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正しい魔女裁判を考える

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魔女裁判とは、中世ヨーロッパを中心に大規模に行われた「宗教」行為の1つである。
魔女とは悪魔と契約を結んだ人間の事であり、女性に限ったものではない。彼らは冒涜的行為によって神の威信を傷つけ人を誘惑するものとして断罪された。
効果は覿面で、多数の魔女が発見・処刑され、現代においては人に害を為す魔女は根絶されている。
唯一の問題は、別に「人に害を為す魔女」は、減って根絶された訳ではなく、最初から絶無だった事である。

目次

神は採決をするのか?

魔女裁判が成立する土壌として、そもそも裁判という言葉に対する大きな誤謬がある。
現代日本では、裁判は証拠を重んじるが、それ以前の文明においては、神が判断した。司法権が神にあるとして、易姓革命論や王権神授説も合わせると、人間には行政権しかない。
これはヨーロッパだけの話ではない。

古代日本においても、盟神探湯(くがたち)という、熱湯に手を入れ火傷の有無で判断する裁判方法が取られている。
中世ヨーロッパにおける決闘裁判も、「正しいならば神が勝たせてくれる」という、理屈で行われた。

具体的には、紛争中の2人を決闘させ、勝った方を勝訴とするものである。こんなものは「神を試してはならない」という大原則に抵触し、キリスト教的ですらないのだが、バイキング文化の土壌もあったとされる。

そもそもの話、神がもしも裁定をするのであれば、敢えて裁判の場を設けなくても、自然と悪は滅びる筈である。
天網恢々疎にして洩らさず。本当に神を信じているのであれば、その網の目も信じるべきである。
オカルティックな要素にダブルスタンダードを持ち込む時、それはただの一個人の意志によってねじ曲げ放題になる。

物語のリアリティは、物語内のルールに従っているからこそ起きるものだ。そこをはみ出したら世界は破綻し、そこでは何を語っても意味がない。そういうオカルトの作法を守らない魔女裁判は、魔女のホウキの先すら掴んでいない、お粗末なものだ。
宗教儀式の要件も満たさない、単なる権力を持った者の犯罪である。

正しい魔女裁判

では、オカルト的に正しい魔女裁判とは、どうなるのだろうか。
つまり、魔女が実在した場合の、人類の対処だ。事だ。
魔女の実在のみをオカルト的事実として、その他は現実と同じである時、これに人間達はどのように太刀打ち出来るだろうか?

まず、魔女の定義は様々だ。ドラゴンが跨ぐようなのを用意すると、前提が破綻するので、魔女裁判で対象にしていたような格のものと考えよう。

曰く、

  • 悪魔と契約した人間である
  • 契約している悪魔は、ルシファーを名乗る事もある
  • ホウキやブタに乗って飛べる
  • サバトを開いて、神への冒涜の言葉を口にし、乱交する

これらの行為は、現代社会において特に罪に問われる要因がない。
敢えて言えば、飛ぶ時に『航空法』第百三十四条「飛行に影響を及ぼすおそれのある行為」に引っかかる可能性がある。
だが、指定区域以外なら、問題はない。つまり日本においては、手作りロケットを飛ばす人と同程度の配慮があれば、罪にならない。
ロケットマニアが放置されているなら、魔女も取り締まる根拠がない。

ヨーロッパの検証

一方、ヨーロッパ的感性では、魔女には次の罪が考えられる。

「魔法を使う」

古代ギリシャの時代から、魔法を使う行為は、その善悪を問わず罪とされ、多数の人が処刑される事件もある。
魔法と神の奇跡の違いは見分けにくいものだ。
人を助けるばかりが神の力ではない。大洪水を起こしたのはYHVHであり、日本でも大抵の神は、破壊神としての側面「荒魂」を持つ。
結局、神が「それ違う」と言わない限り、見分けは付かない。神の言葉をきちんと伝えられるのは預言者だけだ。

近代の裁判なら、当然疑わしきを罰する事はできない。
ならば、魔法的な力があっても、それを魔法か奇跡かの立証が出来ず、使う事をもって罪には出来ない。

だが、実際にその魔法ないし奇跡で、人を殺傷したらどうだろう。
神が人を殺させるのか?
勿論する。

聖書の記述だけで言えば、神の殺害数は圧倒的だ。全ての神が人を傷つけたことが無い宗教の方が少ないだろう。平和的に見える仏教でさえ、明王という戦闘フォームを持つ。
魔法か奇跡かはともかく、人を殺傷するなら人間の法律上逮捕が妥当である。

魔女裁判の開廷

では、定義をしよう。
魔女とは、悪魔と契約をして、人に害をなす魔法を使う人間である。

魔法を使う人間は、どうやれば見つかるだろうか。
何らかの術により悪魔なり神なりから力を借りて行うものと考えられる。
そこに何かの痕跡はあるだろうか。
黒子(ほくろ)が証拠とされた例があるが、魔法を使わない人間にもあるので、何の証拠にもならない。水に沈むというのも神を試すだけのもので、そうした瞬間加護はなくなり、真実は藪の中だ。

契約型魔女

魔法が契約型であるなら、審理する場合、押さえるべきは力を与えた悪魔である。
魔女を張り込み、悪魔との接触時に捕らえ、共同正犯を容疑として取り調べる。

何故なら、悪魔が力を貸したのであれば、そこには必ず契約書が存在するからだ。全知全能の神が存在する世界の場合、悪魔の存在を許す条件がある。悪魔がしばしば契約を持ち出すのは、それがあくまで人間の意思によって行われるという体裁を取るためである。さもなければ、人間に直接害を為す者と変わらず、悪魔は天使によって直ちに討伐されるだろう。

逆に魔女自身からは、証拠が出る可能性は薄い。
借り物の力であるから、その身体に魔力は残っておらず、契約の印が刻まれると言っても、黒子など当たり前のものの姿を取られてしまう。

パワー形魔女

自らに魔力がある場合はどうだろう。
現代では、髪の毛一本で身元が割れる。
参考人までは辿り着ける。

警察に一度マークされれば、次に魔法を使う時直ちに検挙できる。
目の前で魔法行使が行われ、それを邪魔したら魔法が止まるのであれば、疫学的に関連性があると考えられる。
疫学に従えば、菌の存在を知らずに病気の発生を防ぐ事が出来ている。魔法も、魔女を拘束すれば、魔法犯罪が起きなくなったのであれば、罪に持ち込める可能性がある。

検察の対応

人間は、これらの手段で魔女を法廷に引き出すが、いずれも後手にまわらざるを得ない。
どこかで魔法を使わせないと、罪の立証も難しい。だが、迂闊に使われて逃げられる可能性もある。
ここで、検察は当然用意する。

もう1人、魔法使いを。

当たり前の事である。
魔法使いがその魔女独りなら無理だが、そうでなければ複数いる。最初に認識された独りを、罪を減じる代わりに手飼いにしても良い。

味方の魔法使いに、魔法を検知する力があれば、パワー形の魔女の罪は、立証が容易になる。
魔法が悪魔契約型の世界線なら、味方魔法使いと契約している悪魔に尋ねれば良い。仄めかしが多いかも知れないが、面白がって教えてくれる可能性もある。
犯罪捜査も、魔法による殺傷行為の立証も、防犯も、正義の魔法使いがいれば手早く片付く。

今後、悪魔と契約する機会があったら、契約書の熟読をお勧めする。
特に守秘義務は重要である。

※画像はイメージです。

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