまった、我が子があの世で幸せに暮らせるように・・・との思いを込めて行う風習が、山形県の一部の地域に存在しています。
あの世で幸せになれるように、「ムカサリ絵馬」というものを描き、寺へ奉納する風習なのですが「ムカサリ絵馬」とはいったいどのようなものなのでしょうか?

ムカサリ絵馬とは

故人があの世で幸せになれるように、との願いから描かれる「ムカサリ絵馬」。
「ムカサリ絵馬」とは、故人と架空の伴侶との婚礼の様子を絵にしたもののことです。

遺族が絵を描くことによって故人の供養になりますが、描けないという場合は、「ムカサリ絵馬」を専門に描いている「ムカサリ絵馬師」に依頼します。
故人の名前や享年も記され、「あの世で幸せな結婚をしてもらえるように」という、故人の幸せを願う遺族の思いを形にしたものが「ムカサリ絵馬」なのです。

「オナカマ」と「ムカサリ絵馬」との関係とは

「ムカサリ絵馬」は、場合によっては「オナカマ」という神や精霊と交流できる巫女が関係していることもあるそうです。

「オナカマ」は、祈祷や神意を伝える口寄せ等の力があるため、故人と交流をし、「ムカサリ絵馬」を奉納することが必要かどうかを聞き取るそうです。
そこで必要だと判断されれば、「ムカサリ絵馬」を用意し、奉納するのだそうです。

ムカサリ絵馬のタブーとは?

故人と架空の伴侶を描くことになっている「ムカサリ絵馬」ですが、描く人物についてタブーが存在します。
伴侶として描く人物は、実在する人物であってはならないということです。

この決まり事は、しっかりと守られなければなりません。
実在する人物を描くと、その人物があの世へ連れて行かれてしまうとの言い伝えがあるため、架空の人物を描くという決まりが守られているのです。

まとめ

私自身、ムカサリ絵馬を昔見たことがあります。
花嫁、花婿の姿が描かれた絵が、部屋にたくさん掲げられていたのをなんとなく覚えています。

現在でも、山形県天童市の若松寺、山形市の立石寺等で「ムカサリ絵馬」の奉納を受け付けているようです。
タブーの言い伝えの内容は不可思議な出来事ゆえ、その面がクローズアップされてしまうこともあるようですが、本来は故人を思いやる優しさから来ている風習です。

山形県に存在する、故人の供養における風習の一つですが、山形県民でももしかすると「ムカサリ絵馬」のことを知らない人がいるかもしれません。
「ムカサリ絵馬師」の数も少なくなっているそうですが、依頼する遺族がいる限り、是非長く続けていってほしいものです。

「ムカサリ絵馬」という心あたたまる風習は、故人と遺族両方を救うものなのではないでしょうか?
故人の幸せを願うことにより、遺族の心も癒されるでしょう。
この世でもあの世でも、人の思いというものはきっと生き続けるのだろうと思います。

※画像はイメージです。

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