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東京大空襲の夜に肚をくくったんです。

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この話は私が学生時代、社会科の授業で当時の担当の先生から聞いた話です。
その先生は年配の男性で幼い頃「東京大空襲」を体験されました。

当時まだ5、6歳でであった先生は、その日、空襲の避難準備をご家族としていました。
ふと窓の外に目をやると、空はどこもかしこも夜なのに真っ赤に染まり、いたるところで家々が燃え盛り黒煙が上がり「あぁ、ここは地獄だ」と思ったそうです。
人々が大挙して逃げまどい火の勢いも激しく、とうとう先生のお宅の目前まで来た時、幼い子供だった先生は「何故何も罪のない人間が死ななければならないのだ!なぜこんなことをされたければならないのだ!」と怒りにかられました。

その苛烈な思いのまま玄関に向かい、外へ出て門の前に立ち、空に向かって叫びました。
「やい!俺は逃げも隠れもしない!爆弾を落とすなら、ここに落として来い!」と。
そして地べたに座り込み先生は覚悟を決めました。肚をくくった先生の気持ちは不思議と穏やかだったそうです。

「今日、俺はここで死ぬんだ」と覚悟を決めると、悲しみも無念も胸の中から消えてしまい、ただただ燃えている街を何の感慨もなく眺めていたそうです。しかし、先生のお宅までメラメラと近寄ってきて来た火災は、ふっと風向きが変わったようで先生の前ですーっと収まって、そのまま消えていきました。
まるで子供の啖呵と覚悟に恐れをなしたように・・・。

親御さんたちが何とか家へ連れ戻そうとしても頑なに動かなかった先生。火が収まったのを見届けると、先生のご一家はそのまま避難所へ向かったそうです。先生のお宅を残して周囲の家々は燃え瓦礫と化していました。
そうして九死に一生を得た先生はいつも「戦争の話はしたくありません」と仰っていました。
この話も一度だけ私が授業で聴いただけです。

しかし目の前に見えているような臨場感でお話しされていたので、今でもその時に私が見えた映像とともにしっかりと記憶に刻み込まれております。

 

※写真はイメージです。

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