ナイト・オブ・ザ・リビングデッドの国内を巡った噂

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このサイトに目を通している方々の多くは、ジョージ・A・ロメロ監督の映画「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」を御存知ではないかと思う。言うまでもなく、「蘇った死者が生者に襲いかかり、人肉を食う」という設定のモダンゾンビを創造した、ホラー映画の古典である。

この映画はは1968年に、アメリカで公開されると大ヒットを記録した。だが日本では長らく劇場公開されず、80年代に入ってようやくビデオソフトとして流通した。
それまでの日本国内で鑑賞手段は、輸入盤ビデオを入手する以外に存在しなかったのだ。

この「未公開」の時期があったという事実そのものが、ファンの間では一種のミステリーとして語り継がれている。

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インターネットの奇妙な噂

私がインターネットの接続されたパソコンを、日常的に扱うようになった2000年代半ば。
その頃はインターネット黎明期で、現在ほど普及してなく、まだまだアンダーグラウンドな存在であった。

その頃、たまたまレンタルビデオ店でVHSソフトを見つけ、映画の内容や製作裏話が気になって検索していると、ホラー映画ファンサイトで、運営者いわく『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』公開中止の顛末が書かれていた。

1970年代半ば、日本の配給会社が本作の公開を計画したが、直前になって、ある極左系団体が「蘇った死者が人間に襲いかかって食い殺すなどという描写のあるのは、人倫に反している」と抗議に押しかけた。困った配給側は「まず観て判断してほしい」と団体を試写室に招いた。ところが上映中、観客の一人が錯乱して絶叫し、その一件をきっかけに上映は中止された。

さらに尾ひれのついた別バージョンも存在し、「二度目の試写でも複数人が狂乱し、映画は封印扱いになった」という、まるでゾンビ映画さながらの顛末。
あまりに出来すぎた話で、いかにも都市伝説的。

今では検索をかけても見つからない、消えてしまった個人サイトだが、妙に生々しく記憶に残っている。

歴史的に見た真相

歳月を重ねるにつれ、映画界における「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」名作としての地位を獲得。
2016年にはニューヨーク近代美術館で、リマスター版が上映されているほどだ。

「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」を観た時も、既にカラー映画の時代にモノクロの為に古めかしい怪奇映画を観ているようであった。面白いと映画だと思うが、特に怖いと感じた記憶はない。

事実として『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』が公開されなかった理由は単純だ。

日本で「ホラー映画」に一定の商品価値が付くようになったのは、「エクソシスト」(1974年)以降。
それ以前にも、ハマー・フィルムや20世紀フォックスによる「怪奇映画」が日本で公開されることはあった。しかし、あくまで一部の映画ファンやホラーマニアに支持されるにとどまり、社会現象になるほどのヒットには至っていない。

そこに有志たちが寄り集まって製作した低予算のインディペンデント映画であり、アメリカでの配給を扱った大手でもなかった。
当時の日本の映画バイヤーにはなかなか注目されず、欧米で人気を得た作品であっても、オカルトブーム以前の日本では公開され、観客を集める土壌が整っていなかった。モノクロ映画である点も、商業的にはハンディとなった。

つまり、なにか怨念やそういったコトではなく、単純に「市場的な条件が整っていなかった」ことが主因と考えられる。

ゾンビ映画と幻想

この噂については、現実的な結末だとすればもっともなことだろう。だが、どうも味気ない。
蛇足かもしれないが、インターネット黎明期に目にした試写会をめぐる騒動の噂とは、一体なんだったのかを考えてみたい。

1970年代の日本では、政治的主題を扱った映画が数多く製作され、内容が特定の党派と結びつきすぎていた場合、上映をめぐって対立する団体が抗議や妨害を行うことも珍しくなかった。実際に、上映館の前や会場内で乱闘が起き、物理的な衝突に発展した例さえある。
こうした「映画が政治的圧力にさらされる」という現実の記憶が、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』が未公開だったという事実と結びつき、後に都市伝説として語られるようになったのではないか。

そもそも本作は、ゾンビを通じて「共同体が内部から崩壊する恐怖」を描いた作品である。
その物語と、「試写会で人が錯乱し、映画が封印された」という噂は、妙に符合してしまう。まるで映画の中で描かれたパニックが、現実ににじみ出したかのように。

消えてしまったネット記事の記憶とともに残るこの話は、映画そのものが持つ「現実と虚構の境界を侵食する力」を証明している。まさに、現実味を帯びた幻想なのである。
どれほど妄想を掻き立てても、今となっては真相を知るすべはない。
インターネット黎明期にオンラインを漂っていた幽霊のような存在に、私は出会ってしまったのだろう。すべては、あのwebサイトの運営者が創作したエピソードにすぎなかったのかもしれない。

(C) 2017 Image Ten, Inc. All rights reserved. NIGHT OF THE LIVING DEAD was restored by the Museum of Modern Art and The Film Foundation, with funding provided by the George Lucas Family Foundation and the Celeste Bartos Pr eservation Fund.

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