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平和ボケは今に始まった事ではないのかも?

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「平和ボケ」
現代日本人の国防に対する意識を表現したこの言葉ですが、幕末のあるオランダ海軍軍人の興味深い日記が残っています。

目次

カッテンディーケとは

幕末、幕府は近代海軍を創設する為に長崎に海軍伝習所を開設します。
外洋大型船舶の造船自体を禁じられていた日本では、大型艦の造船、外洋航海術の知識技術は途絶えており、 鎖国によって蒸気機関はおろか最新式大砲などの武器の知識も皆無で、海軍という軍制自体を幕閣でさえ知らないという有様でした。

全てが1からの出発により、近代海軍を作り上げようとしたのがこの海軍伝習所で、勝海舟や江本武揚など後に維新の舞台で活躍する人たちがこの伝習所で学び始めました。

カッテンディーケはオランダ海軍の軍人で、長崎海軍伝習所の日本人伝習生に海軍についての知識を教える教官団のトップとして来日しました。
因みにカッテンディーケとは騎士爵の称号で「ウィレム・ヨハン・コルネリス」が本名ですが、 日本においてはカッテンディーケが通称となっています。

■ ヴィレム・ホイセン・ファン・カッテンディーケ
published by 有終會 [Public domain], via Wikimedia Commons

カッテンディーケの日記

カッテンディーケは日本滞在中の体験を日記に記していました。
オランダとは異質な日本や日本人について、不思議に感じた事や疑問に思った事が残されています。

その一つに、長崎の商人とのある会話があります。
カッテンディーケの目から見ると、長崎港の軍事的防備の貧弱さは呆れる程でした。

ある長崎の商人にその事を話したところ、「私ら商人の知った事ではない。それは幕府がやる事で自分ら商人には関係がない」という返答にカッテンディーケは驚きました。
この防備と人心なら、仕官1名と陸戦隊45名で長崎を占領できると彼は書き残しています。

祖国防衛

オランダでは国民に一人一人に祖国を守る意識がある、とカッテンディーケは言っています。
だから彼には祖国防衛意識の無い日本人商人が理解できませんでした。

政(まつりごと)と戦(いくさ)は武士の役目であるという、 何百年も続いて来た日本独特の身分制度が商人の意識を造りました。
オランダに限らず欧米の代表的な国では、 国民が血を流して国の独立を勝ち取り、そして維持してきました。

しかし明治維新を含めて国の体制を転換する争乱は、日本ではすべて支配階級の武士の内部抗争でした。
そこに一般市民である国民の関与はほとんどありません。

防衛意識

祖国防衛に対する意識は、軍国主義の強まった昭和にかけての国民教育によって異常なほど高まりましたが、敗戦後のGHQ指導の民主教育で反動的に低下します。
その全体的な流れを見ると戦前の祖国防衛意識は一時の熱病の様なもので、 日本人のそれは本来的に低いのかもしれません。

戦争は政治家と自衛官が考えれば良い事であり一般国民に関係のない事である・・・という現代日本人の平和ボケは、カッテンディーケの日記に登場する長崎商人と根底で同じものを感じてしまします。


歴史大好きじいさん
一国の国民の基本的性格は、100年や200年では変わらないのかもしれません。

参照:海の夜明け 白石一郎著
※画像はイメージです。

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