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シリーズ真珠湾奇襲作戦「真珠湾奇襲作戦が如何に常識外れだったのか」

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真珠湾奇襲作戦は、作戦立案当初、後に攻撃を担当した第1航空艦隊の司令長官・南雲中将や草加参謀長をはじめ、第11航空艦隊も合わせた両部隊首脳は、 山本連合艦隊司令長官に本作戦の取り止めを意見具申しています。

目次

雷撃の限界

当時、航空機で戦艦を沈める方法は魚雷での攻撃しかないと考えられていました。
爆弾で戦艦のぶ厚い装甲を破るのは困難で、せいぜい上部施設を破壊するだけなので撃沈は無理だというのが常識でした。
魚雷は艦船の喫水線下を破壊する事で撃沈の可能性が増し、しかも命中率が70~100%なのです。

しかし真珠湾内に停泊する米艦船は、岸壁に平行に2~3隻が並んで係留されています。
つまり、雷撃で攻撃できるのはその外側艦船のみで、もし内側に戦艦がある場合は雷撃自体ができないと予想されました。
そもそも水深の浅い真珠湾での雷撃そのものが、投下魚雷が海底に突き刺さって不可能だと考えらていた事はよく知られています。

開戦直前の真珠湾(1941年10月)
USN [Public domain], via Wikimedia Commons

水平爆撃の精度

航空機の対艦攻撃には、雷撃の他には急降下爆撃と水平爆撃とあります。
急降下爆撃の命中率は60%以上と高いのですが、艦上爆撃機に搭載できる爆弾が戦艦装甲を貫通出来ず撃沈は無理です。
艦上攻撃機の大型爆弾ならこれを貫通できるのですが、如何せん命中率10%以下と極端に低いのです。

当時、敵同型艦撃沈の為には主砲砲弾16発の命中が必要とされていました。
例えば長門と同級のコロラド級米戦艦を沈めるのには、40センチ砲弾16発が命中しなければなりません。
これを艦攻の水平爆撃に換算すると、1隻の戦艦に対し命中率10%として160発の800キロ徹甲爆弾が、即ち160機の艦攻が必要となります。
これは真珠湾作戦参加予定空母6隻の全艦攻144機を上回る数字で、到底実現不可能とされました。

■炎上するウェストバージニア
U.S. Navy [Public domain], via Wikimedia Commons

猛訓練と兵器・戦法の工夫

しかし多くの幕僚の反対を押し切って、山本長官の鶴の一声で推進されるこのになった本作戦の準備段階で、 各部隊は其々の兵器・戦法の工夫と猛訓練により不可能を可能に変えていきます。

水平爆撃は命中率45%という驚異的な高率が平均となり、実戦での有効性を保証しました。
そして作戦の結果は言うまでもありません。

歴史大好き爺さん
今の常識で歴史を判断すると、歴史の真の姿を見落とす恐れがあります。

※画像はイメージです。

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