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お隣は進駐軍さん

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私の母は、昭和5年生まれ。
戦時中は京都に住んでいました。家の隣には日赤京都病院があり、終戦後にそこは進駐軍に接収され、母を含む10代の四姉妹のお隣さんは米兵となりました。

目次

お隣さんはどんな人?

終戦後、隣の日赤病院に米兵が入ることになりました。思春期の母にはもちろん、初めて見る米兵です。
戦争中には「鬼畜米英」と教えられた人たち、実際にはどんな人でしょうか。

怖さ半分、興味半分。昔の人間とはいえ、現代と同じ女の子です。チラチラと見る若い兵隊さんに、興味津々だったようです。
そのうち米兵たちも、隣の家に若い女性がいることに気づき、声をかけるようになりました。

気さくでカッコいい兵隊さん

初めて見る外国人、しかも若い男性ばかり…当然、母たちの目にはカッコよく見えますよね。
フェンスの向こうから「Hey!○○サ?ン」と呼ばれたり、お菓子をもらったりして、交流が始まりました。

親しくなるにつれ、母にも淡い恋心が芽生えました。
母が好きになったのは、ロバート・クリフトン。
無口で男前な、ミステリアスな雰囲気の人だったそうです。

バーブさん

ロバート・クリフトンは、愛称バーブさんといい、少尉か中尉か、やや偉い人だったようです。
他の兵隊と一緒に行動をしていても、無茶はしない、少し控えめに皆の様子を眺めている…そんな様子が、まだ幼い母にはとても大人に見え、憧れの存在になりました。
考えてみればその頃の彼は、20歳前後でしかないんですが。

そしてバーブさんは、なんと愛人を連れてきていました!中国人と思われる、とても美しい若い女性。
小さな犬を連れた彼女を、母はどう思っていたのでしょうか。
嫉妬?羨望?

ある夜の出来事

母の家は、父親が早く亡くなり、母親と姉妹、そして長姉の夫という家族構成でした。
既婚者の長姉と、20歳を超えていた次姉は、さすがに米兵と遊ぶことはありませんでした。

また、末っ子の妹はまだ小さく、米兵に「キキバード」と呼ばれて子供扱い。多分、「騒がしい小鳥ちゃん」みたいな意味でしょうか。
それでも若い女性がたくさんいる家は、米兵に誤解を生んだのかもしれません。

ある夜、バーブさんを含む米兵数人が家を訪ねてきました。そして、母に「出ておいで」と言ったそうです。
世間知らずの母は、夜にも関わらず言われるまま出かけようとします。

驚いた長姉の夫は、慌てて玄関に行き、「ファミリー!ファミリー!」と繰り返し、米兵を追い返しました。
多分、米兵たちは〝女性を買える場所〝と思ったのでしょう。すごく怒られた母は、それから米兵と話すこともなくなりました。

あの人は今・・・

やがて、憧れの人バーブさんは、朝鮮戦争に行ってしまいました。あの愛人を連れて…。
母の淡い恋も、それで終わり、二度と会うことはありませんでした。
もしバーブさんが生きていたら90歳以上。どんなおじいちゃんになっているでしょうね。

戦時中を生き、辛い思いもたくさんしたはずの母ですが、敵国人も一対一で会えば、見方は変わるもの。
同じ人間同士、好意を抱き愛し合うことができるはずです。
戦争で憎みあうことは、もう絶対になくなってほしいです。

※画像はイメージです。
eyecatch credit: Zack CulverによるPixabayからの画像

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