火葬場の夜の出来事

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職場の火葬場は、斎場も併設した施設でした。
ご遺体の安置も可能だったので、通夜から告別式までひと通りの葬儀を行うことができて、葬儀の一切を移動することなく行えます。
ご遺体安置の場合、ほとんどが葬儀まで行われるので1~2日程度、葬儀の終了まで職員も火葬場に泊まります。

ある日、役場からご遺体の安置があると連絡が来ました。
ご遺体とともに火葬場へ到着したご遺族の方々に、施設の案内と利用時のルールなどを説明し、最後に「用がある場合は施設内の電話で連絡をください」とお伝えして、職員の控室へと戻りました。

目次

好奇心から始まった怪談話

時間は23時頃になったあたりでしょうか、50代くらいの女性2人の泊まっている遺族の方から”洗面台の蛇口が閉まらない”という連絡があり、ダッシュで向かうと大した事なく無事に解決しました。
1人が私に礼を言いつつ「こういうところって、やはり”何か”あるんですか?」と興味津々な表情で尋ねてきます。

亡くなった方やご遺族には失礼かもしれませんが、泊まりのお2人は親族が亡くなった悲しみより、火葬場に泊まるという非日常的な体験に浮かれているように感じられました。
火葬場での怪奇体験を聞きたいと言い出し、話をはぐらかしたのですが、熱意と職員の部屋にはテレビもなく手持ち無沙汰だったので語ることにしたのです。

お2人は火葬場の職員が話す、実際にあった怪奇体験を驚愕の面持ちで食い入るように耳を傾け、私もつい熱が入ってしまいました。

ちょっとした怪現象

1つのエピソードの佳境に差し掛かった時、私たち以外、誰もいないのに、部屋の入り口側から”ミシッ”、ご遺体を安置している部屋の棺から”ゴトン”、かなり大きな音が同時に聞こえてきました。
私たちは一瞬にして黙り込み、顔を見合わせます。

ひと呼吸置いて、お1人が「棺を見てみます!」と立ち上がり、ご遺体を安置している隣室に向かおうとしますが、ご遺族の方だけで行かせる訳にもいきませんので、私が行くことにしました。
ところが、部屋に残った2人が怖いと言い出して付いてきて、3人でご遺体や棺を確かめる事になったのです。

もしかして生き返った、あるいは死霊として動き出したかとなんて、2人がヒソヒソ話をしているのが聞こえてきましたが、何にも変わった事はありませんでした。

異常はなかったものの、怪奇体験の話などする気がすっかり失せてしまったようで、私は「こういう話をすると霊が寄ってくるんでしょうね」と前置きした上で中断することにしました。
お2人も同意して、就寝しました。

あの夜を振り返ってみて

夜が開け、葬儀や火葬は滞りなく進行し、無事に終わりました。昨晩泊まったお2人も、その後、問題はなかったようです。

あの物音は何だったのか、今だに納得できる解答は得ていません。入り口側の音は足音のようで、確かに人が立っていた雰囲気がありました。棺からの音は、棺を叩くか蓋を上げようとしていたように感じられます。
いずれ玄関の鍵をかけていたので、外部からの侵入は不可能です。何らかの原因で床板や棺が軋んだ音とも考えられなくもないのですが、偶然にしてはタイミングが良すぎます。

実は語っている体験で、ちょうど物音がするという場面を話していたのです。
ある意味、それは効果音として実に有効に働きましたが、あまりにも怖すぎです。
「ほら、こんな音だよ」と霊がイタズラしたのかもしれません。
よく”百物語の後に本当の物の怪が現れる”と伝えられますが、ただの迷信とは言い難いと思えてしまいます。

※画像はイメージです。

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