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生きていたおじいさん

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これは、私が小学1年生の時におじさんから聞いた話で、昭和10年生まれ私のおじさんは、戦時中は小学生でした。

目次

兵器の好きなおじいちゃん

おじさんは9人兄弟の長男で、小さい頃から飛行機や車や戦闘機などが大好きでした。
空襲警報が聞こえてくると、家族や近所の人が防空壕に逃げていく中、おじさんは裏山に走り木の上に上りB-29を眺めていたとか。
家族や近所の人からは、怒られ辞めるようにいつも言われていて、長男なので、弟や妹たちが真似すると困るから、なおさらに特に強く注意されていたそうです。

そんなおじさんは、学校がとても大嫌いだった。
朝、友達や弟、妹たちと一緒に家を出て、学校に向かうフリをして、1人だけで学校をサボって山で1日遊んでいたそうです。
そして山の上から、大好きな車や飛行機などを見て過ごしていました。

夕方、友達や弟、妹たちが学校から帰ってくる頃に山から降りて、あたかも自分も学校に行っていたように家に帰っていました。
もちろん、友達や弟、妹たちに親には言わないようにしっかりと口止めをしていたので、親にはバレていなかったようですね。

ある日の事

ある日家を出て、友達や弟妹たちと一緒に学校へ向かいますが、おじさんはいつものように山に遊びに行くのですが、しばらくすると空襲警報がなります。
友達や弟妹たちは、急いで自分の家に戻り防空壕に避難するのですが、おじさんは「また、B-29がみられる!」と、思い木の上に登り戦闘機を眺めていました。

その頃、避難した防空壕では、おじいさんだけが戻ってこず、大騒ぎになりました。
きっと弟妹たちを先に防空壕に避難させてから、自分は後から逃げようとしてはぐれてしまったか?空襲にあって命を落としてしまったのでは?と、大騒ぎになり、もうきっと死んでしまったと思い家族全員が悲しみにくれます。

そんな事は全く知らないおじさんは、何も気にせず大好きな飛行機を見て満足し、いつもの通り友達や弟妹たちが学校から戻ってきたら、一緒に家に帰るつもりで夕方まで山で遊んでいました。
なかなか友達や弟妹たちが学校から帰ってこないので、おじさん1人で学校を終えたふりをして家に帰ったそうです。

帰ってきたおじいさん

自宅では、おじいさんが命を落としてしまったとみんな悲しんでいる中、ひょっこりと帰ってきて驚きました。

生きていて安心したのもつかの間、母親に今まで何をしていたのかを問われ、山で遊んでいたことや今まで学校に行くふりをしてサボっていた事も、全てバレてしまいます。
そして、それを黙っていた弟や妹たちも、こっぴどく怒られたそうです。

その次の日から、しばらくお母さんが学校まで登校に付き添うようになったのですが、ほとぼりが冷めて、お母さんが付き添いをやめたらすぐに、学校をサボったようです。
「2回目は、バレずに終戦を迎えたよ。」と、おじさんが話してくたのが印象に残っています。

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