防衛をする海兵隊！？アメリカ海兵隊の新部隊「海兵沿岸連隊」

アメリカ海兵隊に新たな部隊が編成されました。
それが「海兵沿岸連隊」です。
上陸作戦の部隊だけではなくなったアメリカ海兵隊の新部隊とは？

海兵沿岸連隊の編成

既に海兵沿岸連隊は２個連隊編成されています。
２０２２年３月にハワイに駐屯する第３海兵連隊が第３海兵沿岸連隊に
２０２３年１１月に沖縄県のキャンプ・ハンセンに駐屯する第１２海兵連隊が第１２海兵沿岸連隊へ

このように近年編成された海兵沿岸連隊とはどんな部隊なのか？
改編される前の海兵連隊は歩兵または砲兵で主に編成した部隊でしたが、海兵沿岸連隊は沿岸戦闘チーム（または沿岸戦闘団）・沿岸防空大隊・兵站大隊で構成されています。
沿岸戦闘チームは歩兵を中心とした部隊で、歩兵が陣地や拠点となる地域を確保する。
また沿岸戦闘チームは地対艦ミサイルも装備して地上からの対艦戦闘も行う。
沿岸防空大隊は地対空ミサイルなどの対空兵器を装備し、空からの脅威に備える。
この２つの戦闘部隊を支えるのが兵站大隊となる。

海兵沿岸連隊は歩兵はあくまで連隊の各部隊が展開する地域を確保する為で、ミサイルが装備の特色となり、連隊独自で後方支援もまかなう独立性もある部隊です。

沿岸海兵連隊の目的

アメリカ海兵隊は2020年3月に公表した「フォースデザイン２０３０」で海兵沿岸連隊の編成が書かれています。
海兵隊から戦車を全廃する大胆な方針が書かれた事で注目された「フォースデザイン２０３０」
ここで書かれているのはアジア・太平洋地域に前方展開している第３海兵遠征軍の中で海兵沿岸連隊を3個編成すると言う。

この3個連隊は第３海兵師団所属部隊を指すとされている。
つまり、第３海兵師団は地対艦ミサイルや地対空ミサイルを装備した海兵沿岸部隊となるのです。
これが意味するのは第３海兵師団は海兵沿岸連隊で沖縄などの島嶼部に展開して、太平洋へ打って出ようとする中国人民解放軍を食い止める役目を持ったと言う事です。

海兵沿岸連隊の戦い方

海兵沿岸連隊は地上戦を戦う部隊ではありません。
海上にある敵艦隊を地対艦ミサイルで攻撃し、空から来るヘリコプターなどの航空機や巡航ミサイルを地対空ミサイルミで迎撃する。
海兵沿岸連隊はミサイルで対抗する部隊なのです。
部隊の展開は連隊の中から小規模な部隊に分け、島嶼部へ分散するように展開します。

これは分散する事で敵に多方面への警戒を強要させ、分散した海兵沿岸連隊の動きを探知され難くさせます。
また、島嶼部に展開した海兵沿岸連隊は海軍の艦艇をミサイルで援護をする事にもなっています。
こうした海兵沿岸連隊の動きでの戦い方は、中国軍が太平洋方面へ進撃した場合に島嶼部に分散展開して海軍の艦艇と協同して阻止する戦いをします。
守備隊のような役目を持つ海兵沿岸連隊は、海軍艦艇と共に海に防衛線を張る新しい戦略の部隊なのです。

参考文献
・軍事研究2022年9月号「連載：ＱＵＡＤとＡＵＫＵＳの軍事力②強襲上陸から島嶼拠点構築へ米海兵隊ＥＡＢＯ構想は陸自構想の後追いか？」文：福好唱治
・軍事研究2024年2月号「中国Ａ２ＡＤに対抗し海上優勢確保に貢献スタンドイン部隊が島嶼部にＥＡＢを設置新編！『海兵沿岸連隊』の戦い方」文：稲葉義泰
ジャパン・ミリタリー・レビュー

※画像はイメージです。