米海軍空母艦乗船日記【施設編その2】

By U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Clifford L. H. Davis [Public domain], via Wikimedia Commons
ミリタリーレポート

アメリカの本社から届いたメール。
「空母艦ジョージ・ワシントンの航海に同行して教えてみないか。」
このメールから私の人生の航路は新天地を目指して空母艦と共に出航するのであった。

施設編 その2

前回は食堂と個人の部屋について書いたが、今回はそれ以外の生活スペースの施設を紹介したいと思う。

5000人が寄港を含めて半年生活している船だけあって施設は結構充実している。
24時間あいているコンビニや床屋、ランニングマシン、自転車やウエイトトレーニングができるジムもある。

ジムは体が資本の軍人には必要だからといいつつも入り組んだ艦内のちょっとしたスペースに無理やり器具を入れ込んだ、ジムというには申し訳ないような施設だ。

しかもかなりへんぴなスペースにあるので見つけるのに一苦労だ。場所を覚えるまで一苦労だった。
また1000冊ほどの本とパソコン数台の図書館や国際電話対応の公衆電話もある。
恋人や家族と離れて働いている兵士たちは空き時間にここにきて電話をかけていたり、メールをしている。

職種上パソコンや電話のアクセスがない兵士はここでしか外界と連絡をとることができない。
個人のパソコンが支給され、お偉いさんから特別に固定電話で国際電話をかけさせてもらっていた甘やかされた私は罪悪感から時々、彼らにクッキーやポテチの差し入れをしていた。

そして一番驚いたのは教会があることだ。カトリック、プロテスタントは毎週日曜日に礼拝があり、ユダヤ教やイスラム教も期間限定で司祭が乗船してくることもあった。

たまにゴスペルの練習もしている。
宗教色の薄い日本人の私にはかなりのカルチャーショックだった。

日本の船にも神社やお寺があるのだろうか。

上記に挙げたすべては軍人によって運営されている。コンビニの仕入れ、販売員、床屋、牧師、図書館司書、すべて現役の軍人だ。

これにはかなりびっくりした。軍人なのに牧師って。コンビニの販売員って。
アメリカ軍人の職種は実に幅広いなと感心してしまう。

更に艦内のテレビは全部で8チャンネルある。
1つ目は艦内でテレビ番組を制作しており、寄港地の情報や艦内のちょっとしたニュースを名放送している。
2つ目は甲板に設置されたカメラのライブ映像で飛行機の発着や天気などの外の状況を見ることができる。(白黒)

3つ目は衛星放送で主にスポーツ番組が放送されているが、陸地から遠くなると音声や映像の乱れが多く、シュートの瞬間に映像が途切れたりすることが多々ある。
4、5、6、7チャンネルは兵士セレクトによる映画が流されている。

この映画は番組制作部にリクエストを送り採用されれば流れるというシステムだ。

ちにみに8割がたピクサー系アニメや子供向け映画が流れている。ごっつい兄ちゃんたちがキャッキャしながら見ていてかわいいななんて思ってしまった。

この映画のスケジュールは艦内発行の新聞に掲載されている。

この新聞は毎日発行され、3ページほどのカラー印刷で世界情勢や艦内のニュースが掲載されている。裏にはワードパズルと数独があり、食事中や会議中(笑)に解いている人をよく見かけた。

これだけ書くと充実した施設があるように思うが、普通の陸の生活に慣れてしまっていると最初は不便に感じる。コンビニは在庫がすぐになくなるし、ジムはいつも混んでいる。床屋は船が揺れて失敗したり、経験不足で耳を切られたり。

よく聞かれるプールやボーリング場なんてものは存在しない。

まぁ、初めて乗った人はみんな、ボーリング場があると嘘をつかれて信じてしまい、後日恥をかくというのが伝統になっているようだった。

もちろん私も1週間必死でさがした。結局嘘だったことがわかったが、本当は広大な艦内のどこかにひっそりと存在しているかもしれないと今でもまだ少し疑っている。

それぐらい艦内は広大なのだ。

最後は洗濯室だ。制服はランドリーサービスで指定の袋に入れ収集され、洗濯後部屋のドアにかけられている。私服は(ジムトレーニングできた服)は個人用の洗濯室でセルフで行う。これも士官と下士官とわかれていて、下士官のほうは士官に比べ数も少なく、洗濯機の型も古い。下士官のほうが圧倒的に人数が多いのに不思議だ。

かといって、士官の洗濯機がよいかと言われればそうでもない。

洗濯機、乾燥機は各20台ほどあるが、日曜日や夜など混んでいて空くのを待たなくてはいけない。

さらに、真水のタンクの水が少なくなってしまうとすぐに使用禁止になる。最大2週間洗濯ができなかったことがあった。

水の優先順位は訓練や任務で必要なものが高く、生活用水は順位が低い。

洗濯が使用禁止になって、次に制限がかかるのが食器を洗う水だ。ここに制限がかかると食事は紙プレートにかわる。

そしてそれでも足りない場合はトイレの水が止めらる。
これはかなりつらい。最後はシャワーの水もとめられてしまう。

私はそんなに汗をかく仕事ではなかったからまだよかったが、甲板で一日中整備をしている兵士は本当にかわいそうだった。
ウェットティッシュがコンビニで大量に売られているのはこの断水にそなえてだったのかとその時理解したのだった。

次回 アクティビティ編をお楽しみに!


ガンちゃん

語学講師として米海軍基地、また空母艦ジョージ・ワシントン、ロナルド・レーガンにて計5年間勤務。
現在はその当時知り合った軍医の主人とサンディエゴ在住。