カーチスP40といえば鮫です。
戦闘機になぜ鮫の口がかかれるのか、考えていきたいと思います。
ノーズアート
第二次大戦中の米軍機の機首(ノーズ)には楽し気なイラストがよく描かれており、このイラストはノーズアートと呼ばれました。
コミック・アニメのキャラクターや虎・鷲などの動物、敵を揶揄する風刺漫画、勇ましい死神・ドラゴンなど、その図柄は多種多様でしたが、爆撃機で有名なのはやはりセクシーなピンナップガールです。
一方で戦闘機では、歯をむき出しにした鮫の口の図柄が人気を博しています。
見事にハマった鮫の口
第二次大戦初期、米軍主力戦闘機だったカーチスP40は、フランスやイギリスなどの航空隊にも導入されて対ドイツ戦に使用されていました。
このうちイギリス軍のP40に、初めてシャークマウス(鮫の口)のノーズアートが登場しました。
P40の機首部分のフォルムはエンジンカバー下部に大きくふくらんだ空気取り入れ口が特徴的で、その不細工な出っ張りは歯をむき出しにして大きく開けた、鮫の口を描くのにピッタリの形をしています。
それは鮫の口を描くために設計された形ではないかと、勘ぐってしまうほどにハマっていました。
最初にこのノーズアートを見たパイロットたちが指差しながら、「こいつにぴったりだ!これはいいぜ、気に入った」と、
大笑いをしている様子が目に見えるようです。獰猛な鮫の強さも戦闘機乗りの気質に合ったのでしょう。
一説には鮫の口が描かれたドイツ軍機メッサーシュミットと交戦した英国のパイロットたちが、それを真似たという話も伝わっています。

引き継がれていく鮫ノ口
米軍機では、日中戦争時の支援のために中国軍指揮下で戦った、アメリカ義勇軍(通称フライングタイガース)のP40が最初だと伝わっています。
フライングタイガースは1942年に解隊され、一部の部隊員とその名称と鮫の口を米陸軍航空隊第23航空団が引き継ぎました。
その後、鮫の口はベトナム戦争でF4ファントムⅡにも使われ、現在至ってなお、ムーディー米空軍基地 第23航空団第74・75・76戦闘飛行隊のA10サンダーボルトⅡ攻撃機に、この伝統的なノーズアートが描かれ続けています。
日本国航空自衛隊では、模擬戦闘を行う戦技競技会などやイベント時にしばしば使われ、鮫の口のセイバー・スターファイター・ファントム・イーグルなどを見ることができました。
百里基地の偵察航空隊第501飛行隊では一部のファントムに描かれていましたが、残念ながら2020年にこの部隊は廃止になりました。
しかし鮫の口ノーズアートの人気は軍の世界から一般社会へも飛び出しました。
一世を風靡したバスケットボールシューズ・エアージョーダンAJ5モデルでは、靴先端近くのギザギザ模様のデザインは鮫の口がモチーフになっています。
featured image:AFHRA, Public domain, via Wikimedia Commons
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