私が小学校低学年の時、近所のおじいちゃんが小学校2年生の時に体験した戦争の話を聞かせてくれました。
そのおじいちゃんは、戦時中も今と同じ地区に住んでいたそうです。
8人兄弟だったおじいちゃんの家は裕福ではなく、近くの川の水を飲み、家の裏で育てていたサツマイモや草を食べて生活していたので、戦争が始まって食べ物が少なくなっても、そんなに苦しく感じなかったそうです。小学校にも毎日元気に友達と遊ぶのを楽しみに通っており、本当に戦争をしているのか実感はなかったと話します。
えんぴつ入れが壊れた
ある日、大事に使っていたお母さんが作ってくれた布製のえんぴつ入れが破れてしまいました。学校から帰り、お母さんに話すと直してくれると言うのでとても喜びました。ただ、「お母さんも忙しいので、使えるようになるまで2日間待ってる?」と聞かれました。もちろんまた使えるようになるのが嬉しかったので、「待つよ!でも、なるべく早くに直してね!」と返事しました。
布製のえんぴつ入れが直るまでの2日間、何を代わりにえんぴつ入れにしようか考えていたところ、いつも空き地で友達と缶蹴りをしている缶を思い出しました。すぐに空き地まで行き、缶を持って帰り、上の部分を石で缶切りのようにガリガリとこすり空けました。そこにえんぴつと消しゴムを入れて、特製のえんぴつ入れが完成しました。
ランドセルに入れて歩くとカランカランと音が鳴りましたが、当時はそれも面白くスキップをしながらワザと音を鳴らして学校に行き、みんなに自慢をしてまわりました。そして、布製のえんぴつ入れが破れてから2日目。帰ればお母さんが直してくれているはずだと、楽しみに下校していました。
遠くの方から飛行機が
すると、遠くの方から飛行機の飛んでくる音が聞こえます。雲一つないよく晴れた日だったので、そらに浮かぶ黒い点がドンドン近づいてくるのが見えました。空襲です。直感で「これは大変だ」と思い走って家へ向かいますが、飛行機の速さには敵いません。あっという間に背後から黒い影に覆われてしまったのです。全力で無我夢中に走りましたが、”ババババッ”と銃の音が聞こえた時には地面に倒れ込んでいました。
「ああ、死んだのかな・・・」と思いましたが、目が開きます。手が見えたので、頬をつまむと痛いです。でも体の他の部分は痛くありません。ふとランドセルを見ると、穴が空いています。中身を確認すると、教科書を突き抜け2日前に作った特製の缶のえんぴつ入れがへこんでいました、ランドセルの底には銃弾が入っているのです。なんと缶のえんぴつ入れのお陰で命拾いをしたのです。家に帰ってお母さんに話すと泣いて抱きついてきました。
次の日
次の日、学校で友達にこの事を話すとあっという間に話は広がり、学校中のみんながランドセルと缶を見に来たので嬉しくなって自慢して話してまわったそうです。撃たれた時は怖かったけど、それによって人気者になれたんだと笑いながらおじいちゃんは話してくれました。
これからも平和が続くことを祈ります。
※画像はイメージです。
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