世界に覇を唱えるためのシーパワー理論

なぜアメリカは最強国家になり得たのでしょうか?

シーパワーとは?

19世紀末の米海軍軍人、アルフレッド・セイヤー・マハンは、 海洋を支配した海洋国家こそが世界の大国になり得るという、シーパワー理論を打ち立てました。

それによると大陸を制覇した大陸国家では世界制覇は不可能だとします。
なぜなら大陸国家では隣接する国との争いが常態化するため、海洋進出の余裕がないからだとしています。

そしてそれは、陸上輸送のコストが水上のそれより大幅に高いからなのです。
つまり陸よりも海を制する方が手間が大幅に輸送コストがかからないということです。

大英帝国

その最も良い例が大英帝国です。
ヨーロッパ大陸の端っこにポツンとある小さな島国の英国が、ある時期に世界の強国として君臨できたのは世界最強の海軍によって海洋を支配したからです。

その海軍力で世界中にある広大な植民地と本国間の通商海上路を確保することによって、莫大な国家的利益を上げて世界の大国となり得ました。

同様な制覇を陸上路で行う事はコスト的に不可能です。
英国本国から、欧州を抜けてアフリカ大陸へ、また中東からインドへ、さらにはユーラシアからベーリング海を渡って北米大陸へという陸路では到底無理なことは明白です。

英国は最強の海軍力を持つことによってこそ、世界の大英帝国たり得たのです。

最強国アメリカ

現代においては、このシーパワー理論で世界に覇を唱えているのがアメリカ合衆国です。
その海軍力の中核をなすのが、航空母艦を中心に構成される空母打撃群で、この艦隊を複数保持し、 世界中のあらゆる場所に最低1ヶ月程度で派遣するという形で制海権を確保しています。

植民地時代の大英帝国のような単純な海上通商路保持による国益確保ではありませんが、軍事力を背景にした政治的優位によりあらゆる意味で国益を守っています。

これもまた陸上軍事力だけでは不可能なのです。
今、世界第2位の経済力を持った中国が、様々の形で海洋進出を計っているのはシーパワー理論に即したものに他なりません。

シーパワーの限界

しかしシ―パワーには限界があります。
それは海軍力の維持にかかるコストは、 通商路確保によって得られる利益より相当小さくなくてはならないことです。
そうでなければ当然、国家財政は破綻してしまいます。

それを証明するように、植民地を失った戦後の英国海軍は縮小の連続です。
それは米国も例外ではなく、近年予算削減の波が押し寄せています。

シーパワー理論によると、利益を上げる通商路を守るためではない、単なる軍事的優位のための海軍力は国家そのものの破綻を招きます。

歴史大好きじいさんです。
世界制覇の歴史は海を制する歴史です。

参照:真珠湾の暁 佐藤大輔著

eyecatch source:skeezeによるPixabayからの画像

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